3行でいうと
- 開発者向けの窓口はGemini APIです。公式のドキュメントでは、Lyria 3.5(
lyria-3.5、安定版)とLyria 3 Clip(lyria-3-clip-preview)がinteractions.createという呼び出しで使え、Lyria RealTimeは別のWebSocket方式です。 - ブラウザで試すなら、Google AI Studioです。公式のブログは、音楽のワークスペースを使うには「有料のAPIキー」が必要と書いています。
- 企業向けには、Google CloudのVertex AIがあります。2026年4月7日付のブログで、Lyria 3とLyria 3 Proが「パブリックプレビュー」とされています。
- 曲に入る電子透かしSynthIDは、Geminiに音声ファイルを渡して確かめられると公式が書いています。公開の検出ページ(synthid.com)もあります。
- Google自身が運営していない、第三者のツールやコミュニティ製のものは、読んだ範囲では公式の一覧が見つかりませんでした。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。公式のページは要約の形で取得したため、「書かれていない」と言い切らず、「読んだ範囲では見つからなかった」と書いています。コードの細かな書き方は、公式のドキュメントを直接見てください。
先に結論
- 公式が運営しているもの: Gemini API、Google AI Studio、Vertex AI(Google Cloud)、Flow MusicのDAW向け楽器とエフェクト、Google Vids、YouTubeのDream Track。すべてGoogleの入口です。
- 「AIとつなぐ」ときの考え方: 文章のAI(たとえばGemini)で歌詞やプロンプトを作り、Lyriaで曲にする、という流れが公式の資料に出てきます。Flow Musicの「Producer」は、会話で曲づくりを進めるAI、とヘルプに書かれています。
- 確かめる側: 作った曲をGeminiに渡して、GoogleのAIで作られたかを聞く機能があります。
前提:用語をそろえる
- API:プログラムから機能を呼び出す窓口。
- Interactions API:公式のGemini APIドキュメントが、Lyria 3.5とLyria 3 Clipの呼び出しに使うと書いている方式です。
- Vertex AI:Google Cloudの、企業向けのAIの置き場。現在のGoogle Cloudのドキュメントの題名は「Gemini Enterprise Agent Platform」と表示されます。名前の関係(改名かどうか)は、読んだ範囲では確認できていません。
- WebSocket:つなぎっぱなしで、双方向にデータを流す通信の方式。
- DAW:音楽制作ソフト。
- MCP:AIが外部のツールを呼ぶための共通の規格。
公式が運営しているもの
Gemini API と Google AI Studio
公式の「Generate music with Lyria 3.5」によると、次のとおりです(確認日10月23日)。
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| モデル | Lyria 3.5(lyria-3.5):曲全体向け。出力は既定でMP3、response_format でWAV。Lyria 3 Clip(lyria-3-clip-preview):常に30秒のMP3 |
| 呼び出し | Python、JavaScript、Java、Goで interactions.create にモデルと入力を渡す。RESTは https://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/interactions に x-goog-api-key ヘッダ付きでPOST |
| 結果の読み取り | output_audio と output_text の便利なプロパティ、または steps を順に読む |
| 入力 | 文章([Verse]、[Chorus] などの歌詞タグや時刻の指定を含む)、画像は最大10枚まで |
| 出力 | 44.1 kHzのステレオ。すべてにSynthIDの透かし |
| 制限 | 1回で作る形で、Lyria 3.5の現行版は続けての編集に未対応。同じプロンプトでも結果が変わる。特定アーティストの声や著作権のある歌詞の依頼はブロック |
モデルページ(Lyria 3.5)では、状態は「Stable」、入力の上限は131,072トークン、入力は文章と画像、出力は音声(MP3)と文章(歌詞)、ページの最終更新は2026年9月16日と書かれています。関数呼び出し、構造化出力、バッチなどは「対応しない」の一覧にあります。
更新履歴(changelog)には、2026年3月25日に lyria-3-clip-preview と lyria-3-pro-preview が出て、2026年9月3日に lyria-3.5 が一般提供になった、とあります。「Deprecations」のページでは、lyria-3-pro-preview の置き換え先が lyria-3.5 で、終了日は「発表なし」です。
Lyria RealTime(models/lyria-realtime-exp)は、公式が「実験的」と書くモデルです。つなぎっぱなしのWebSocketで、play()、pause()、stop()、reset_context() を操作し、重みづけした文章のプロンプトで曲調を動かします。出力は48 kHzのステレオ(16ビットPCM)で、楽器だけです。ドキュメントは、出力に透かしが入るとは書いていますが、ここではSynthIDという名前は出していません。AI Studioでは「Prompt DJ」と「MIDI DJ」のアプリで試せます。
Google AI Studio。 2026年3月25日付のブログによると、音楽のワークスペースがあり、使うには有料のAPIキーが必要です。モデルの一覧からLyria 3(30秒)かLyria 3 Proを選びます。2つのモードがあり、文章モードは自然な言葉で曲を説明し(テンポや調も指定できる)、コンポーザーモードは曲を区間ごとに組み立てて、各区間のタイミングと強さを決めます。ブログは、サンプルのアプリ(Lyria Studio、Lyria Rhythm、Alarm Clock、動画のBGM)にも触れています。誰が作ったかは、読んだ範囲では分かりません。
対応地域。 公式の「Available regions」には日本が入っています。国や地域が一覧にない場合は、Google Cloud側の同じ機能を試すよう書かれています。
利用規約の要点(公式のGemini API追加利用規約、2026年3月23日発効)。 18歳以上。消費者用ではなく、業務や専門の目的の利用。EEA、スイス、英国のユーザーに向けてAPIを使ったアプリを提供する場合は、有料サービスのみ使えます。このサービスと競合するモデルを作ることはできません。
Vertex AI(Google Cloud)
2026年4月7日付のGoogle Cloudのブログによると、Lyria 3 Proは最大3分、Lyria 3は最大30秒で、Vertex AIの「パブリックプレビュー」です。使い方は、Vertex AI APIとVertex AI Media Studioです。出力にはSynthIDが入り、C2PA(コンテンツの来歴を示す規格)のコンテンツ資格情報に対応する、と書かれています。ブログは、Gen AI SDK for Pythonのノートブックと、Gen MediaのMCPツール向けのAgent Skillにも触れています。MCPは、AIが外部のツールを呼ぶ規格で、このSkillの中身は、読んだ範囲では詳しく読めていません。
Google Cloudのドキュメントの目次には、Lyria 2とLyria 3が並んでいます。モデルID、地域、上限は、本文を取得しきれず、読んだ範囲では確認できていません。Lyria 3.5がVertex AIで使えるかどうかも、読んだ範囲では確認できていません。
Flow Music の周辺
- DAW向け: 公式のヘルプ「Use Flow Music instruments & effects in your DAW」があります(本文は読めていません)。ヘルプの「Get started」にも、「DAWで使うFlow Musicの楽器とエフェクト」が挙がっています。
- 選べるモデルの設定: ヘルプには、Instrument、Ghostwriter、Producerのモデルを選べる、と書かれています。
- ほかの会社との提携: 2026年5月6日付のブログによると、Flow Musicは、Believeという会社(アーティスト支援)と提携し、BelieveとTuneCoreのアーティストにツールを提供します。ブログは、曲を配信サービスへ出す機能が含まれるかは書いていません。
- アカウントの連携: Googleアカウントの「サードパーティのアプリとサービス」から、Flow Musicのアクセスを確認・取り消しできる、とヘルプにあります。
Gemini、Vids、YouTube
- Geminiアプリ: ダウンロードはMP4(表紙つきの動画)かMP3(音声のみ)、共有はリンクをコピー。
- Vids: 生成した曲は「Insert」で動画の場面に入れます。
- YouTube Dream Track: 作られた音楽はダウンロードできませんが、それを使ったショートはリミックスなどに使えます。
SynthIDを確かめる:つなぐ先は「検出」
公式のブログ(2026年2月18日付)は、Geminiの検証機能が音声にも広がったと書いています。音声ファイルをアップロードして、GoogleのAIで作られたかを聞くと、GeminiがSynthIDを調べ、自分の推論も使って答えます。
DeepMindのSynthIDのページによると、Lyriaの音声に入る透かしは聞こえず、ノイズの追加、MP3圧縮、速さの変更に耐えるよう設計されている、と書かれています。公開の検出ポータル(SynthID Detector、synthid.com)は、誰でも使えるようになっており、Google以外の提携先のAIで作ったものも調べられる、と書かれています。
読んだ範囲では見つからなかったこと:どんな編集まで検出できるかの具体的な基準や精度。なお、曲が既存の作品に似ていないかを調べるフィルターについては、ブログ(2026年2月18日付)が「完全ではないかもしれない」という趣旨で書いています。
取り込みと書き出し
| 方向 | 入口 | 公式の記載 |
|---|---|---|
| 取り込み | Geminiアプリ | 画像や動画を付けられる。音声の取り込みは、ヘルプでは読んだ範囲では見つからなかった |
| 取り込み | Flow Music | マイク録音、自分の音声の追加、画像を参照にできる |
| 取り込み | Gemini API | 画像は最大10枚。音声の入力は、読んだ範囲では見つからなかった |
| 書き出し | Geminiアプリ | MP4またはMP3、共有リンク |
| 書き出し | Flow Music | ヘルプは、曲ごとにファイル形式を選んでダウンロード、複数は.zip。料金ページの表には、ダウンロード(mp3、wav、m4a)とステムのダウンロードの項目がある。どのプランで使えるかは、読んだ範囲では分からない |
| 書き出し | Gemini API | MP3(既定)またはWAV |
データがどこへ流れるか
- Geminiアプリ: Keep Activityがオンなら、会話と共有した内容はGemini Apps Activityに保存され、訓練に使われ、人間のレビュー対象になりうる。レビューされたものは最長3年残る、と公式のPrivacy Hubにあります。
- Flow Music: 公式のプライバシー通知は、人間のレビュアーが一部のデータを読む、アカウントとの結びつきを外してから渡す、機密情報は入れないように、と書いています。Flow Music単独の契約の支払いは、第三者の決済事業者Stripeが扱う、とも書かれています。
- Gemini API: 無料の利用では、入力と出力が製品の改善に使われ、人間が読む場合がある。課金設定のある利用では、改善には使われず、不正利用の確認や法的な理由で一定期間ログに残る、と規約にあります。
- Vertex AI: データの扱いは、読んだ範囲では確認できていません。
公式ではないもの
読んだ範囲では、公式の資料が「第三者の連携」として一覧にしているものは見つかりませんでした。次の2点だけ、公式の資料に出てきます。
- Google Cloudのブログは、ArtlistとFreepikという会社が、Lyria 3を使う顧客として引用されている、と書いています(Googleが選んだ顧客の声であり、各社のサービスの仕様は読めていません)。
- 公式のDeepMindのページは、Magenta RealTimeを「Lyriaのオープンモデル」と呼び、magenta.withgoogle.comを案内していますが、ライセンスの条件は書いていません。
気をつけること
- プレビューと安定版を区別する。
lyria-3-clip-previewとlyria-3-pro-previewはプレビュー、lyria-3.5は「Stable」、lyria-realtime-expは実験的です。名前の「preview」「exp」が付いているものは、仕様が変わりうる前提で扱ってください。 - Gemini APIの課金の条件。 無料の利用は入力と出力が製品改善に使われうるため、機密や個人の情報を入れない、と公式は書いています。
- 料金は04を参照。 Gemini APIのLyriaの料金は、料金ページの該当部分を取得できず、読んだ範囲では確認できていません。
- WebFetchの限界。 Google Cloudのドキュメントの一部は、本文が取得しきれませんでした。コードを書くときは、公式のページを直接確認してください。
出典
- Generate music with Lyria 3.5(Gemini API、Google AI for Developers、確認日 2026-10-23)
- Lyria 3.5(Gemini API モデルページ、Google AI for Developers、確認日 2026-10-23)
- Lyria RealTime(Gemini API、Google AI for Developers、確認日 2026-10-23)
- Gemini API changelog(Google AI for Developers、確認日 2026-10-23)
- Gemini API deprecations(Google AI for Developers、確認日 2026-10-23)
- Gemini API available regions(Google AI for Developers、確認日 2026-10-23)
- Gemini API Additional Terms of Service(Google AI for Developers、2026-03-23発効、確認日 2026-10-23)
- How developers can use Lyria 3 for AI music generation(Google、2026-03-25、確認日 2026-10-23)
- Lyria 3 and Lyria 3 Pro on Vertex AI(Google Cloud、2026-04-07、確認日 2026-10-23)
- Lyria(Google Cloud Documentation、確認日 2026-10-23)
- Get started with Google Flow Music(Google Flow Help、確認日 2026-10-23)
- Create & manage songs in Google Flow Music(Google Flow Help、確認日 2026-10-23)
- Google Flow Music announces partnerships with Believe(Google、2026-05-06、確認日 2026-10-23)
- Google Flow Music Privacy Notice(Google、確認日 2026-10-23)
- Use Lyria 3 to create music tracks in the Gemini app(Google、2026-02-18、確認日 2026-10-23)
- Generate music with Gemini Apps(Gemini Apps Help、確認日 2026-10-23)
- Gemini Apps Privacy Hub(Gemini Apps Help、確認日 2026-10-23)
- SynthID(Google DeepMind、確認日 2026-10-23)
- Lyria(Google DeepMind、確認日 2026-10-23)
- Generate music with AI in Google Vids(Google Docs Editors Help、確認日 2026-10-23)
- Create AI-generated soundtrack in Shorts with Dream Track(YouTube Help、確認日 2026-10-23)