3行でいうと
- 基本の機能は「文章または画像から曲を作る」ことです。歌詞を自分で書いて渡すことも、AIに書かせることも、楽器だけにすることもできる、と公式にあります。
- 長さは入口とモデルで違います。Geminiアプリのヘルプは「短い、約1分、フルで約2〜3分」から選ぶと書き、Gemini APIのLyria 3 Clipは常に30秒です。
- Flow Musicでは、曲の一部を選んで書き換える、カバー・延長・置き換え(Extend、Cover、Replace)などのリミックスができる、と公式のヘルプにあります。
- 公式が紹介する使い道は、動画のBGM、会社の短い宣伝曲、誕生日の曲、着信音、ゲームの音楽などです。公式は、完璧な名曲より「楽しく自分を表現すること」を目的にした機能だと書いています。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。公式のページは要約の形で取得したため、「書かれていない」と言い切らず、「読んだ範囲では見つからなかった」と書いています。
先に結論
- まずここから。 Geminiアプリで、ジャンル・雰囲気・テーマを一文で書いて、30秒〜数分の曲を作る。公式のヘルプのプロンプトのコツは、動詞(write、compose、createなど)で始める、ジャンルと必要なら楽器を書く、題材と場面を書く、の3点です。
- 気に入ったら深掘り。 曲を何度も直したい、一部だけ変えたい、という場合は、公式のヘルプがその機能を説明しているFlow Musicが向いていそうです(これは僕らの見立てです)。
- コードから使いたいとき。 Gemini APIのプロンプトガイドが、歌詞のタグ、時刻の指定、ボーカルの指定などの書き方を載せています。
- できないこと(公式が書いている範囲)。 Gemini APIのLyria 3.5は、1回で作り切る形で、生成した曲を続けて直す編集には、現行版では対応していない、と書かれています。Lyria RealTimeは楽器だけです。
前提:用語をそろえる
- プロンプト:作りたい曲の説明文。ジャンル、雰囲気、楽器、歌詞の主題などを書きます。
- インストゥルメンタル:歌のない、楽器だけの曲。公式のドキュメントは、プロンプトで指定すればよいと書いています。
- BPM:1分あたりの拍数。曲の速さの目安。
- セクションタグ:歌詞やプロンプトの中に
[Verse](Aメロ)、[Chorus](サビ)のように書く目印。公式のプロンプトガイドが紹介しています。 - ステム:ボーカル、ドラムなど、パートごとに分けた音のデータ。Flow Musicの料金ページには「Stem downloads」の項目があります。
- Lyria RealTime:その場で演奏するように音を流し続けるモデル。公式は「実験的(experimental)」と書いています。
たとえ話:頼み方は、作曲家への「依頼メモ」
Lyriaへの指示を、作曲家に渡す依頼メモだと考えてみます。「落ち着いた曲を」だけでも曲は返ってきますが、「ジャンル、速さ、使う楽器、歌い手の声の感じ、歌詞の話題」を書くと、返ってくる曲の方向がそろいやすくなります。公式のプロンプトガイドも、まず主なジャンルを書き、次に楽器、質感、テンポ、調、雰囲気を足す、という順を勧めています。これは僕らのたとえです。
場面ごとに:できることと、公式のどこに書かれているか
| 場面 | できること(公式の説明) | 公式のどこに書かれているか |
|---|---|---|
| 自分の気持ちや話題を、短い曲にしたい | 文章を書くか、写真をアップロードして、30秒ほどの曲と表紙の絵を作る。写真や思い出を題材にできる | Googleのブログ「Use Lyria 3 to create music tracks in the Gemini app」(2026年2月18日付) |
| 数分の「本格的な」曲にしたい | モデルを「Pro」に切り替えて、フルの曲(約2〜3分)を作る。Lyria 3 Proは、イントロ、Aメロ、サビ、ブリッジの構成を指定できる | Gemini Appsヘルプ、Googleのブログ「Lyria 3 expands to more Google products」(2026年3月25日付) |
| 動画のBGMを作りたい | Google Vidsで、ジャンル、状況、雰囲気、歌詞を書いて、約3分の「Full」か約30秒の「30s」を作り、場面に挿入する。Geminiの紹介では、動画のBGM、会社の宣伝曲、着信音も例に挙がる | Google Docs Editorsヘルプ「Generate music with AI in Google Vids」、Googleのブログ(2026年9月4日付) |
| 自分の歌や録音から曲を作りたい | Flow Musicで、マイクで録音する、自分の音声を追加する、画像を加える、といった「参照」を付けて指示できる | Google Flowヘルプ「Create & manage songs in Google Flow Music」 |
| 曲の一部だけ直したい | 曲の区間を選んで、歌詞を書き換える、翻訳する、ビートの落とし方を変える、区間をサンプルにして別の方向へ延ばす、などができる(2026年5月19日付の更新の説明) | Googleのブログ「New agents, mobile apps and Gemini Omni for Google Flow and Google Flow Music」 |
| 既存の曲を別の雰囲気にしたい | 「More > Remix」から、Extend、Cover、Replaceを選び、変えたい区間を指定して、変更の内容を書く。ヘルプは各項目の細かな違いまでは説明していない | Google Flowヘルプ「Create & manage songs in Google Flow Music」 |
| ミュージックビデオも作りたい | Flow Musicで、Gemini Omniを使い、会話でミュージックビデオを作る。公式は、すべてのGoogle AI加入者が使えると書く | Googleのブログ(2026年5月19日付) |
| DAWで使うツールを作りたい | Flow Musicの楽器やエフェクトをDAW(音楽制作ソフト)で使う、公式のヘルプがある。公式のブログは、プロデューサーが自分の音楽制作のツールを「バイブコーディング」できると紹介している | Google Flowヘルプ「Use Flow Music instruments & effects in your DAW」、Googleのブログ(検索結果の見出しのみ。本文は読めていません) |
| アプリに音楽機能を組み込みたい | Gemini APIの lyria-3.5(曲全体)、lyria-3-clip-preview(常に30秒のMP3)、lyria-realtime-exp(流し続ける演奏)を使う |
Gemini APIの「Generate music with Lyria 3.5」「Lyria RealTime」 |
| 企業のサービスで大量に作りたい | Vertex AIで、Lyria 3 Proは最大3分、Lyria 3は最大30秒。画像から作ることもできる。ブログは、ゲームの曲やSNS用素材などを想定として挙げる | Google Cloudのブログ(2026年4月7日付) |
| YouTube Shortsの音楽を作りたい | Dream Trackで、短い説明(YouTubeアプリでは50文字まで、YouTube Createアプリでは85文字まで)から、ショートの音楽を作る。作られた音楽には「Dream Trackで作った」旨のラベルが付き、ダウンロードはできない | YouTubeヘルプ「Dream Track in Shorts」 |
指示の書き方:公式のプロンプトガイドから
Gemini APIの「Lyria prompt guide」が書いている要点です(確認日10月23日)。
- 順番: 主なジャンル(ほかのジャンルや年代・地域と混ぜてもよい)→ 楽器・質感・テンポ・調・雰囲気、の順。楽器を書かなければ、Lyriaが自動で選びます。
- 曲の構成: Lyria 3.5では
[Intro] -> [Verse 1] -> [Chorus]のように、矢印やタグで進行を書けます。エネルギーの変化(高まってから静かになってサビ、など)も言葉で書けます。 - 時刻の指定: 「12秒でビートが落ちる」「22秒でサビが入る」のような目安も書けます。
- 歌詞:
Lyrics:の見出しの下に、[Verse 1]のようなタグ付きで歌詞を書きます。括弧で、コーラスやアドリブを示します。歌詞をAIに書かせたいときは、物語、感情、入れたい言葉を伝えます。 - 歌のない曲: Lyria 3.5は既定で声が入りますが、インストゥルメンタルと頼めます。
- 声の指定: 性別、音域、音色(ソプラノ、アルト、テノール、バリトン、ざらついたロックの声など)を書けます。
- 言語: 歌詞はプロンプトの言語に従う、と「Generate music with Lyria 3.5」に書かれています。プロンプトガイドは、言語の対応については書いていません。
Geminiアプリ側の公式ヘルプのコツは、動詞で始める、ジャンルと楽器を書く、題材・動作・場面を書く、です。
公式が述べている「この機能を使う意味」
- Googleのブログ(2026年2月18日付)は、この機能の目的を「楽しく、自分らしく表現すること」であり「音楽の傑作を作ること」ではない、という趣旨で書いています。
- Googleのブログ(2026年9月4日付)は、新しいテンプレートが「背景の音楽から誕生日の曲まで」に及ぶと書き、別の箇所で、動画のバックトラック、ブランドのジングル、着信音を使い道として挙げています。
- Flow Musicについては、公式は「アーティストやAIクリエイティブ向け」と位置づけています(同じブログ)。
気をつけること
- 同じ操作が、どの入口でもできるわけではありません。 曲の一部の書き換えやリミックスはFlow Musicのヘルプにあり、Geminiアプリのヘルプにはありません。Gemini APIのLyria 3.5は、現行版では続けての編集に対応しない、と書かれています。
- 結果は毎回少し違います。 公式のドキュメントは、同じプロンプトでも呼び出しごとに結果が変わりうる、と書いています。
- ブロックされる依頼があります。 Gemini APIの説明には、特定のアーティストの声や、著作権のある歌詞を求める依頼は、安全のフィルターで止められると書かれています。Vidsのヘルプも、特定のアーティスト名やブランド名を避けるよう書いています。詳しくは04で扱います。
- 歌詞や語りの内容に注意。 公式のモデルカードは、露骨、暴力的、有害な活動や、違法行為、権利の侵害、誤情報などにかかわるシステムにこのモデルを組み込まないよう書き、Googleの生成AI禁止使用ポリシーが適用されるとしています。
- 日本語の曲づくりについて。 日本語が使えるかどうか、歌詞の発音の品質は、公式の資料では具体的に確認できていません。2026年2月のブログのGeminiアプリの対応言語には、日本語が入っています。
出典
- Use Lyria 3 to create music tracks in the Gemini app(Google、2026-02-18、確認日 2026-10-23)
- Lyria 3 expands to more Google products, adds more features(Google、2026-03-25、確認日 2026-10-23)
- Create your best tracks yet with Lyria 3.5 in Gemini(Google、2026-09-04、確認日 2026-10-23)
- New agents, mobile apps and Gemini Omni for Google Flow and Google Flow Music(Google、2026-05-19、確認日 2026-10-23)
- Generate music with Gemini Apps(Gemini Apps Help、確認日 2026-10-23)
- Create & manage songs in Google Flow Music(Google Flow Help、確認日 2026-10-23)
- Generate music with AI in Google Vids(Google Docs Editors Help、確認日 2026-10-23)
- Create AI-generated soundtrack in Shorts with Dream Track(YouTube Help、確認日 2026-10-23)
- Generate music with Lyria 3.5(Gemini API、Google AI for Developers、確認日 2026-10-23)
- Lyria prompt guide(Gemini API、Google AI for Developers、確認日 2026-10-23)
- Lyria RealTime(Gemini API、Google AI for Developers、確認日 2026-10-23)
- Lyria 3 and Lyria 3 Pro on Vertex AI(Google Cloud、2026-04-07、確認日 2026-10-23)
- Google Flow Music(Google、確認日 2026-10-23)
- Lyria 3.5 モデルカード(Google DeepMind、2026-07-29、確認日 2026-10-23)