3行でいうと
- Qwen はモデルの名前、Qwen Studio はそのチャット画面、QwenCloud と Model Studio はAPIの入口、と公式の資料は書き分けています。公式のGitHubのREADMEは、chat.qwen.ai を「Qwen Studio」と呼び、「誰でも無料で使えるアシスタント」と説明しています。
- 同じ「Qwen」の名前で、中国向けの消費者アプリ「Qwen App」も別にあります。アリババの発表では、2025年11月17日に中国のユーザーに無料のベータ版として始まり、中国以外向けは「あとで」とされていました。
- APIは従量課金です。QwenCloud の無料枠はシンガポールのリージョンだけで、通常は90日間、支払い情報の登録が条件です。
- 入力したデータの扱いは、入口ごとに書かれ方が違います。QwenCloud のSafetyのページは「入力と出力をモデルの学習のために保存しない」と書いています。いっぽう、Qwen Studio の規約とプライバシーポリシーは、今回は本文を読めていません。
- モデルの重みは、ライセンスがモデルごとに違います。27Bは Apache-2.0、最大級の 2.4T-A95B は別の「Qwen3.8-Max License」です。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。運営者はQwenを入れていますが、使い心地はこの記事には書いていません。画面名・モデル名・金額は公式の表記を写しています。公式のページは要約の形で取得したため、「書かれていない」と言い切らず「読んだ範囲では見つからなかった」と書いています。Qwen Studio のサイトの規約やプライバシーポリシーは、取得してもページの説明文しか返らず、本文が読めませんでした。
先に結論
- まず、どの入口かを決める。 「話し相手・調べもの・資料づくり」ならチャット(Qwen Studio)、「プログラムから呼び出す」ならAPI(QwenCloud か Model Studio)、「自分の環境で動かす」ならオープンウェイトのモデル、というのが公式の資料から読み取れる分け方です。
- 無料の範囲は、入口ごとに別の話。 Qwen Studio は「無料」と公式のREADMEとApp Storeの表示にありますが、回数の上限や有料プランは、読んだ範囲では見つかりませんでした。APIの無料枠は、QwenCloud のページに条件がはっきり書かれています。
- データは、入口ごとに別のルールを読む。 チャットのデータの扱いは未確認です。APIは、リージョン(地域)の選び方で、データの置き場所が変わります。
- 名前の揺れに注意。 同じチャットを、公式のREADMEは「Qwen Studio」、公式のドキュメントは「Chat with Qwen」、アプリストアの表示は「Qwen Studio」と呼んでいます。改名を告知した公式ページは、読んだ範囲では見つかりませんでした。なお、qwen.ai のページの検索用キーワード欄には「Qwen Chat」と「Qwen Studio」の両方の語が並んでいますが、両者の関係を説明する文は同じページにありません。
前提:用語をそろえる
- Qwen:アリババのQwenチームが作るAIモデルの系列です。公式のドキュメントは「言語とマルチモーダルのモデルのシリーズ」と説明しています。
- Qwen Studio:チャットの画面です。公式のGitHubのREADMEでは chat.qwen.ai がこの名前で呼ばれています。同じ住所のページ自身の題名は「Qwen」です。そのページの説明文には、チャット、画像と動画の理解、画像の生成、文書の処理、ウェブ検索、ツールの利用、アーティファクト(作った成果物を横に表示する機能)が並んでいます。
- QwenCloud:開発者向けのプラットフォームです。公式は「テキスト、画像、音声、画像と動画の生成のAIモデル」と説明しています。
- Alibaba Cloud Model Studio:アリババクラウドのモデルサービスのプラットフォームです。公式は「Qwenのシリーズと第三者のモデルを、OpenAI互換のAPIなどで提供」と説明しています。
- オープンウェイト:モデルの「重み」のファイルを公開して、誰でもダウンロードできる形です。使えるかどうかは、ファイルに付くライセンスで決まります。
- API:他のプログラムからAIを呼び出す入口です。リージョンは、APIが受け付けて処理する地域です。
-
トークン:AIが文章を数える単位です。APIの料金や上限の単位に使われます。
-
SDK:プログラムからAPIを呼びやすくする、部品のセットです。
- エンドポイント:APIの受付の住所(URL)です。
どの「Qwen」のことか:公式の資料で見つかった候補
| 候補 | 公式の説明(読んだ範囲) | 確かさ |
|---|---|---|
| Qwen Studio(chat.qwen.ai) | READMEは「無料で、誰でも使えるアシスタント」と説明。サイトの説明文は、チャット、画像と動画の理解、画像生成などを挙げる | 文書に書かれている |
| Qwen App(中国向けの消費者アプリ) | 2025年11月17日に、中国のユーザー向けに無料のベータ版として発表。iOS、Android、ウェブ、PCが対象。中国以外向けは「あとで」 | 文書に書かれている(アリババの発表) |
| QwenCloud(qwencloud.com) | 「AIネイティブのプラットフォーム」。QwenのモデルのほかにDeepSeekなども載る | 文書に書かれている |
| Alibaba Cloud Model Studio | 「ワンストップのモデルサービスのプラットフォーム」。2026年10月11日更新と表示 | 文書に書かれている |
| QwenWork | 資料や文書、ウェブページ、分析レポートを作る仕事向けの製品。ウェブとデスクトップ | 文書に書かれている(プライバシーのページ) |
| Qwen Code | ターミナルで動くコーディングのエージェント。Apache-2.0 | 文書に書かれている |
| オープンウェイトのモデル | Hugging Face などで公開。例は Qwen3.8-27B(2026年8月14日) | 文書に書かれている |
このガイドの選び方。 「Qwen」という名前の入口は上のように複数あり、公式のどのページも「入口はこの1つ」とは書いていません。そこで、僕らは、公式のQwenのサイト(qwen.ai)からつながるチャット(chat.qwen.ai。READMEとApp Storeでは「Qwen Studio」の名前)を入口にし、APIとモデルの公開をつなぎ役として扱います。QwenWork と Qwen Code は、03と04で必要な範囲だけ触れます。
読み切れていない関係。 QwenCloud と Model Studio の関係(同じ会社の別の入口なのか、地域で分かれているのか)は、読んだページには書かれていませんでした。QwenCloud のトップページの下部には「Intelligent Cloud Computing (Singapore) Private Limited」が著作権者として表示され、アリババクラウドの製品へのリンクもあります。Model Studio のページは QwenCloud にも改名にも触れていません。Qwen App と Qwen Studio の関係も、アリババの発表には書かれていませんでした。
入手:どこで使えるか
チャット(Qwen Studio)
- ウェブ。 chat.qwen.ai です。サインインの方法(メール、電話番号、Googleなど)は、読んだ範囲では見つかりませんでした。
- アプリ。 chat.qwen.ai のページには「Download App」とQRコードが出ます。あわせて「いまのシステムには未対応」という趣旨の案内も出ます。対応のしくみは公式の資料では確認できていません。
- iPhoneアプリ。 App Storeには「Qwen Studio-Ask Qwen,Know More」という名前の無料のアプリがあります(提供元の表示は「NTH POWER GLOBAL TECH SINGAPORE PTE. LTD」)。年齢区分は18+。表示言語は英語ほか15言語で、日本語も含まれます。対応OSは、iPhone が iOS 16 以降、iPad が iPadOS 16 以降、Apple の M1 以降のチップの Mac が macOS 13 以降と掲載されています(Mac については「Not verified for macOS」の表示があります)。アプリ内課金の記載は、読んだ範囲では見つかりませんでした。説明文には「QwQで深く考える」とあり、いまのモデル名と食い違うので、古い文面が残っている可能性があります。
- デスクトップ。 Qwenのサイトの、検索エンジン向けのキーワード欄(SEO用の語)に「desktop」「mac」などが並びますが、これは検索用の語で、配布ページの記述ではありません。デスクトップ版の有無は、公式の資料では確認できていません。
API(QwenCloud)
- サインイン。 公式のFAQは、GitHubのアカウント、またはメールの確認コードの2通りと書いています。アリババクラウドの国際版のメインアカウントだけが入れる、ともあります(RAMユーザー、つまりメインアカウントの下に作る子のアカウントは不可)。
- 手順。 「First API call」のページによると、①アカウントを作る、②コンソールの「API Keys」でキーを作る、③キーを環境変数
DASHSCOPE_API_KEYに入れる、④OpenAIのSDKなどでリクエストを送る、という流れです。キーはリージョンごとに作ります。 - モデルの選び方。 公式は、最も高性能な
qwen3.8-max(複雑な推論とコーディング向け)、バランス型のqwen3.7-plus(Introduction が「まず qwen3.7-plus から」と案内)、速くて安いqwen3.8-flashの3つを軸に説明しています。
API(Alibaba Cloud Model Studio)
- 公式の概要のページによると、有効化は無料で、モデルを呼び出したときなどに費用がかかります。リージョンは、中国(北京)、米国(バージニア)、シンガポール、ドイツ(フランクフルト)、日本(東京)、中国(香港)の6つです。
- エンドポイントの形は
https://{WorkspaceId}.<region>.maas.aliyuncs.com/compatible-mode/v1と書かれています。呼び出しのたびにワークスペースのIDが必要です。QwenCloud の{region}.maas.qwencloudapi.comとは別のドメインです。
オープンウェイトのモデル
- 公式のREADMEによると、Hugging Face と ModelScope で公開されています。ライセンスは、リポジトリ自体は Apache-2.0、重みは「モデルの重みと一緒に置かれたライセンスのファイルを見る」とあります。
無料でどこまでか
| 入口 | 公式に書かれている無料の範囲 | 確かさ |
|---|---|---|
| Qwen Studio(チャット) | READMEは「free」「open to all」。App Storeは価格「無料」。回数や機能の上限は読んだ範囲に見つからない | 一部のみ書かれている |
| QwenCloud(API) | 新規ユーザーに、シンガポールのリージョンだけで無料枠。モデルごとに量が決まり、通常90日間有効。支払い情報の入力で有効になる | 文書に書かれている |
| Model Studio(API) | 新規ユーザーに無料枠。国際版のページはシンガポール、中国向けのページは北京と書いていて、食い違う | 文書に書かれている(ページ間で違う) |
| Qwen Code | ログインで使える無料の枠は、公式のページが2026年4月15日に終了と書いている | 文書に書かれている |
| オープンウェイト | 重みのダウンロード自体は無料。動かす計算機は自前 | 文書に書かれている |
QwenCloud の無料枠のくわしい条件(Free quotaのページ)。
- 量は固定ではなく、モデルごとに「Free Tier」のページで決まります。入力と出力を合わせた1つの合計です。
- 有効期間は通常90日間。新規ユーザーは、アカウントを有効にした日から数えます。新しいモデルは、そのモデルの公開日から数えます。
- 追加のアカウントを作っても、増えません。モデルによっては無料枠がありません。
- シンガポールのリージョンで作ったキーを、シンガポールのエンドポイントに送ったときだけ使えます。バッチ呼び出し、ウェブ検索などの内蔵ツール、ファインチューニング、デプロイは対象外です。
- 期限が過ぎると残りは消えます。その後は従量課金です。「Free quota only」は初期設定ではオフで、モデルごとにも全モデルにも切り替えられます。有効にしておくと、無料枠が尽きた時点で呼び出しが止まります。支払い情報を入れる前に作ったアカウントは、無料枠が尽きると、支払いを設定するまで呼び出しが止まる、とも書かれています(エラー名は
AllocationQuota.FreeTierOnly)。 - 支払いが滞っているアカウントは、無料枠が残っていても、すべてのモデルの呼び出しが止まります。
QwenCloud のトップページには「70M+ free tokens」という帯の表示もありました。この数字が誰に何を指すかは、ページの記述だけでは読み切れていません。
最初に決めること
- 何に使うか。 会話や調べものならチャット、プログラムに組み込むならAPI、社内のサーバーで動かすならオープンウェイト、が入口の目安です。
- APIなら、リージョン。 QwenCloud のリージョンは、シンガポール、北京、フランクフルト、香港、東京、バージニアです。キーはリージョン専用で、別のリージョンのエンドポイントに送ると認証エラーになる、と公式にあります。リージョンの切り替えをコンソールで行っても、コードの中のURLとキーは変わらない点も、公式が注意しています。
- データの置き場所。 QwenCloud では、リージョンが「リクエストを受け付けて、データを保存する場所」を決めます。さらに、ワークスペースを作るときの「デプロイの範囲」で、推論を動かす場所が変わります。東京なら「全世界」か「日本のみ」から選びます。あとで変更はできない、と書かれています。シンガポールと北京は選べません。
- ライセンス。 モデルの重みを使うなら、そのモデルのライセンスを先に読みます(下の表)。
オープンウェイトのライセンス:3つの例
| モデル | カード・ライセンスの表示 | 読み取れること | 確かさ |
|---|---|---|---|
| Qwen3.8-27B | License: apache-2.0 | 文章と画像を入れられる。文脈は262,144トークン | モデルカードに書かれている |
| Qwen3.8-2.4T-A95B | License: qwen3.8-max(「Qwen3.8-Max License」) | 月間利用者が1億人超、または月の売上が2,000万ドル超の商用製品は、モデル名を画面に表示。MaaSやAI作業アシスタントの事業で、売上の合計が5,000万ドルを超えると別のライセンスが必要。社内利用は例外 | LICENSEに書かれている |
| Qwen3.8-Flash-Next | License: qwen-community-1.0 | 条文の本文は読めていない | モデルカードの表示のみ |
ライセンスの意味づけ(自分の使い方が当てはまるか)は、条文の解釈になります。判断が必要なときは、原文を読むか、専門家に確認してください。
気をつけること
- Qwen Studio の規約・プライバシーポリシーは未読。 学習への利用、保管場所、保持期間、年齢条件は、公式の資料では確認できていません。再確認でも、chat.qwen.ai/legal-agreement/privacy-policy は qwen.ai/privacypolicy へ転送され、そこでも本文は取れず、説明文と検索用の語だけが返りました。規約のページ(qwen.ai/termsservice、chat.qwen.ai/legal-agreement/terms-of-use)も、読めた範囲では規約の本文は見つかりませんでした。App Storeの「データの収集」の表示(提供元の自己申告で、Appleが確認したものではない)は、端末のID、操作の履歴、クラッシュの情報を、本人に結びつけず分析に使う、というものでした。
- APIは、画面のチャットとは別の約束。 QwenCloud の Safety のページは、入力と出力をモデルの学習のために保存しない、と書いています。ただし Data security のページには、学習の扱いも保持期間も書かれていませんでした。ページによって書き方が違うので、重要な用途の前に、規約の本文を読んでください(QwenCloud のプライバシーポリシーとCustomer Agreementは、今回は本文を取得できませんでした)。
- 無料の期限と条件。 無料枠は支払い情報の入力が条件で、通常90日で消えます。期限の日付は、モデルごと・アカウントごとに違います。
- キーの扱い。 APIキーは作成時に一度しか表示されません。公式は、環境変数かシークレット管理に置き、フロントエンドやモバイルのコードには入れない、と書いています。
- アカウントの種類。 QwenCloud は、アリババクラウド国際版のメインアカウントだけが対象です。社内で使うときは、誰のアカウントで作るかを先に決めてください。
- 中国向けのQwen Appとは別物かもしれない。 同じ名前でも、地域ごとに入口と規約が違う可能性があります。どちらの規約が自分に当たるかは、公式の資料では読み切れていません。
出典
- Qwen(Qwenチーム、Alibaba、chat.qwen.ai、確認日 2026-10-23)
- Qwen(Qwenチーム、Alibaba、qwen.ai、確認日 2026-10-23)
- QwenLM/Qwen3.8 README(QwenLM、GitHub、確認日 2026-10-23)
- Qwen documentation(Qwenチーム、確認日 2026-10-23)
- Qwen Studio-Ask Qwen,Know More(App Store、確認日 2026-10-23)
- Alibaba Launches Qwen App to Boost its Consumer AI Efforts(Alibaba Cloud Community、2025-11-17、確認日 2026-10-23)
- QwenCloud(確認日 2026-10-23)
- Introduction(QwenCloud Docs、確認日 2026-10-23)
- First API call(QwenCloud Docs、確認日 2026-10-23)
- Regions and endpoints(QwenCloud Docs、確認日 2026-10-23)
- Free quota(QwenCloud Docs、確認日 2026-10-23)
- Account & access(QwenCloud Docs、確認日 2026-10-23)
- Data security & privacy(QwenCloud Docs、確認日 2026-10-23)
- Safety(QwenCloud Docs、確認日 2026-10-23)
- What is Alibaba Cloud Model Studio(Alibaba Cloud、更新日 2026-10-11、確認日 2026-10-23)
- What is Alibaba Cloud Model Studio(Alibaba Cloud、help.aliyun.com、確認日 2026-10-23)
- Privacy and Security - QwenWork(Alibaba Cloud Documentation、確認日 2026-10-23)
- Qwen Code: Terms of Service and Privacy Notice(Qwen Codeドキュメント、確認日 2026-10-23)
- Qwen3.8-27B モデルカード(Qwen、Hugging Face、確認日 2026-10-23)
- Qwen3.8-2.4T-A95B モデルカード(Qwen、Hugging Face、確認日 2026-10-23)
- Qwen3.8-2.4T-A95B LICENSE(Qwen、Hugging Face、確認日 2026-10-23)
- Qwen3.8-Flash-Next モデルカード(Qwen、Hugging Face、確認日 2026-10-23)