3行でいうと

  • 基本は、入力欄にカーソルを置いて、ショートカットを押して話し、離すと、整った文字が入る、という流れです。公式は、「えーっと」などのつなぎの言葉を取り、言い直しを直し、句読点を足す、と説明しています。
  • 「Dictionary(辞書)」は名前や専門用語を覚えさせる機能、「Snippets」は決まった文を、話した合図で呼び出す機能です。どちらも、無料のプランで使えると書かれています。
  • 「Command Mode」と「Transforms」は、すでにある文章を話して直す機能です。Command Modeは設定でオンにする必要があり、公式のヘルプには「beta」と出ます。Transformsはデスクトップがbetaと書かれています。
  • 「Notetaker」は、会議をボットなしで端末の中から録音して、文字起こしと要約を作る機能です。MacとWindowsで使えます。公式のヘルプでは、いくつかの記事の題名に「(beta)」がついています。公式サイトのNotetakerのページには、betaの表示は見つかりませんでした。
  • 話して整える機能の多くは、英語を前提にしています。日本語でどこまで働くかは、公式の資料では確認できていない所があります。

この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。メニュー名、ショートカットは公式の表記を写しています。公式のヘルプの章の一覧は、記事の題名しか見えないことがあり、題名だけが分かった記事は、内容を推測せずに題名だけ紹介しています。

先に結論

前提:用語をそろえる

たとえ話:話を聞いて清書する秘書と、その手帳

01で、Wispr Flowを口述筆記の秘書にたとえました。ここでは、その秘書に「手帳」を持たせるイメージです。辞書は「人名と専門用語の覚え書き」、Snippetsは「定型文の差し込み札」、Styleは「メールには丁寧に、友人にはくだけて」という書き分けの方針です。Command Modeは、すでに書いた文章を「ここをもっと短く」と口で頼んで直してもらうことにあたります。これは僕らのたとえで、公式の表現ではありません。

機能1:話して入れる

公式の「What is Wispr Flow?」と「Starting your first dictation」の説明をまとめます。

場面 どう使うか 公式のどこに書かれているか
どのアプリでも入力 入力できるアプリなら、プラグインなしで音声入力 公式サイトのトップページ
話し言葉を整える つなぎの言葉の除去、言い直しの修正、整った書式 トップページ、Smart Formatting & Backtrack
両手がふさがっている 押し続けずに話せる「Hands-free」。ショートカットを0.5秒以内に2回続けて押すか、専用のショートカットで始める 「Starting your first dictation」(「Use Flow hands-free」は題名のみ確認)
メールを書く Microsoft Outlookで話してメールを書く 題名「Dictate emails in Microsoft Outlook」のみ確認(本文は読めていない)
コードのエディタで コメント、コミットメッセージ、AIへの指示文を話して入れる。CursorとWindsurf、標準のVS Codeでは、画面に見えている変数名の認識がある 「Use Flow with Cursor, VS Code, and other IDEs」
通知への返信欄、ブラウザのアドレス欄 話して入れる 題名「Dictating in Notification Reply Boxes and Browser Address Bars」のみ確認

Smart Formattingは、「first… second…」と言うとリストになり、「period」「new line」などの記号の名前を言うと、そのとおりに入る、と書かれています。Backtrackは、「Let's do coffee at 2 actually 3.」が「Let's do coffee at 3.」になる、という例が、公式のヘルプに出ています。Smart Formattingは、Mac、Windows、iOS、Androidで使え、Androidでは常にオンで切り替えがない、と書かれています。これらの合図の言葉は、公式の例が英語です。日本語での動きは、公式の資料では確認できていません。

公式のヘルプによると、1回に話せる時間は、MacとWindowsで最大20分です(19分で警告)。Androidは約4分59秒です。

コードの場面

公式の「Use Flow with Cursor, VS Code, and other IDEs」は、次のように書いています。変数の認識(Variable recognition)は、エディタの「Screen Reader Optimized」モードをオンにする必要があります。ファイルのタグ付け(File tagging)は、CursorとWindsurfのAIチャット欄で、ファイル名を話すと@タグになる機能で、標準のVS Codeでは使えません。ターミナルでは、通常の音声入力だけです。

機能2:覚えさせる(Dictionary、Snippets)

機能 公式の説明 書かれている場所
Dictionary 名前や専門用語を登録して認識されやすくする。間違った綴りを正しい綴りに置き換える「corrections」も作れる。Mac・Windowsでは、1,000語まで、3MBまでのファイルから取り込める 「Teach Flow your words with the dictionary」
自動の追加 「auto-learn words」がオンで、出た文字を自分で直したときに、直した語を追加する(MacとWindowsのみ) 同上
Snippets 保存した文章を、話した合図で呼び出す。メールの署名、住所、よくある返信が、公式の例 「Create and use snippets」
共有 チームで辞書とスニペットを共有する(対象のプランと、組織への所属が必要) 辞書とスニペットの各ページ

辞書の1つの語は60文字まで、スニペットの合図は60文字まで、デスクトップの展開する文章は4,000文字まで、と書かれています。スニペットの合図は、「my email signature」のような、普段の会話で言わない言い方を選ぶとよい、と公式が書いています。デスクトップのスニペットの展開は固定の文章で、今日の日付のような変わる値は使えない、とも書かれています。

機能3:用途に合わせて整える(Style)

公式の「How to setup Flow Styles」は、アプリの種類(Personal、Work、Email、Other)ごとに、整え方を選べる、と書いています。選べる整え方は、Formal、Casual、very casual(Personalのみ)、Excited!(Work、Email、Otherのみ)です。ただし、この機能は「English only」と書かれています。日本語で話した場合に、この機能が働くかは、公式の資料では確認できていません。

機能4:文章を話して直す(Command Mode、Transforms)

Command Mode

公式の「How to use Command Mode」によると、話して、文章の編集、返信の下書き、検索ができる機能です。次の特徴があります。

Transforms

公式の「Rewrite text with Transforms and custom prompts」によると、選んだ文字を、その場で書き換えます。「Polish」(口調を保ったまま整える)と「Prompt Engineer」(話した考えを、AIへの構造のある指示文にする)が最初から入っていて、自分の指示で作ることもできます。デスクトップのTransformsは「Beta」と書かれています。Mac、Windows、iOSで使えるとも書かれています。デスクトップは1〜3,000語(iOSのPolishは10〜3,000語)を扱えます。自分の指示は5つまで、1つ50語までです。ショートカットの初期値は、MacがOpt+1とOpt+2、WindowsがWin+Alt+1とWin+Alt+2です。「View Diff」で、変更前後の差を見られます。どのプランで使えるかは、読んだ範囲では書かれていませんでした。

機能5:会議を記録する(Notetaker)

公式サイトのNotetakerのページと、ヘルプの「Wispr Notetaker」の章が説明しています。

場面 公式が書いていること 書かれている場所
会議の記録 端末の中で音声を録るため、ボットとして会議に参加しない。カレンダーの会議は自動で始まり、予定外の通話は、ノートを取るかを聞いてくる Notetakerのページ
対応する会議 Google Meet、Zoom、Teams、Slackのハドル、Discord、ブラウザの通話、パソコンのマイクで録る対面の会議 同上
文字起こし 21の言語に対応。日本語を含む 同上
話者の区別 ライブの文字起こしは自分と他の人を分け、最終版では名前が入る。ビデオ通話で正確 同上
要約 トピックごとの要約と、次にやることの一覧 公式サイトのトップページ
質問する 過去の会議について質問し、出どころのリンクを付けて答える Notetakerのページ
過去の記録の取り込み OtterとGranolaの文字の記録を取り込む(音声は取り込まれない) 「Can I upload audio files…」「Import past meetings from Granola or Otter」(題名のみ)

Notetakerは、「Wispr Notetaker」の章の記事の題名に「(beta)」がついているものがあり、公式の資料の中でも、betaの扱いが記事ごとに違います。MacとWindowsで使えます。公式のFAQは、モバイルは計画中と書いています。

公式のWhat's newによると、NotetakerはMacで2026年8月5日に始まり、Windows版は2026年9月15日の告知に載っています。ネットにつながらない会議のために、公式のヘルプ「Offline meeting recording in Notetaker」は、音声を端末に保存し、会議のあとで文字起こしする方法を書いています。「Live transcript unavailable」の表示で「Record offline」を選びます。端末の音声は初期設定で7日間残り、文字にするには、あとでネットにつないで音声をアップロードする必要があります。500MBを超える音声はアップロードできません。HIPAAのBAAがあるアカウントでは、オフライン録音はできません。

機能6:メモを取る(Scratchpad)

公式の「Use and organize notes in Scratchpad」によると、MacとWindowsのアプリの中に、タブのあるリッチテキストのメモ帳があります。公式のWhat's new(2026年5月1日)は、Scratchpadを「Beta」と書き、Flow Notesの後継だと説明しています。話して入れること、写真を足すこと(1メモに10枚まで)、1メモ50版までの履歴が書かれています。iPhoneには別の「Flow Notes」があります。

場面と、公式の根拠のまとめ

場面 向いている機能 公式の根拠
返信やメモを打つのが負担 音声入力、Hands-free トップページ、「Starting your first dictation」
人名や専門用語がよく間違う Dictionary 「Teach Flow your words with the dictionary」
同じ文を何度も打つ Snippets 「Create and use snippets」
すでに書いた文章を短くしたい、整えたい Command Mode、Transforms 各ヘルプ記事
オンライン会議の記録 Notetaker Notetakerのページ

「どの場面でどれを使うと有意義か」は、公式が例を挙げているものと、僕らの見立てがあります。見立てとして、日本語で使う場合は、まず通常の音声入力と辞書を試し、文章を直す機能は、公式が日本語の動きを書いていないので、あとから確かめるのがよいと考えています。

気をつけること

出典