3行でいうと

  • 景品表示法は、商品やサービスの品質・価格を、実際より著しく良く見せる表示を禁じています。チラシ、SNS、口コミ、容器やラベルも「表示」に含まれ、書き手に悪気がなくても、措置命令の対象になり得ると、消費者庁のガイドブックにあります。
  • AIは、渡した事実をもとに文章を整えるのが得意でも、その言葉が本当かどうかの根拠は持っていません。OpenAIの利用規約も、出力は常に正確とは限らず、使う前に人が確認するよう求めています。
  • 「最高」「No.1」「効く」「100%」「当店だけ」「通常価格から半額」のような言葉は、書く前に、根拠の資料があるかを自分に聞きます。

この記事は、公式の文書を読んでまとめたもので、実際に使って確かめた記録ではありません。例文は僕らが作ったものです。法律の話は資料の紹介で、助言ではありません。個別の判断は、消費者庁の窓口や専門家に相談してください。

先に結論

読んだ範囲で言えることは、3つです。

  1. AIに渡すのは、事実のメモです。 材料、産地、サイズ、価格、営業時間など、確かなことだけを渡し、「メモにないことは書かないで」と頼みます。
  2. できた文は、形容と数字を点検します。 「日本一」「100%」「痩せる」「他店の2倍」などが入っていたら、根拠があるかを確かめます。なければ、削るか、言い換えます。
  3. 根拠は、あとから見せられる形で残します。 消費者庁のガイドブックは、仕入れ先の伝票などで確認して保管する例を挙げています。

たとえ話:腕のいい文章係に、取材メモを渡す

僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。

AIは、腕のいい文章係です。取材メモを渡せば、読みやすい紹介文に仕立ててくれます。ただし、この文章係は、メモの裏を取りに行きません。「国産100%」と書いてあれば、そのとおりの文章にします。メモに足りないところがあれば、もっともらしい言葉で埋めてしまうこともあります(これをハルシネーション、つまり、もっともらしい間違いと呼びます)。

だから、メモの正しさと、できた文の点検は、こちらの仕事です。お店の看板に出る言葉は、お店の言葉として責任を問われます。

何が「問題になる表示」なのか

消費者庁の「景品表示法」のページによると、この法律の目的は、品質・内容・価格などを偽る表示を規制し、消費者が自主的・合理的に商品を選べる環境を守ることです。

2026年3月改訂の消費者庁のガイドブック「事例でわかる景品表示法」を読むと、次の3点が小さなお店にも関わります。

消費者庁の「表示規制の概要」のページにある例を、短く言い換えます。

種類 例
優良誤認 カシミヤ80%程度のセーターに「カシミヤ100%」。競争業者も同じ技術の商品を売っているのに「この技術の商品は日本で当社だけ」
有利誤認 「当選者100人だけ割安」としながら、実は応募者全員を当選にしていた。「他社の2倍の内容量」と書いたが、実際は同程度

ガイドブックには、食品の例(果汁がほとんど入っていないのに、大部分が果汁のように見せる)や、「古紙100%」と書いて実際は約50%だった例もあります。

「根拠」の話:効果や性能の言葉は、とくに要る

効果や性能を言う表示は、根拠が問われます。消費者庁のページによると、表示が優良誤認に当たるかを判断する必要があるとき、消費者庁長官は、期間を決めて、裏付けになる合理的な根拠の資料を出すよう求められます(不実証広告規制)。出さない場合、または出した資料が合理的な根拠と認められない場合は、措置命令との関係では不当表示とみなされます。

ガイドブックには、次のような例が出ています。

体験談やモニターの感想を根拠にする場合は、統計的な客観性が要る、とも書かれています。「お客様の声」を数件並べても、根拠としては足りない場合がある、という意味だと読みました。

点検の表:AIの文に、この言葉があったら

僕らの整理です。公式の表ではありません。

文中の言葉 書く前に、自分に聞くこと
国産100%、無添加、天然 仕入れ伝票、原材料表で確かめられるか。
日本一、No.1、売上第1位 何を、いつ、どの範囲で比べたか、説明できるか。ガイドブックには、合格実績を他校と違う数え方で出して「No.1」とした例がある。
当店だけ、他店の2倍、最安 比べた相手と条件は、本当にそろっているか。
通常価格○円のところ、今だけ○円 「通常価格」で実際に売っていたか(下の「くわしく」)
痩せる、効く、予防できる 効果の根拠となる資料があるか。
お客様の声、口コミ 依頼して書いてもらったものではないか(下のステマの話)
数量限定、残りわずか 本当に限りがあるか。

お願いして書いてもらった口コミは「広告」と分かるように

消費者庁のステマ規制のページによると、2023年10月1日から、広告なのに広告と分からない表示は、景品表示法の違反になりました。事業者が第三者に頼んだ投稿も含みます。SNSやレビュー投稿も対象です。規制の対象は広告を出す事業者で、頼まれて投稿した人は、規制の対象になりません。個人の感想など、広告でない表示は対象外です。

お店でいえば、常連さんに頼んで、感想を書いてもらったときが関わります。具体的な措置の中身は、読んだページには書かれておらず、運用基準というPDFを案内していました。僕らはそのPDFを読めていません。

AIへの頼み方:事実のメモを渡し、足さないよう頼む

Anthropicの指南は、AIを「優秀だが、事情を知らない新入社員」にたとえ、背景を添えること、出力の形式を具体的に書くこと、してほしいことを書くことを勧めています。

僕らの例です(公式のものではありません)。

【頼みごと】ハンドメイドの革の名刺入れの商品説明を、150字で書いてください。
【読む人】プレゼントを探している30代
【使ってよい事実】牛革、手縫い、サイズ縦6×横10cm、カード約20枚、色は3色、制作に1週間
【お願い】上のメモにないことは書かないでください。「最高」「日本一」のような言い切りや、効果の断定も避けてください。

できた文は、点検の表で見直します。足りない情報があるときは、「足りない情報を質問して」と頼む方法もあります(このやり方自体は、僕らの考えです)。

今日からできること、やってはいけないこと

今日からできること

やってはいけないこと

飲食店のメニューや口コミ返信は、別の記事でも扱っています。

誤解されやすい点

「AIが書いたから、責任はAI」 OpenAIの利用規約(2026年1月1日発効の版)は、利用者が出力を所有し、内容が法律や規約に違反しないことに責任を負う、と書いています。景品表示法の側でも、読んだ資料に、AIが作った表示を別扱いにする記述はありませんでした。

「悪気がなければ大丈夫」 ガイドブックは、故意や過失がなくても措置命令の対象になり得ると書いています。

「大きな会社の話」 読んだ資料は、小規模事業者向けの内容も含んでいました。ただし、個人が趣味で売る場合に「事業者」に当たるかは、読んだ資料では確かめられませんでした。

「通常価格」の目安と、違反したときの措置
  • 二重価格(「通常価格○円→今だけ○円」)の比較対象は、「最近相当期間にわたって販売された価格」であることが必要だと、ガイドブックにあります。目安として、直近8週間のうち、その価格で売った期間が過半で、通算2週間以上、という数字が書かれていました。ただし、この記事で読んだのは、WebFetchが返したガイドブックの要約で、原文の条件は確かめていません。
  • 消費者庁が資料の提出を求めたとき、文書の交付から15日を過ぎても出さないと(正当な事由がある場合を除き)、不当表示とみなされる、と書かれています。
  • 違反のとき:消費者庁は、誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反をしないことなどを命じる措置命令を出せます。都道府県知事も、同じ法律に基づいて出せます。違反のおそれがある場合は、指導があります。課徴金の制度もありますが、算定の細かい条件は、この記事では確かめていません。
  • ガイドブックは、社内の管理として、表示の根拠の確認と保管、表示等管理担当者を決めること、不当表示が分かったときの素早い対応など、7項目を挙げています。1人のお店では、「根拠を書類でとっておく」だけでも出発点になると、僕らは考えます(見立てです)。

気をつけること

出典

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