3行でいうと
- 企業の発信より、SNS上の一般ユーザーの投稿(UGC)が購買に強く影響するようになった
- 購買は「UGC→いいね→SNS検索→Google検索→購買→拡散」と循環する(ULSSAS)
- 拡散を生むのは有名人より、フォロワーの少ない「小さくて強いつながり」だ
- UGCが生まれにくい商品では、コンテンツマーケティングで潜在層に届ける
向いている人
SNSの運用や広報を担当する人、マーケティングを一から学びたい人に向きます。
読む意味
フォロワー数や直接の購買だけで効果を測りがちな運用を、購買の流れ全体で見直す視点が得られます。書評は、SNSマーケティングの1冊目として勧める声があると紹介しています。
読むときの注意
UGCが生まれやすい商品とそうでない商品があり、日用品や購入頻度の低い商品などには当てはまりにくいと本書自身が述べます。示される数字の分析は、主にTwitterを対象にしたものです。
どんな本か
かつてはマスメディアや企業の発信が購買の主な情報源だったのに対し、今はSNS上の一般ユーザーによる投稿(UGC)が購買の意思決定に強く影響すると指摘し、その行動を捉える独自のモデル「ULSSAS(ウルサス)」を示す本です。著者は飯髙悠太で、2019年8月にディスカヴァー・トゥエンティワンから出ました。理論だけでなく、企業アカウントの運用や炎上対策まで含む実務ガイドの性格も持ちます。
ULSSASは、UGC、いいね、SNS検索、Googleなどの検索、購買、拡散という循環です。拡散が新たなUGCを生み、再び循環が始まります。従来のモデルであるAIDMAやAISASが企業の発信を起点にするのに対し、ULSSASは「すでに存在するUGC」を起点にする点が違いです。実際、SNSで見かけた商品をその場では買わず、商品名で検索して比べ、後日店舗で買う、といった行動が適用例にあげられます。
実践の柱の一つが「スモール・ストロング・タイの法則」です。Twitterでは、フォロワーが300人以上いる人はごく一部で、企業にとって有効なのはフォロワー30〜399人、ツイート1万以上の層だとされ、ある分析では、多数リツイートされた投稿の元を調べるとこうした層が大半を占めたと紹介されます。商品との相性にも触れ、UGCが生まれやすいのは化粧品、食品、アパレルなど自己表現と結びつく商品で、日用品や人に見せにくい商品は生まれにくいとします。第2部では、UGCが生まれないときこそ、誰のどんな悩みを解決するかを定めるコンテンツマーケティングが役に立つと続けます。
中身の柱
- 第1部:SNSでモノが売れる理由と、企業アカウントの役割
- UGCが大事な理由と、フォロワー数という指標の限界
- ULSSASモデルと、スモール・ストロング・タイの法則
- UGCを生む仕掛け、Twitter以外のSNS、炎上の防ぎ方
- 第2部:コンテンツマーケティング(悩みの特定、量と質、数字の見方)
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概要
かつてはマスメディアや企業の発信が購買の主な情報源だったのに対し、現在はSNS上の一般ユーザーによる投稿(UGC: User Generated Content)が購買の意思決定に強い影響を与えるようになったと指摘し、その購買行動の変化を捉えるための独自のモデル「ULSSAS(ウルサス)」を提示する一冊。著者の飯髙悠太は、ウィキペディア日本語版によれば2014年4月にマーケティングメディア「ferret」の立ち上げに伴い株式会社ベーシックに入社して創刊編集長を務め、2019年1月から株式会社ホットリンクの執行役員CMOを務めた実務家で、2022年7月には株式会社GiftXを共同創業している。本書はディスカヴァー・トゥエンティワンから2019年8月29日に刊行された。ホットリンクのプレスリリースは、これを飯髙の「初となる著書」としている。
書誌上の数字には食い違いがある。ディスカヴァーの書誌は定価を税込1,650円、248ページとするが、ホットリンクのリリースは紙版を1,620円と記しており、価格表記が異なる。内容紹介は「小手先のテクニックではなく、本当に良いものを、それを必要とする人へ届ける」方法論だと述べており、理論の提示だけでなく、企業アカウントの運用や炎上対策までを含む実務ガイドの性格も持つ。
本の構成
ディスカヴァーの目次によれば、全体は二部構成である。第1部「SNS活用編」は全13章で、「SNSでモノが売れるの!?」「企業はSNSでガンガン宣伝すればいい?」「じゃあ、企業アカウントで、何をすればいいの?」「UGCはなぜ大事?」「最終ゴールはフォロワーを増やすこと?」「なぜアカウント運用だけじゃダメなのか」「つまりバズらせればいいということ?」「SNSで売上を出しやすい商品、出しにくい商品」と、素朴な疑問を順に潰していく。第9章「SNS時代の購買はULSSASになる」で中心モデルを示し、第10章「ULSSASを回すポイント① スモール・ストロング・タイの法則」、第11章「ULSSASを回すポイント② UGCを発生させる仕掛け」、第12章「Twitter以外のSNSマーケティング」、第13章「炎上はどう防ぐ?」と実践に入る。
第2部「コンテンツマーケティング編」は全9章で、「UGCが発生しないときこそコンテンツマーケティング」「どうしてコンテンツマーケティングが注目されているの?」「まだPVで消耗してるの?」「誰のどんな悩みを解決するの?」「ユーザーはどんな人?」「メディアは量なのか、質なのか?」「コンテンツって、そんなにたくさん作れるもの?」「どの数字をチェックすればいいの?」「マーケターにとって一番大事な考え方」と続く。章題が問いの形になっているのが特徴である。
主要な内容(詳述)
- UGC(ユーザー生成コンテンツ): 企業ではなく一般のユーザー自身がSNS上に投稿する口コミやレビューを指す。書評(FIND!)によれば、SEOやリスティング広告は、すでにニーズが顕在化した人にしか届かない。一方、友人・家族の推奨は購買への影響が高く、UGCはそれを指名検索につなげるとされる。書評(Share読書.com)は、本書の前提として「99パーセントの情報は届けたい相手に届かない」という認識を挙げ、UGCの特徴を信頼性・行動転換・シェア性の三つと整理している。
- ULSSASモデル: ディスカヴァーの紹介文によれば、UGC→Like(いいね)→Search1(SNS検索)→Search2(Google・Yahoo!検索)→Action(購買)→Spread(拡散)という循環である。Spreadが新たなUGCを生み、再び循環が始まる。AIDMAは解説記事(GMOテック、大和総研)によれば1920年代に米国のサミュエル・ローランド・ホールが提唱した。AISASは電通が提唱したとされ、年は2004年(GMO)と2005年(大和総研)で情報源が分かれる。これらが企業の発信を起点とするのに対し、ULSSASは「すでに存在するUGC」を起点に据える点が違いである。
- スモール・ストロング・タイの法則: ガイアックスのソーシャルメディアラボが公開した第10章の抜粋によれば、Twitterでフォロワーが300人以上いる人はわずか10%程度で、企業にとって有効なのは、フォロワー数30〜399人、ツイート数1万以上のユーザーだという。拡散力のある少数の著名人ではなく、こうした「小さくて強いつながり」の連鎖がバズを生むとされる。同抜粋には、1万9,000リツイートされた投稿のリツイート元から無作為に100アカウントを調べ、49アカウントがフォロワー30〜399人、74アカウントが1万ツイート以上に当てはまり、100のうち94が少なくとも一方に該当したという分析も載っている。ユーザーのメンションは同じ都道府県内に集中し、Twitterは物理的に近い人同士がつながっているという分析も示される。
- フォロワー数という指標の限界: フォロワー数の増加が目的化しやすいが、購買や拡散につながるのはつながりの強さであり、量より質を重視すべきだと説く(第5章の趣旨)。
- 商品とSNSの相性: 書評(FIND!)によれば、UGCが生まれやすいのは化粧品・食品・アパレルなど自己表現と結び付く商品で、日用品や、人に見せにくい商品、購入頻度の低い商品は生まれにくい。
具体例
書評(徒然なるままに)は、楽天リサーチの調査として「3分の2の人がSNSをきっかけに購入やイベント参加を決めた」という数字が本書で紹介されていると伝える。InstagramやTwitterで見かけた商品をその場では買わず、商品名で検索して比較し、後日店舗で買うという行動が、ULSSASの適用例とされる。
スモール・ストロング・タイの具体例は、前述の1万9,000リツイートの分析がもっとも具体的である。書評(FIND!)は、食べログのようなレビューも含め、一般ユーザーの声が友人・家族の推奨に近い信頼を持つと整理している。
実践への応用
広告出稿だけでなく、ユーザーが投稿したくなる体験や仕組みを設計し、UGCから、いいね、検索、購買、次のUGCへとつながる循環全体を意識して施策を組み立てる。フォロワー数という見かけの指標ではなく、濃いつながりを持つユーザー層との関係構築を優先する。SNS上の閲覧が直接の購買にならなくても、後日の検索や店舗購入につながるため、直接のコンバージョンだけで効果を判断しない。自社の商品がSNSで拡散されやすいかを事前に見極める。第13章に沿って、炎上リスクを想定した発信体制を平時から整える。
UGCが生まれにくい商材では、第2部が示すとおり、コンテンツマーケティングで潜在層に届く情報を作る道がある。誰のどんな悩みを解決するのかを定め、PVではなく成果に近い数字で評価する、という順序になる。
位置づけ・評価
「ULSSAS」というモデルを提示し、UGCを軸にしたSNSマーケティングの考え方を体系立てて示した著作として、SNS運用担当者やマーケターに読まれている。書評(iju-kobayashike)は「SNSマーケティングを学ぶなら1冊目に読む本」と評している。従来の消費者行動モデルであるAIDMAやAISASを踏まえ、SNS時代に合わせて更新した後継モデルとして紹介されることが多い。著者はその後、2023年に『SNSマーケティング7つの鉄則』(日経BP)を刊行している(ウィキペディア日本語版による)。