3行でいうと

  • 出力の条項を読めた5社は、いずれも出力は利用者のもの(権利を譲渡する)とする趣旨。多くが「法律が許す範囲で」などの但し書きつき。
  • 知的財産の補償は、法人向け・API向けの文書にあり、条件と除外が細かく違う。個人向けの規約には、読んだ範囲で補償が見当たらなかった。
  • 出力で競合するAIを作ることの禁止、学習への利用の扱いも会社ごとに違う。契約の話で、著作権で保護されるかは別問題。

この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、公式の規約や条件のページを読んでまとめたものです。法律・契約の紹介であり、法的助言ではありません。実際の契約の判断は、弁護士などの専門家に相談してください。

先に結論

前提:用語

比べる軸と、読んだ文書

会社 読んだ文書(ページに書かれた日付)
Anthropic Commercial Terms of Service(2025年6月17日施行)、Consumer Terms of Service(2025年10月8日施行)
OpenAI Services Agreement(2026年1月1日施行)、Terms of Use(2026年1月1日施行、EU向けは2026年1月16日更新)
Google Gemini API Additional Terms(2026年3月23日施行)、Google Cloudのサービス固有条件の生成AIの節、補償の対象サービスの一覧(2026年7月20日改訂)
Microsoft Customer Copyright Commitment(ページ末尾の更新日は2026年3月20日)
xAI Terms of Service - Enterprise(10月8日に読んだ版は2026年8月14日更新で、契約当事者名は「SpaceXAI LLC」。10月23日に2回読んだ版は「Last Updated: May 12, 2026」で、契約当事者名は「X.AI LLC」。どちらが新しい版か確かめられていません)
Mistral AI Commercial Terms of Service(2026年9月25日施行とページに記載)

規約は更新されます。ここに書くのは、2026年10月8日に読んだ版です。10月23日に読み直せた文書は、上の日付や条項と食い違いがないかを見ました。食い違いが見つかったのはxAIだけで、下の「気をつけること」に書きました。

出力の権利

見立てです。「所有」と書いてあっても、「その出力を他社が使えないか」「著作権で守られるか」は、この条項だけでは決まらないと思います。OpenAI、Google、xAIは、似た出力が他の人に返りうることを自分から書いています。

学習に使われるか

補償(IP indemnity)

各社の補償の範囲と除外(細かい比較)
会社・文書 補償の対象(要約) 主な除外・条件(要約)
Anthropic 法人向け(K節) 有料の利用と、その正規の利用で生じた出力が、第三者の知的財産を侵害するという請求を、防御し、判決や承認済みの和解の分を補償 利用者による改変、他社の技術や内容との組み合わせ、利用者の入力、侵害と知っていた・知るべきだった使い方、出力に含まれる特許発明の実施、出力を商取引で使ったことによる商標の主張など(K.3)。補償は第三者の請求に対する唯一の救済(K.5)
OpenAI Services Agreement(13節) 「サービスが第三者の知的財産を侵害する」という請求について、防御し、賠償・費用を補償 他社の製品との組み合わせ、OpenAI以外による改変、顧客コンテンツ(入力と出力を含む定義)、顧客のアプリケーションなど(13.1)。13.1に「出力」の語は出てこない。サービス固有条件の補償は責任上限の対象外
Google Cloud(サービス固有条件 20節 i) 補償の対象サービスで、未改変の生成出力が侵害だという請求。別に、Googleが学習データを使って事前学習モデルを作ったことが侵害だという請求 侵害の可能性が高いと知っていた使用、出典表示やフィルターなどの安全のための道具を無効にしたり変更した場合、権利者の通知後の使用、商標関連、顧客のデータの権利がない場合。無料提供の機能は対象外。対象サービスは別の一覧で定める
Microsoft Customer Copyright Commitment Azure OpenAI(Foundry Models)、設定可能な生成AIサービス(Copilot Studio、GitHub Copilot)の出力についての第三者のIP請求を防御 必須の対策を実施していること。メタプロンプト、テストと評価、用途別の保護素材フィルターとジェイルブレイク対策のフィルターなど。後から非同期フィルターに検出された出力は対象外
xAI Enterprise(9.1) 顧客が許可された範囲でサービスを使うことが、第三者の知的財産を侵害するという請求を防御・補償 10月23日に読んだ版では、サービスの改変、他社の製品などとの組み合わせ、規約違反の使用、顧客が与えた入力・出力・学習データの4項目(9.1(1)〜(4))。10月8日の読みでは7項目の要約で、無料・試用などを含んでいましたが、どちらが現行か確かめられていません
Mistral AI 法人向け(8節) 同社の製品が第三者の知的財産を侵害するという請求を防御・補償 他社のソフトとの組み合わせ、同社以外による改変、顧客のデータ、侵害と知っていた・知るべきだった使用、規約違反、法令違反など(8.2)。補償は唯一の救済(8.5)

Microsoftについては、ページに、効力日が2023年12月1日、2024年5月21日、2025年6月1日、2026年4月3日の項目が書かれています。GitHub関連は、2026年4月3日時点で追加の必須対策はない、とされています。Copilot Studioで外部のモデルをつないだ場合は、Azure OpenAIで動き、要件を満たす場合を除き対象外と書かれています。

見立てです。補償を読むときに、確認したい点は次の4つだと思います。

  1. 法人向け・有料の契約か(個人向けの規約には、読んだ範囲で見当たらなかった)。
  2. 「出力」が明示されているか。Anthropic、Google、Microsoftは出力を明示しています。OpenAIの13.1には出力の語がなく、「サービスの侵害」という書き方です。
  3. 安全機能を使うことが条件か(GoogleとMicrosoft)。
  4. 除外に、自社の使い方が入っていないか(改変、組み合わせ、商標など)。

禁止事項と、競合モデル

OpenAIの欧州向け利用規約には、人についての出力を、雇用や医療のような、その人に法的または重大な影響のある判断に使ってはならない、という趣旨の記述があります。

読み方・選び方

見立てです。仕事で使う前に、次の順で見ると整理しやすいと思います。

  1. どの契約か。チャット画面の個人プランで仕事をすると、法人向けの補償や学習の約束は適用されない可能性があります。
  2. 何を作るか。社外に出す文章・画像・コードかで、除外条件(商標、侵害を知っていた使い方など)の重さが変わります。
  3. 学習の扱い。社内の機密を入れるなら、学習に使われない約束があるか、オプトアウトできるかを確認します。
  4. 競合の禁止。AIを作る・訓練する側の会社は、出力を使ってモデルを改良することが禁止されていないかを見ます。

見立てです。規約の「権利」の条項だけを見て安心せず、補償の除外と、安全機能の条件も確認したほうがよいと思います。

よくあるつまずき

見立てです。

気をつけること

出典

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