3行でいうと

  • 見た目や声のおかしいところを探す方法は、補助にはなっても頼りになりません。偽物を誰でも簡単に作れる状況です。
  • 見破るより「確かめる手順」を決めておくのが現実的です。お金や確認コードを求められたら、別の経路で本人に確かめます。
  • 電話なら、いったん切って、自分で調べた番号か、前から知っている番号にかけ直します。
  • 自分の顔写真や声を、公開しすぎないことも備えになります。

この記事は、公式・一次資料(警察庁、内閣官房、総務省、IPA、文部科学省、国民生活センターの刊行物など)を読んでまとめたものです。法律の話は資料の紹介で、個別の判断は弁護士や警察など専門家にご相談ください。僕らの考えは「見立てです。」と分けて書きます。

先に結論

何が問題か

公式の資料に出てくる例を並べます。

場面 公式資料に書かれていること 出どころ
著名人になりすました広告 生成AIの進歩で、SNSや動画サイトで、著名人の顔や声を無断で使ったなりすまし広告詐欺が拡大している 内閣官房の資料(2026年7月21日閣議決定の重点計画の抜粋)
投資詐欺の入口 SNS型投資詐欺の最初の接触は、バナー等の広告が3,785件。著名人の画像や動画を無断で使った広告が確認され、「必ずもうかる」「元本保証」といった言葉もあった 警察庁(2026年6月5日、令和7年の確定値)
オンライン会議の偽社長 AIが作った偽の社長が会議に出て、指示どおり送ったお金が、危うくだまし取られる寸前だった事件があった 総務省の啓発資料(第2版、2025年2月改訂)
災害時の偽映像 生成AIで作った偽の災害映像がSNSに投稿され、本物と思った人が広めた騒動があった 総務省の同資料
親しい人になりすまし 犯罪者が、家族の声に似せた短い音声を作り、緊急事態を装ってお金を求める FBI(米国)の注意喚起(2024年12月)
子どもの画像の悪用 実在する児童生徒の画像を、生成AIなどで性的に加工する事案。2025年に警察が把握したのは114件で、被害児童は中学生66人、高校生32人、小学生6人、その他(大学生等を含む)10人。行為者は、約6割が同級生など同じ学校の者 警察庁(2026年2月)、文部科学省の事務連絡(2026年3月)

警察庁の確定値では、SNS型投資詐欺は2025年に認知件数9,523件、被害額1,288.0億円でした。ただし、このうちディープフェイクが関わった件数は、僕らが読んだ資料では確認できていません。

公式資料に書かれている「見分け方」と、その限界

手がかり 公式の記述 限界
顔の不自然さ 国民生活センターの月刊誌に載った解説では、顔画像で瞳孔の形がゆがむことがある 同じ解説が、見破りの技術と作る技術は「いたちごっこ」と書いている
動画のまばたき 同解説では、まばたきの回数やパターンが不自然になることがある 同上
手や影、動き FBIは、手のゆがみ、不自然な顔、影のずれ、ぎこちない動きなどに注意するよう挙げている FBI自身が、AIで作ったものは見分けにくいことが多い、と書いている
声の調子や言葉づかい FBIは、声の調子や言葉選びに耳を澄ませるよう勧めている 声のコピーは本人とほとんど同じに聞こえることがある、とFBIは書いている
AI会社の「しるし」 OpenAIは、自社で作った画像や音声を調べる確認ページを公開している 自社製のものしか調べられず、しるしが消えていることもある。「しるしがない」は「本物」の証明にならない

IPAの資料には、「嘘つきの配当」という言葉も出てきます。偽物が増えすぎると、本物の情報まで偽物に見えてしまう現象です。見た目で疑い始めると、本物まで疑うことになる。だから、見た目に頼らない確かめ方が必要になります。

今日からできる対策

連絡を受けたとき

情報を見かけたとき(偽情報)

内閣官房の注意喚起ページ(外国による偽情報等に関するポータル)には、次の5つが書かれています。

  1. 情報源を確認する(いつ、どこから、根拠は何か)。
  2. 他の人やメディアの発信を確認する。
  3. 画像や動画が本物か疑う。画像検索で、過去の別の画像の使い回しに気づくことがある。
  4. 背後にある意図を考える。
  5. ファクトチェックの結果を確認する。

自分を守る備え

困ったとき、見かけたとき

窓口 何のときに
警察相談専用電話 #9110 詐欺かもしれない、不安なとき。緊急は110番
消費者ホットライン 188 最寄りの消費生活センターにつながる。契約・投資のトラブル
性犯罪被害相談電話 #8103 性的な被害。発信地の都道府県警察につながる。匿名でも可
24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310 子どもの悩み。発信地の教育委員会の窓口につながる
違法・有害情報相談センター 自分の権利を侵害する投稿の、削除依頼のしかたの相談(Webフォームのみ)
インターネット・ホットラインセンター 違法な情報の通報

なりすまし広告については、2026年8月に国が動いています。内閣官房の資料によると、警察庁、金融庁、消費者庁、デジタル庁、総務省、法務省、経済産業省が、2026年8月7日付で、大きなSNSなどに、広告主の本人確認、広告情報の表示、削除要請への迅速な対応を要請しました。警察庁の資料には、インターネット・ホットラインセンターの運用ガイドラインが改定され(資料では「本日運用開始」)、なりすまし型の偽投資広告の削除を依頼できるようになったこと、通報を受け付ける専用のフォームが設けられたことが書かれています。要請文書(内閣官房の配付資料3-1)の注には、著名人の名義を無断で使って虚偽の投資実績を紹介する内容を表示するなどした場合に、刑法第161条第1項の「偽造私電磁的記録文書等行使の罪」などに違反しうる、と書かれています。これは国の資料の説明で、実際にあたるかどうかは、個別に判断されます。

気をつけること

出典

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