3行でいうと
- 中心の考え方は「1つの作業に、1つのworktree、1つのエージェントのターミナル、1つのブラウザタブ」です(公式のドキュメントの冒頭)。
- 公式が最初に勧める使い方は「同じ課題を3つのエージェントに同時にやらせ、いちばんよいものを選ぶ」ことです(「Your first 3-agent session」)。
- 見張る・見直す機能が厚いのが特徴です。差分に行ごとのコメントを付けてエージェントに返す「Annotate AI Diff」、画面の部品を指してエージェントに渡す「Design Mode」、状態が見える一覧、スマホのコンパニオンなどです。
- 「Orchestration」(experimental)、「Computer use」(Beta)、「Chat UI」(experimental)、「agent hibernation」(experimental)など、試験的と明記された機能もあります。区別して読みます。
- 公式は、Orcaを「モデルでも、gitの代わりでも、ノーコードのツールでもない」と書いています。差分を読み、コミットを管理する人向けです。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。運営者はOrcaを入れています。ただしこの記事は、実際に使って確かめた記録ではなく、使い心地は書いていません。メニュー名やボタン名は公式の表記を写しています。公式ページは要約の形で取得したため、読めていない部分は「確認できていない」と書いています。
先に結論
- 一言でいえば「エージェントの交通整理」。 エージェント自体はClaude Codeなどが担当し、Orcaは、どの作業がどこにあり、誰が動いていて、誰が待っているかを整理します。
- 有意義な使い方は3つに絞れる。 ①同じ課題を複数のエージェントに競わせる、②エージェントの出した差分を、自分の目で行ごとに直す、③画面の不具合を、見た目の部品を指して直させる、です。いずれも公式が「Recipes」として手順を載せています(②と③は、公式の手順の形を僕らが簡単にまとめました)。
- 自分のパソコンの外へも出せる。 SSH先のマシンや、常時動かすサーバーでエージェントを動かし、スマホから様子を見られます。ただし、スマホのコンパニオンとRemote Orca Serverは、公式がbetaと書いています。
- 全部を使う必要はない。 最初は、worktreeを作って、エージェントを起動して、差分を見る、の3つで足ります(見立て)。
前提:用語をそろえる
- worktree:同じリポジトリの、別の作業用コピーです。Orcaは、1つの作業ごとに1つ作ります。公式は、作ったworktreeを削除すると、そのブランチも一緒に消える、と書いています。
- ブランチ:gitで、作業の枝分かれを管理する単位です。
- diff(差分):変更前と変更後の違いを、行ごとに並べた表示です。
- ターミナル / TUI:黒い画面でコマンドを打つアプリと、そこで動く文字だけの画面です。
- ペイン / スプリット:画面を分割して並べる、各枠と分け方です。
- PR(プルリクエスト):変更を取り込んでもらうための依頼です。GitHubなどの用語です。
たとえ話:3人の見習いに同じ宿題を出す
3人の見習い(エージェント)に、同じ宿題(バグ修正)を、別々の机(worktree)で出します。3人とも同じ答えなら、たぶん正しい。答えが割れたら、そこが難しい部分かもしれない。公式の「Race three agents on the same task」にも、ほぼそのとおりのことが書かれています。最後に、いちばんよい答案だけを提出して(コミットしてプッシュして)、残りの机は片づけます。これは僕らのたとえです。
公式が挙げる主な機能
公式サイトの機能一覧(「Agent-first, end to end.」)と、ドキュメントの項目を、まとめました。
| 機能 | 公式の説明(要点) | 公式のどこに |
|---|---|---|
| Parallel Worktrees | 作業ごとに、独立したgit worktreeを作る。同じ課題を複数のエージェントに走らせて、見比べられる | 公式サイトの機能一覧、リポジトリのREADME、ドキュメント「Worktrees」 |
| Terminal Splits | 画面を無限に分割して、複数のターミナルを並べる。スクロールバックの検索や、再起動をまたぐ保持もある | 公式サイト、README、ドキュメント「Terminal」 |
| 対応するエージェント | 公式サイトは27種類を名指し、ドキュメントの一覧表には約40種類が並ぶ。どのCLIでも、ターミナルで起動できれば使える | 公式サイト、ドキュメント「Supported agents」 |
| Annotate AI Diffs | 差分の行にコメントを付け、まとめて1つの依頼としてエージェントに送る | ドキュメント「Annotate AI Diff」 |
| Design Mode | 組み込みのブラウザで、画面の部品を指して、エージェントに文脈として渡す | ドキュメント「Design Mode」 |
| GitHub & Linear(native) | PR、issue、プロジェクトのボードをアプリ内で見る。Jiraも別の項目にある | ドキュメント「Hosted reviews, issues & Actions」「Linear items drawer」「Jira items drawer」 |
| SSH Worktrees | 遠隔のマシンでエージェントを動かす。自動の再接続とポート転送がある | 公式サイト、ドキュメント「SSH worktrees」 |
| Orca CLI | orca というコマンドで、Orcaの中身(worktree、ターミナル、ブラウザなど)をスクリプトやエージェントから操作する |
ドキュメント「Orca CLI overview」 |
| Account Switcher & Usage Tracking | 契約中のアカウントを切り替え、使用量と、上限が近いことを見る | 公式サイト、ドキュメント「Usage & rate-limit tracking」 |
| スマホのコンパニオン | 実行中のエージェントの状態を見る、返事を送る、完了の通知を受ける | ドキュメント「Mobile companion」 |
| エディタとビューア | コードのエディタ(Monaco)、リッチなMarkdownのエディタ、HTML、Mermaid、PDF、画像のビューア | ドキュメント「Editing in Orca」の各ページ |
ほかにも、ドキュメントには、セッションの復元、Quick Open、通知の受信箱、エージェントの履歴、定期実行の「Scheduled automations」などの項目があります。
場面ごとの使い方と、公式のどこに書かれているか
場面1:同じ課題を3つのエージェントに競わせる
- やり方(公式の手順)。 同じ開始点から、
fix-bug、fix-bug-2、fix-bug-3のようにworktreeを3つ作り、Claude Code、Codex、Cursor CLIなど別々のエージェントを起動して、同じ依頼を貼ります。タブを画面の端へドラッグして、3つを並べて見ます。終わったら、それぞれの差分を見て、いちばんよいものをコミットしてプッシュし、残りを削除します。 - 公式のどこに。 ドキュメント「Your first 3-agent session」と、Recipesの「Race three agents on the same task」。worktreeの削除でブランチも消える点は、ドキュメント「Worktrees」のページにあります。
- 公式が書く利点。 並列に走らせるほうが、1つのエージェントで順番にやり直すより安い、と書かれています。3つが同じ答えなら、おそらく正しい、割れたなら、最も難しい部分が見つかった、とも書かれています。
- 気をつけること。 worktreeを削除すると、そのブランチも消えます。残したいものは、削除の前にコミットして、プッシュしておきます。
場面2:エージェントの差分を行ごとに直させる
- やり方。 差分の行にマウスを置くと「+」が出ます。クリックするか、
cキーでコメントを書き、最後に上部の「Send to agent」で、全部まとめて1つの依頼として送ります。送り先は「Send notes to」のメニューで選びます。 - 公式のどこに。 ドキュメント「Annotate AI Diff」、Recipesの「Review an AI diff line-by-line」。
- 公式の注意。 コメントを1つずつ送ると、エージェントが「行ったり来たり」するので、まとめて送るよう書かれています。「Resolve」にしていないコメントは、次の送信にも入ります。
- 関連する機能。 「Attribution」は、エージェントが書いた行に、差分の画面で小さな印を付けます。人が書き換えると、人の行に戻ります。公式は、この記録はgitにはコミットされず、残すなら、差分のメタデータを書き出す、と書いています。
場面3:画面の不具合を、見た目の部品を指して直させる
- やり方。 Orcaのブラウザで、ツールバーのDesign Modeを入れ、直したい部品をクリックします。1回のクリックで、その部品のHTML、計算されたCSS、切り抜きの画像、(開発用のソースマップがあれば)ソースのファイルと行が、エージェントのターミナルに添付されます。エージェントがソースを直すと、画面が自動で更新されるので、同じ部品を押し直して確かめます。
- 公式のどこに。 ドキュメント「Design Mode」、Recipesの「Fix a UI bug with Design Mode」。
- 注意。 読んだDesign Modeのページには、betaや実験的という表示はなく、「Browser & Design Mode」の通常の機能として載っています。1回のクリックで、部品のHTML、計算されたスタイル、切り抜きの画像、(開発用のソースマップがあれば)ソースのファイルと行が、1つの添付としてエージェントのターミナルに入る、と書かれています。
場面4:issueやチケットから作業を始める
- やり方。 作業用のドロワーに、GitHub、Linear、Jiraの課題が並びます。課題から作業用のworktreeを作ると、名前と課題が結びつき、LinearのブランチがあればOrcaがそれを使います。Linearのスクショなどの画像も、エージェントを起動するとき、依頼の文脈に入る、と書かれています。
- 公式のどこに。 ドキュメント「Linear items drawer」「Jira items drawer」「Hosted reviews, issues & Actions」。
- 公式の注意。 worktreeの詳細の「Issue」欄は1つのリンクで、GitHubとLinearで共通です。新しいリンクを保存すると前のものが置き換わる、と書かれています(worktreeのページには、レビューやタスクを複数結べる「Linked work」の記述もあります)。
場面5:遠隔のマシンで動かし、スマホで見張る
- やり方。 「Settings → SSH」の「Add Target」でSSH先を登録し、worktreeを作るとき、ローカルの代わりにSSH先を選びます。エージェントとgitは遠隔のホストで動き、エディタと差分は手元に残ります。回線が切れても、遠隔のエージェントは動き続けます。
- 公式のどこに。 ドキュメント「SSH worktrees」「Ways to run Orca」。
- スマホ。 コンパニオンのアプリは、状態(working、done、waiting)の確認、短い返事、ファイルの閲覧、コミット、完了の通知などができます。完全なエディタではありません(ドキュメント「Mobile companion」)。betaと書かれています。
- 注意。 遠隔でエージェントが動き続けるので、回線が切れたあとに、同じworktreeで2つ目を起動しないよう確認します。
場面6:毎日・毎週の仕事を、定期的に走らせる
- やり方。
orca automations createに、名前、きっかけ(hourly、daily、weekdays、weekly、cron式など)、依頼の文、使うエージェント(codex、claudeなど)を指定します。アプリの「Automations」ページからも作れます。 - 公式のどこに。 ドキュメント「Scheduled automations」。
- 公式の注意。 まず
--disabledで作って、確かめてから有効にします。removeは、実行の履歴ごと消します。アプリを開いたままにする必要があるかは、読んだ範囲では確認できていません。ほかに、実行の前に確かめのコマンドを走らせる--precheck "<command>"(終わりのコードが0以外なら、その回は見送りとして記録)、前回のターミナルを使い回す--reuse-sessionと、毎回新しくする--fresh-session、時間帯を決める--timezoneがあります。
場面7:複数のエージェントに役割を分けて任せる
- やり方。 「Orchestration」は、「Run」(仕事のまとまり)に「Task」を作り、それぞれにワーカー(エージェント)を割り当てる仕組みです。ワーカーは、終わったら
worker_doneで報告します。 - 公式のどこに。 ドキュメント「Orchestration」。
- 注意。 公式は「experimental」と書いています。「Settings → Experimental」で有効にします。古いコマンド(
orchestration runなど)は何もしない、とも書かれています。
場面8:パソコンのアプリそのものを、エージェントに操作させる
- やり方。
orca computerのコマンドで、実行中のアプリの一覧、画面の構造の読み取り、クリック、入力、スクリーンショットなどができます。 - 公式のどこに。 ドキュメント「Computer use」。
- 注意。 公式は「Beta」と書き、コマンドの旗(フラグ)の名前は今後変わりうる、とも書いています。権限は、アクセシビリティが要り、macOSではさらに「画面収録」が要る、と書かれています。操作の対象が自分のパソコン全体に及ぶので、使う前に、何を許すかを決めておきます(見立て)。
場面9:使っていないエージェントを休ませる(experimental)
- やり方。 「Settings → Experimental → Agent hibernation」を入れると、終わって何もしていないエージェントのターミナルを一時停止し、そのworktreeをもう一度開くと自動で再開します。既定ではオフです。対象は、終わっていて、再開できるセッションを持つエージェントだけで、既定では30分の何もしない時間を置きます。
- 公式のどこに。 ドキュメント「Agent hibernation」。公式は「Experimental」と書いています。
どの順で試すと分かりやすいか(見立て)
ここは公式の説明ではなく、僕らの見立てです。
- 小さなリポジトリを追加して、worktreeを1つだけ作り、エージェントを動かして、差分を見る。
- 同じ課題で、worktreeを3つにして、見比べる(場面1)。
- 差分に行ごとのコメントを付けて、返す(場面2)。
- 余裕が出たら、SSH先、スマホ、定期実行などへ広げる。
気をつけること
- 運営者はOrcaを入れています。ただしこの記事は、実際に使って確かめた記録ではなく、公式の資料を読んだ範囲のまとめです(使い心地は書いていません)。公式がそう説明している、という範囲です。
- 公式が「Experimental」や「beta」と書く機能(Chat UI、Orchestration、agent hibernation、Computer use、スマホのコンパニオン、Remote Orca Server、Cloud VM)は、仕様が変わる可能性があります。
- 公式の「Jump between 10 worktrees」のレシピは、題名だけ確認し、本文は読めていません。
- エージェントに作業を任せるときは、書き換えやコマンド実行が起きます。「Settings → Agents」の「Agent permissions」には、Manual、Auto、Yoloがあります。公式の「Supported agents」は、Yoloでは各CLIの承認を省くフラグ(Claudeは
--dangerously-skip-permissions、Codexは--dangerously-bypass-approvals-and-sandboxなど)を、新規の起動で事前入力する、と書いています。同じページは、起動の引数や環境を自分で変えているエージェントにはこの切り替えが及ばないこと、1つのエージェントだけ確認を戻すにはその既定の引数や環境を編集することも書いていますが、Manualが何を確認するかの説明は、読んだ範囲では見つかりませんでした。Autoが使えるのはClaude、Claude Agent Teams、Codexで、ほかのエージェントはManualかYoloです(Settings reference)。使う前に、どの設定になっているかを確かめてください。 - 法律や契約の解釈は、公式の規約や専門家に確認してください。この記事は助言ではありません。
出典
- What is Orca?(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Your first 3-agent session(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Orca(公式サイト、Stably, Inc.、確認日 2026-10-23)
- Orca README(stablyai/orca、GitHub、確認日 2026-10-23)
- Worktrees(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Supported agents(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Race three agents on the same task(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Annotate AI Diff(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Attribution(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Design Mode(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Linear items drawer(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Jira items drawer(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Hosted reviews, issues & Actions(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- SSH worktrees(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Ways to run Orca(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Mobile companion(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Scheduled automations(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Orchestration(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Computer use(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Orca CLI overview(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Usage & rate-limit tracking(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Chat UI (native chat)(Orca Docs、確認日 2026-10-23)
- Agent hibernation(Orca Docs、確認日 2026-10-23)