3行でいうと
- 長い資料を先に、質問や指示を最後に置く点は、AnthropicとGoogleの文書で一致している。
- Anthropicは、例を3〜5個、XMLタグで区切ることを勧める。Googleは、例の書式をそろえることを勧める。
- OpenAIのモデル別ガイドは、現在の題が「Using GPT-6」に変わっていた。GPT-5.6向けの記述は「前のモデル」の節にあり、短く保つ方向の助言と社内試験の数字が載っている。
この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。数字や推奨は2026年10月22日に読んだ時点のもので、モデルの更新で変わることがあります。
先に結論
- 長い資料(目安は2万トークン以上とAnthropicは書いています)は、プロンプトの上のほうに置き、質問や指示は最後に置く。AnthropicとGoogleの文書が、そう書いています。
- 区切りには、XMLタグ(
<instructions>のような、始まりと終わりを示す印)かMarkdownの見出しを使い、1つのプロンプトの中では同じ方式で通す。 - 例(few-shot、数個の入出力の見本を見せる方法)は、多様で、書式がそろったものを。ただしOpenAIのモデル別ガイド(GPT-5.6の節)は、重複した例は削って試し直すよう勧めています。
- モデルが新しくなるたびに、プロンプトを足すのではなく、減らして試す。これはOpenAIのガイド(GPT-5.6の節)の趣旨に近く、Anthropicの文書にも「先に成功基準と試験を決める」という同じ方向の記述があります。
前提:用語
- プロンプトは、AIに渡す指示と材料の全体です。
- システムプロンプトは、AIの振る舞いの前提を書く欄です(OpenAIでは
developerメッセージが同じ役目で、userメッセージより優先される、と文書にあります)。 - 文脈窓は、AIが一度に扱える文章量の上限です。
- eval(評価)は、プロンプトを変えたあとの出来を、決めた基準で測る試験のことです。
各社の推奨:何をどこに置くか
Anthropic(Claude)
Anthropicの概要ページは、プロンプトを磨く前に、(1)成功基準の定義、(2)その基準に照らして試す方法、(3)最初の下書き、の3つを用意するよう求めています。そのうえで、技法は「Prompting best practices」にまとまっています。
その中の主な推奨は次のとおりです。
- 明確に、直接に。 「文脈の少ない同僚に見せて、迷うなら、Claudeも迷う」という基準が書かれています。
- 理由を添える。 「省略記号を使うな」ではなく、「音声読み上げに使うので、省略記号は読めない」と書く例が載っています。
- 例は3〜5個。 関連が深く、多様で、構造がそろっていること。
<example>で囲み、複数なら<examples>で囲む。 - XMLで構造化。 指示・文脈・入力を別のタグに入れる。タグの名前は固定ではなく、「一貫していて、内容が分かる名前」を使う。階層があるなら入れ子にする。
- 役割は1文でもよい。 システムプロンプトに書く。
- 長い文脈は、資料を上、質問を最後。 文書は
<document>で囲み、出所も入れる。文書の中の関連部分を、先に引用させる方法も勧められています。 - 出力の形は、「してはいけないこと」より「してほしいこと」で書く。 「Markdownを使うな」ではなく「流れる文章の段落で書く」。プロンプト自体のスタイルが出力に影響する、とも書かれています。
Anthropicの文書にある、長い文脈の並べ方(公式の例)
公式文書の例を、短く整えたものです。公式文書の例です。この記事では、実行していません。
<documents>
<document index="1">
<source>q3_report.pdf</source>
<document_content>...</document_content>
</document>
</documents>
<examples>
<example>...</example>
</examples>
<instructions>
上の文書から売上の傾向をまとめ、先に該当箇所を引用すること。
</instructions>
並びは「資料、例、指示」の順です。文書では、質問を最後に置くと、複雑な複数文書の入力で、テストの中では応答の質が最大30%上がることがある、と書かれています。これはテストの数字で、効果の保証ではありません。
OpenAI
基本のガイドは、developerメッセージを、次の4つの区分で組み立てる形を示しています。
- Identity(目的・口調・目標)
- Instructions(してよいこと・いけないこと)
- Examples(入力と望ましい出力)
- Context(独自のデータなど)
文脈は「プロンプトの終わりのほうに置くのがたいてい最善」と書かれています。区切りは、Markdownの見出しや箇条書きで区分を示し、XMLタグで参考資料の始まりと終わりを示せる、とあります。
プロンプトキャッシュ(同じ前置きを再利用して安くする仕組み)への配慮も書かれています。何度も使う内容は、プロンプトの先頭に置く、という説明です。
見立てです。ここで、Anthropicの「資料は上」とOpenAIの「文脈は終わりのほう」は、一見ぶつかります。ただ、OpenAIの文はdeveloperメッセージの中の並びの話で、Anthropicの文は長い文書と質問の並びの話です。文書の言い方が違うだけで、同じ前提とは言えません。どちらも、実際に試して決めるのが無難だと思います。
Google(Gemini)
Googleの文書は、10月8日の読みでは、次の要素を挙げていました。システム指示、役割、文脈、指示とタスク、例、出力形式です(10月22日の取り直しでは、この列挙は要約に出ず、代わりに、複雑な指示を分けること、プロンプトをつなぐこと、結果をまとめることの節が見えました)。以下の項目は、10月22日にも確認できたものです。
- 例は必ず入れる。 例のないプロンプトは効きにくいだろう、と書かれています。ただし多すぎると例に引きずられる(過学習)ので試すこと。
- 例の書式は完全にそろえる。 XMLタグ、空白、改行、区切りまで。
- 区切りはXML風かMarkdownの見出し。 どちらかを選び、1つのプロンプトの中で通す。
- 長い入力は、文脈を先、質問を最後。 大きなデータのあとに「上の情報にもとづいて」のような、つなぎの句を入れる。
- 重要な制約は、システム指示かプロンプトの冒頭に。
- 出力の形を明示する。 Gemini 3は、既定で簡潔な答えを返すので、詳しさは頼む必要がある、と書かれています。
新しいモデルほど「短く」:OpenAIのモデル別ガイド
OpenAIの「Using GPT-6」(URLはprompt-guidance-gpt-5p6のまま)は、これまでと向きが少し違います。10月8日に読んだときは「Prompting guidance for GPT-5.6 Sol」でしたが、10月22日に取り直すと、題が変わり、GPT-6(Astra、6.1 Sol、Luna)の説明が先頭に来て、GPT-5.6向けの助言は「前のモデル」の節に移っていました。次は、GPT-5.6の節で読めた内容です。
- 短くする。 各指示は1回だけ書き、道具の説明は短く、関係する道具だけを渡す。動いているプロンプトから、重複した指示や冗長な例を1まとまりずつ外して、evalをやり直す。社内のコーディングエージェントの試験では、短いシステムプロンプトの設定で、評価点が約10〜15%上がり、全体のトークンが41〜66%減り、費用が33〜67%減ったと書かれています。ただし、結果は仕事の種類で変わる、とも書かれています。
- 外すもの。 重複した指示、冗長な例、長すぎる道具の説明、不要な道具。「簡潔に」のような広い指示は、答えを短くしすぎることがある。「先に聞いて」「承認を待って」の繰り返しは、不要な停止を招くことがある。
- 今回は確認できなかった記述。 以前の取得では、目的地・制約・完了の基準を書き、道筋はモデルに選ばせる、という趣旨の記述と、役割・目標・成功基準・止めどきなどの構造の列挙を読みました。10月22日の取り直しでは、この2つは要約の中で確認できませんでした(消えたのか、要約に出なかっただけかは分かりません)。
GPT-6の節で読めたのは、次の点です。
- 主導性。 Astraは長い作業を一貫してこなす一方、確認の質問が前のモデルより多い。意図を推測する、行動の依頼を許可として扱う、承認を求める前に作業を終える、と書くよう勧められています。
- 指示ファイルへの反応。 Astraは、スキルのファイルや
AGENTS.mdのようなファイルに強く反応する。ユーザーの指示のほうがスキルの助言より優先と書く、ファイル同士の矛盾を点検する、と書かれています。 - 移行。
modelを新しい名前に替える、道具呼び出しにはResponses APIを使う、使えなくなった引数を外す、データの置き場所の対象を確かめる、といった手順が並んでいます。
このガイドは、区切り記号(デリミタ)や例の置き方については、読んだ範囲では触れていませんでした。
Anthropicの文書にも、似た記述があります。Opus 5では、前のモデル向けに書いた「自分で検証し直せ」という指示が、過剰な検証につながることがあるので、書き直さずに外す、という注意があります(AnthropicのPrompting best practicesの、Opus 5の項目)。
3社の推奨を並べた表(僕らが整理したもの)
| 論点 | Anthropic | OpenAI | |
|---|---|---|---|
| 区切り | XMLタグ。名前は一貫して分かりやすく | Markdownの見出し、XMLタグ | XML風かMarkdown。どちらか1つに統一 |
| 長い資料と質問の順 | 資料が上、質問が最後(2万トークン以上の入力) | 文脈はdeveloperメッセージの終わりのほう。再利用する内容は先頭 | 文脈が先、質問が最後 |
| 例 | 3〜5個、多様に、<example>で囲む |
多様な入力を見せる。ただしGPT-5.6の節は、重複した例は削って試し直す | 必ず入れる。書式を完全にそろえる |
| 役割 | システムプロンプトに1文でもよい | Identityの区分に入れる | 役割を明示(<role>など) |
| 出力形式 | 「してほしい形」で書く | 必要な出力の形を残す | 明示する |
| 長さ | 明確さを重視 | 短くする(GPT-5.6の節) | 制約を明確に |
この表は、各社の文書の記述を、僕らが並べたものです。各社の文書のモデル世代は同じではありません。
選び方の見立て
見立てです。3社の文書を重ねて読むと、次のような順番で整えるのが、無理が少ないと思います。
- 先に成功基準と、試す方法を決める。 Anthropicの文書もOpenAIの文書も、プロンプトの改善は測ってから、という立場です。
- 長い資料と質問を分ける。 資料は上、質問は最後。区切りは1種類で通す。
- 例は、数個の多様なものから。 書式をそろえる。重複した例は削って、試し直す。
- 規則は理由つきで。 「絶対」「必ず」は少なく。
- 新しいモデルに替えたら、足すより先に、削って試す。
つまずきやすい点
- タグ名の暗記。
<instructions>などは例示です。Anthropicの文書は、特定の名前を決めていません。 - 書式の混在。 Googleの文書は、XMLとMarkdownを1つのプロンプトの中で混ぜないよう勧めています。
- 否定の羅列。 Anthropicの文書は、「〜するな」より「〜してほしい」の形を勧めています。
- 古い足場の持ち越し。 OpenAIのGPT-5.6の節は、重複した指示や冗長な例を外して試し直すよう勧めています。
- 過去のAPI機能の変更。 Anthropicの文書には、一部のモデルで、最後のアシスタント発言をあらかじめ書き込む方法(プリフィル)がエラーになる、との記述があります。古い記事の書き方が、そのまま動くとは限りません。
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。各社の数字(30%、10〜15%、41〜66%)は、各社が文書に書いたものです。
- 「30%」は、Anthropicが「テストの中で最大」と書いた数字です。どの課題でも出る保証ではありません。OpenAIの数字も、社内のコーディングエージェントの試験で、仕事の種類で変わる、と書かれています。
- 「短くする」の数字(10〜15%、41〜66%、33〜67%)は、GPT-5.6の節のものです。GPT-6にそのまま当てはまるかは、確認できていません。このガイドは、区切り記号(デリミタ)については、読んだ範囲では触れていませんでした。10月8日に「GPT-5.6 Sol向け」として読んだ記述の一部は、10月22日の取り直しで確認できませんでした。
- 3社のモデルの世代は同じではなく、推奨は更新されます。使う前に、最新の文書を見てください。
- 日本語のプロンプトでの効果の違いは、読んだ文書には書かれていません。
出典
- Prompt engineering overview(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月22日確認)
- Prompting best practices(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月22日確認)
- Use XML tags to structure your prompts(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月22日確認)
- Prompt engineering(OpenAI API、OpenAI、2026年10月22日確認)
- Using GPT-6(旧題「Prompting guidance for GPT-5.6 Sol」、OpenAI API、OpenAI、2026年10月22日確認)
- Prompting strategies(Google AI for Developers、Google、2026年10月22日確認)
更新履歴
-
2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
-
2026年10月22日 公式の資料を読み直して、次の点を直しました。
- 前:OpenAIのGPT-5.6 Sol向けガイドが、目的・制約・完了条件を書く短いプロンプトを勧める → いま:ガイドの題は「Using GPT-6」に変わり、GPT-5.6の記述は「前のモデル」の節に移っていた
- 前:目的・制約・完了条件を書き、道筋は任せる、という記述 → いま:10月22日の取り直しでは確認できなかった(消えたのか、要約に出なかっただけかは不明)
- 前:短くする試験の数字は、評価点が約10〜15%上、トークンが41〜66%減 → いま:費用が33〜67%減ったという数字が加わった
- 前:例は「挙動を変えないなら削る」 → いま:「重複した例は削って試し直す」に変わった(GPT-5.6の節)
- 前:Googleの文書は、システム指示・役割・文脈・例などを挙げる → いま:10月22日はこの列挙が出ず、指示を分ける、プロンプトをつなぐ、結果をまとめる節が見えた
- 前:書かれていなかった → いま:GPT-6の節の内容(確認の質問が多い、指示ファイルに強く反応する、移行の手順)を足した
