3行でいうと
- 公式が用意している連携は、主に4つです。エージェントCLIの起動、Orca CLI(
orcaコマンド)、スキル(エージェントに使い方を教える手引き)、MCPサーバーの登録(Settings → Integrations → MCP servers)です。 - Orca自身はモデルを持たず、プロンプトやコードは、自分が選んだエージェントの会社へ、そのエージェントから送られます。公式のEnterpriseのページは、Orcaは設定した提供元へ直接送られるプロンプトとコードを「検査も保存もしない」と書いています。
- 公式が運営する範囲は、Orcaのアプリ、Orca CLI、スキルの配布元(GitHubのstablyai/orca)、利用状況のデータの受け皿(PostHog Cloud)、サインインが要る共有リンクとRelayです。エージェントCLI、GitHub、Linear、Jira、MCPで登録する先は、それぞれ別の会社や個人のものです。
- 外から来る文章(課題の本文、Webページ、ほかのエージェントの出力)は、AIへの隠れた指示を含みうるので、信頼できないものとして扱います。公式のスキルの手引きにも、信頼できないチケットの扱いの規則があると書かれています。
- 公式以外が作ったOrca向けの連携の一覧は、公式の資料では確認できていません。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。運営者はOrcaを入れています。ただしこの記事は、実際に使って確かめた記録ではなく、使い心地は書いていません。メニュー名、コマンド、設定名は公式の表記を写しています。公式ページは要約の形で取得したため、読めていない部分は「確認できていない」と書いています。
先に結論
- Orcaは「つなぎ役」。 モデルを提供せず、あなたが契約しているエージェントを動かします。つまり、AIとの「つなぎ方」の中心は、どのエージェントを、どの認証で動かすかです。
- エージェントがOrcaを操作する道もある。 Orca CLIとスキルによって、エージェントが、worktreeを作ったり、ほかのターミナルに入力したり、ブラウザを動かしたりできます。便利な反面、エージェントに渡す権限が増えます。
- 共有やスマホは、サインインが要る。 共有リンクの公開と、スマホとのRelayは、公式の資料でOrcaのアカウントが必要と書かれています。
- MCPの資料は薄い。 公式のドキュメントは、MCPの登録場所を書いているだけで、設定やデータの扱いの詳細は読めませんでした。
前提:用語をそろえる
- エージェントCLI:ターミナルで動くAIのツールです。Claude Code、Codex、Cursor CLIなど。Orcaは、これをターミナルの中で起動します。
- スキル(skill):エージェントに、あるツールの使い方を教える、小さな手引きのファイルです。公式は「SKILL.md」を含むフォルダの形と書いています。
- MCP(Model Context Protocol):AIのツールと、外のサービスをつなぐ共通の決まりです。
- Orca CLI:
orcaというコマンドです。動いているOrcaのアプリを、シェルやエージェントから操作します。 - Relay:スマホとデスクトップのOrcaをつなぐための中継です。公式は、Relayはサインインが要る、と書いています。仕組みの詳細は、読んだ範囲では確認できていません。
- Orcaのアカウント:共有リンクの公開などで使うサインインです。公式のスマホの資料は、デスクトップとスマホを同じOrcaアカウントでサインインする、と書いています。
たとえ話:厨房の「通訳」と「合鍵」
Orcaを厨房(ホール付き)とすると、エージェントCLIは、各社から派遣された料理人です。Orca CLIとスキルは、料理人に渡す「厨房の操作マニュアルと、装置を動かす合鍵」です。マニュアルを渡すと、料理人が自分でほかの調理台を作ったり、ほかの料理人に声をかけたりできるようになります。これは僕らのたとえで、公式の表現ではありません。
向き1:Orcaの中でAIエージェントを動かす
公式が用意しているもの(Orca側)
| 項目 | 公式に書かれていること |
|---|---|
| 対応するエージェント | 公式サイトは27種類、ドキュメントの一覧表には約40種類が並ぶ。「Deep integration」はClaude Code、Codex、Cursor CLIなど。ほかは「自動設定」の度合いが違う。どのCLIも、ターミナルで起動できれば動く |
| 認証 | エージェントを動かすのに、Orca自体のログインは要らない。エージェントの契約と認証をそのまま使う(Orcaのアカウントは、共有リンクとRelay用)。Claude Codeは ~/.claude を自動で拾う。Codexは ~/.codex |
| 複数アカウント | Claude、Codexなどは、アカウントを切り替えられる。Claudeはアカウントごとに別の設定フォルダを持つ。切り替えは認証をやり直さない、とCodexのページに書かれている |
| 状態の表示 | Orcaが入れる「status hooks」で、動いている、待っている、終わった、を表示する。設定の「Agents」か orca agent hooks の status、on、off でも切り替えられる |
| 使用量の表示 | ClaudeやCodexなどの使用量と上限までの時間を、ステータスバーに出す。主に、エージェントがすでに手元に書いている情報を読む |
| Chat UI(experimental) | ターミナルの代わりに、会話の形で見られる画面。「Settings → Experimental → Chat UI」で有効にする |
| セッションの履歴 | 各エージェントが手元に書いたセッションのファイルを、一覧にして、再開できる |
エージェントのフォルダに、Orcaが書くものも分かっています。公式は、Codexの ~/.codex に、Orcaのフックを書く(変更があったときだけ)、と書いています。Claude側のフックの書き込み先は、読んだページには書かれていませんでした。
第三者が運営するもの(エージェント側)
エージェントCLIを作っている会社(Anthropic、OpenAI、Cursorなど)は、Orcaとは別の会社です。プロンプトとコードをどう扱うか、学習に使うかどうかは、それぞれの会社の規約と設定によります。この記事の根拠にしたOrcaの資料には、それらの扱いは書かれていません。使うエージェントごとに、その会社の公式の資料で確かめてください。
向き2:エージェントがOrcaを操作する(Orca CLIとスキル)
Orca CLI(公式が運営)
公式の「Orca CLI overview」によると、次のとおりです。
| 項目 | 公式に書かれていること |
|---|---|
| 何か | orca コマンド。動いているOrcaのアプリを、シェルやAIエージェントから操作する。worktreeの作成、ターミナルへの入力、ファイルと差分、組み込みのブラウザ、スケジュール実行、スマホのエミュレータなど |
| 入れ方 | アプリに同梱。「Settings → General → Orca CLI」で登録する。確認は command -v orca と orca status --json。Linuxでは、GNOME Orcaとの衝突を避けるため、コマンド名は orca-ide(Installページ) |
| 例 | orca worktree create --repo id:<repoId> --name my-task --json、orca terminal send --text "continue" --enter --json、orca goto --url https://example.com --json |
| 条件 | 動いているOrcaのアプリが要る。アプリとCLIのバージョンは合わせる |
| 注意 | orca worktree rm の --force はworktreeを消す。成果物の公開は「Settings → Artifacts」でオプトイン |
スキル(公式が配布)
公式の「Orca skills registry & MCP」によると、Orcaは、エージェントに入れる「スキル」を配っています。
| スキル名 | 用途(公式の表) |
|---|---|
orca-cli |
worktree、ターミナル、ファイル、自動実行、組み込みのブラウザ |
orchestration |
複数のエージェントの実行、タスク、監督つきのワーカー、メッセージ、ゲート |
computer-use |
アクセシビリティの情報による、デスクトップアプリの操作 |
orca-linear |
orca linear によるLinearのチケットの読み書き |
orca-emulator / orca-emulator-android |
iOSシミュレーター、Androidのエミュレーターや実機(adb)の操作 |
orca-per-workspace-env |
worktreeごとの環境の設定(orca.yaml) |
- 入れ方。
npx skills add https://github.com/stablyai/orca --skill <名前> --global。画面のないホスト(SSH、コンテナ、CIなど)では、orca skills installとorca skills updateが使えます。--dry-runで、実行内容を先に確かめられます。 - データの流れ。 スキルは、
npxを通して、公開のGitHubのリポジトリから取得されます。そのリクエストが何を送るかは、公式のページには書かれていませんでした。手引きの本体は、手元で動くCLIから読み込まれます。 - 共有(Share)。 自分のスキルを共有するには、Orcaのアカウントが要ります。共有は、取り消せる、一覧に載らないリンクで行われ、リンクを知っている人は、サインインなしで見て、入れられます。エージェントが自分で共有できるようにする権限は、既定でオフです。公式は、共有リンクを認証情報のように扱い、取り消しても、すでに入れられたコピーは消えない、と注意しています。
- 注意。 入れるファイルや、スクリプト、実行ファイルは、入れる前に確認します。変更したスキルの既定は「Keep local」です。「orca-linear」を読んでからチケットを変える、ことが勧められ、そこには信頼できないチケットのための規則があると書かれています。
MCP
公式のページが書いているのは、「Settings → Integrations → MCP servers」で、MCPのエンドポイント(接続先のアドレス)を登録でき、登録したツールは、MCPに対応するエージェントCLIに出る、という点だけです。リポジトリごとのMCPの設定は、選んだホスト側に残る、とSettingsの資料に書かれています。OrcaがMCPサーバーを提供しているか(Orca自身が、ほかのAIアプリから呼ばれるMCPサーバーになるか)は、読んだ範囲では確認できていません。
向き3:Orcaが外のサービスにつながる
| 連携 | 公式に書かれていること | 運営するのは |
|---|---|---|
| GitHub | 「Settings → Integrations」でつなぐ。PR、issue、Actionsの失敗、プロジェクトのボードを見る。設定の一覧には「GitHub OAuth」とある。認証の詳しい方法は、読んだページには明記がない(gh の認証に触れる記述がある) |
GitHub(Orca側は画面と操作) |
| Linear | 個人のAPIトークンを「Settings → Integrations → Linear」に入れる。課題からworktreeを作れる。トークンの保存先は、読んだページには書かれていない | Linear |
| Jira | Cloudは、サイトのURL、メール、APIトークン。Server/Data Centerは、個人アクセストークンなど。資格情報はOSのキーチェーンで暗号化され、手元に保存される、と書かれている | Atlassian |
| Bitbucket Cloud | 「Hosted reviews, issues & Actions」に、同じ画面から「Connect」でつなぐ、と書かれている。認証は「Email & API token」か「Access token」で、保存の前にOrcaが資格情報を確かめる。Bitbucket Cloudには下書きのPRがないため、Draftの切り替えは出ない。環境変数 ORCA_BITBUCKET_ で始まるものは、保存した資格情報より優先される |
Atlassian |
| ブラウザ | 組み込みのブラウザに、ChromeやEdgeのクッキーを取り込める。Googleのクッキーは取り込めない | Orca(組み込み)。取り込むサイトの情報は利用者のもの |
| SSH | 遠隔のホストに、公式が配る固定版のOrcaのサーバーを入れて動かす。パスフレーズはセッションの間メモリに置く | 自分や自分のチームのマシン |
| Orcaのアカウント、Relay、共有リンク | サインインが要る。共有リンクの公開は既定でオフ。上限は10 MiB | Orca(Stably, Inc.) |
| 利用状況の匿名データ | 匿名IDと、アプリの使い方の粗い情報。プロンプト、パス、リポジトリ名は送らない、と書かれている | PostHog Cloud(米国) |
一部の使用量の表示には、資格情報を入れる設定があります。公式のドキュメントは、OpenCode Goのクッキーのヘッダー全体、GLMのプランのAPIキーを、設定に保存する必要がある、と書き、これらは認証情報なので慎重に扱うよう書いています。
公式が運営するものと、第三者のもの
| 区分 | 例 | 運営するのは | 公式の資料での扱い |
|---|---|---|---|
| 公式が運営 | Orcaアプリ、Orca CLI、スキル(orca-cli など)、GitHub上のリポジトリ(stablyai/orca)、共有リンクとRelay、ドキュメント |
Stably, Inc. | ドキュメントと更新履歴に仕様が書かれている。一部にbeta、experimentalの表示 |
| 公式が窓口になる外部の基盤 | 利用状況の受け皿(PostHog Cloud)、スキル配布に使うGitHubとnpm系の仕組み(npx) |
PostHog、GitHubなど | 受け皿はPrivacy & Telemetryに書かれている。npx の通信の中身は書かれていない |
| 第三者のエージェント | Claude Code、Codex、Cursor CLI、GitHub Copilot CLI、Gemini、Antigravity、そのほか | それぞれの会社 | 一覧に名前が挙がる。データの扱いは各社の方針による |
| 第三者のサービス | GitHub、Linear、Jira、Bitbucket Cloud、Tailscale(遠隔の接続に勧められる) | それぞれの会社 | 連携の方法が書かれる。データの扱いは各社の方針による |
| コミュニティ製・第三者製のOrca連携 | MCPで登録する外部のサーバー、自作のスキル | 作った会社や個人 | 自作のスキルは skills/<名前>/SKILL.md の形で使える、と書かれている。コミュニティが作ったOrca向けの連携の一覧は、公式の資料では確認できていない |
公式のSettingsには「Plugins(Experimental)」という節があります。中身は読めておらず、公式の仕組みか第三者向けかも確認できていません。コミュニティが作った連携や、外のサイトのまとめは、この記事の根拠にしていません。使う場合は、作者と、データがどこへ送られるかを、自分で確かめてください。
データはどこへ流れるか
| つなぎ方 | 流れ先(公式の記載) |
|---|---|
| エージェントの起動 | プロンプトとコードは、選んだエージェントの会社へ。Orcaは「検査も保存もしない」とEnterpriseのページに書かれている |
| Annotate AI Diff | 行ごとのコメントを、1つの依頼としてエージェントへ。コメントの文面(Markdown込み)が送られる |
| Design Mode | クリックした部品のHTML、CSS、切り抜きの画像、(あれば)ソースの場所を、エージェントへ |
| Linearの課題から作業を始める | 課題の本文、コメント、サブ課題の画像などが、エージェントを起動するときの依頼の文脈に入る |
| スキルの入れ方・更新 | GitHubから npx で取得 |
| スキルの共有 | Orcaのアカウントで公開、取り消し可能な一覧に載らないリンク。リンクを知る人は誰でも入れられる |
| スマホのコンパニオン | 1回限りのコードでペアにする。端末ごとのトークン。経路(Relay、LAN、Tailscale)の詳細は読めていない |
| 利用状況 | PostHog Cloud(米国)。ファイルパス、リポジトリ名、プロンプトなどは送られない、と書かれている |
| SSH、Remote Orca Server | 自分が用意した遠隔のマシン。Orcaはそのためのマシンを売っていない |
気をつけること
- 運営者はOrcaを入れています。ただしこの記事は、実際に使って確かめた記録ではなく、公式の資料を読んだ範囲のまとめです(使い心地は書いていません)。公式の説明を読んだ範囲です。
- エージェントに、Orcaの操作権限を渡すと、できることが増えます。 たとえばSSH先のホストの
orcaコマンドは、既定ではOrcaを操作できず、設定の「Allow this host's orca CLI to control Orca」を入れると、worktree、ターミナル、仕事の割り当てまで操作できる、と書かれています。 - 外から来る文章(課題の本文、Webページなど)に、AIへの隠れた指示が入っていることがあります。公式の資料には、プロンプトインジェクションの一般的な説明のページは、読んだ範囲では見つかりませんでした。エージェントに許す操作は、必要最小限にすることをおすすめします(見立て)。
- 遠隔のサーバーにつなぐ「ペアリング用のURL」は、パスワードのように扱うよう書かれています。公開のインターネットに直接ポートを開けない、とも書かれています。
- 設定画面の名前は、ドキュメントの間で食い違いがありました。「Privacy」という設定はテレメトリのページにありますが、設定の一覧のページには見当たりません。
- 公式が「beta」「Experimental」と書くもの(Chat UI、Orchestration、スマホ、Remote Orca Server、Cloud VM、Computer use)は、仕様が変わる可能性があります。
- 法律や契約の解釈は、公式の規約や専門家に確認してください。この記事は助言ではありません。
出典
- Orca skills registry & MCP(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Orca CLI overview(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Supported agents(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Claude Code in Orca(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Hot-swap Codex accounts(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Agent hooks & memory(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Chat UI (native chat)(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Agent session history(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Usage & rate-limit tracking(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Settings reference(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Hosted reviews, issues & Actions(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Linear items drawer(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Jira items drawer(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Browser-use profiles(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- SSH worktrees(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Remote Orca Servers(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Mobile companion(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Annotate AI Diff(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Design Mode(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Privacy & Telemetry(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Enterprise(Orca公式、確認日 2026-10-23)
- Rich markdown editor(Orca Docs、確認日 2026-10-23)