3行でいうと
- 主な機能は、①役割を持つ「Bot」を作る、②Botが専用のクラウドコンピューターで作業する、③複数のBotを同時に動かして、グループチャットで受け渡しさせる、④やり方を「スキル」に保存し、「ルーティン」で自動実行する、⑤X上で「@bot」を付けて頼む、の5つです。
- 公式の使い方の記事は、営業、採用、広告運用、経費、プロダクトの性能調査、バグの再現、顧客の状態管理、秘書役の8つの役割を載せ、どれも「送信・公開・購入・本番の変更」の前で止まる形にしています。
- 公式が勧める育て方は、定義する、安全な範囲で1回やらせる、直す、スキルにする、2つ目の入力で試す、ルーティンにする、の順です。いきなり自動化はしません。
- 「デモで教える(Teach a task)」は、公式が「少しずつ提供中」と書いている機能で、録画は最長10分です。自分の画面に出ていないことがあります。
- すべてのBotは1台のコンピューターを共有します。便利さと引き換えに、ログインやファイルが共有される点を、使い方の設計に入れておく必要があります。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。運営者はGrok Botを入れていますが、使い心地はこの記事には書いていません。画面名・ボタン名は公式の表記を写しています。公式のページは要約の形で取得したため、読んだ範囲に書かれていなかったことは「見つからなかった」と書いています。
先に結論
- Grok Botは、「質問する相手」ではなく「仕事を割り当てる相手」として作られている、と公式は説明している。 製品ページの見出しは「Message Bots like teammates」「Give each Bot a job」です。
- 有意義に使う鍵は、「1つのBotに、1つの役割と、止まる場所を決める」こと。 公式の入門には、焦点を絞ったBotのほうが、何でも屋より働きやすい、とあります。
- 「自動で動く」前に「手動で確かめる」が公式の順番。 スキルもルーティンも、まず本物の仕事で試してから、とされています。
- できないこと・向かないことも書かれている。 サイトが自動操作を断ったり、CAPTCHAを出したりしたときは、Botが人に引き継ぐ、とあります。
前提:用語をそろえる
- Bot:名前、役割、記憶を持つ長続きのAIの仲間。
- Team Bot(チームのBot):チームで共有するBot。2026年9月28日の公式ページで「public beta」、TeamsとEnterpriseのプラン向けと書かれています(03、04で触れます)。
- コンピューター:Botの作業場。ブラウザ、コマンドライン、ファイルがあり、あなた専用の1台をすべてのBotが共有します。
- スキル:特定の仕事のやり方を書いた、再利用できる指示。入力、手順、確認方法、戻す形、承認が要る点を書くとよい、と公式の記事にあります。
- ルーティン:1つのBotに、時刻や出来事をきっかけに、決めた仕事を繰り返させる設定。クラウドで動くので、アプリを閉じても動く、と書かれています。
- Take over(引き継ぎ):パスワードや2段階認証など、Botに任せられない所を、自分が画面を操作して通す操作。
- Auto Review:リスクのある操作の前に、別のモデルが点検する仕組み(04で扱います)。
たとえ話:「机とパソコンを持った、役割別の社員」
Botを「社員」にたとえると、1人ずつ名前と担当があります。全員が同じ部屋の1台のパソコンを共有している、という変わった会社です。担当は「営業の下調べ」「経費の突き合わせ」のように分けます。やり方が固まったら、手順書(スキル)にして、毎晩やる当番(ルーティン)にします。大事な送信や購入は、必ず上長(あなた)の承認を取る決まりです。これは僕らのたとえで、公式の表現ではありません。
主な機能:公式が書いていること
| 機能 | 公式の資料に書かれていること | どこに書かれているか | 確かさ |
|---|---|---|---|
| Botを作る | 名前、役割、自分の会話を持つ。New chat(+ボタン)かCmd+Nから「Create new Bot」。最初のメッセージで、役割、資料、承認の境界を伝え、「覚えて」と頼む | Cursorのドキュメント「Work with Grok Bot」の「Bots」 | 書かれている |
| Botを整理する | サイドバーの上にピン留め、セクションに移動、「Hide from sidebar」で隠す(作業もルーティンも止まらない)。「Hidden Bots」から戻せる | 同上 | 書かれている |
| 会話・添付 | /でスキルを呼ぶ、@でBot・グループ・ルーティン・アプリを指定。デスクトップは1通に6件まで添付。文書・画像・音声は1件25MB、動画は200MB |
同上の「Messaging and Collaboration」 | 書かれている |
| 音声 | 音声入力(ディクテーション)と音声チャットに対応。デスクトップは Cmd/Ctrl+D | FAQ、入門 | 書かれている |
| クラウドコンピューター | ブラウザ、コマンドライン、ファイルシステム。ノートパソコンを閉じても作業が続き、ログインが残る。作業用のファイルは /workspace に置く |
「Work with Grok Bot」の「The Computer and Apps」 | 書かれている |
| コンピューターの画面を見る・引き継ぐ | 右側のパネルのプレビューを押して見る。パスワード、パスキー、2段階認証、CAPTCHA、支払い確認などは、人が引き継ぐ | 同上 | 書かれている |
| 複数のBot、グループチャット | New chatで2〜6つのBotを選ぶ。@で1つのBotに依頼、@everyoneで全員に。Bot同士の受け渡しは非同期で、会話に見える |
同上 | 書かれている |
| スキル | Botに「名前つきのスキルとして保存して」と頼む。使うときは / |
同上の「Skills and Routines」 | 書かれている |
| Teach a task(デモで教える) | 1対1の会話でコンピューターの画面を開き、「Teach a task」を選んで、実際にやってみせる。録画は最長10分、マイクの音声はなし。結果は「下書きのスキル」になる | 同上。「少しずつ提供中」と書かれている | 書かれている(一部の人だけ) |
| ルーティン | 決めた時刻、または対応するきっかけで動く。Test、Pause、Resume、Edit、削除ができる。削除は取り消せない | 同上 | 書かれている |
| きっかけ(トリガー) | SlackのメッセージやGitHubの通知などで、ルーティンを始められる。更新履歴には、Teams、Linear、Sentry、PagerDuty、webhookも出てくる | 同上、更新履歴 | 書かれている |
| 結果の成果物 | 作ったファイルはカードとして出て、プレビュー、保存、フィードバックができる。Page(グラフや表を含む報告書・ダッシュボード・管理表)は、セルフ契約のユーザーは公開で共有できる、とある。更新履歴には、スライド(2026年10月7日)、ページと、説明や画像からの動画の作成(10月22日)が出てくる | 同上、「Files and Results」、更新履歴 | 書かれている |
| 記憶 | 安定した好み、役割の文脈、仕事の要約を覚える。ただし「記憶は正本ではない」ので、大事な判断は元の資料で確かめる | 「Work with Grok Bot」、FAQ | 書かれている |
| Xで「@bot」 | X上の投稿に返信して頼む。作業と結果は、アプリの該当Botの会話に出る | 「Tag @bot on X」 | 書かれている(地域の制限あり) |
公式が紹介する使い方:8つの役割
公式の「Grok Bot use cases」は、どの役割も「あなたが確認する下書きを用意する」形で、送信、公開、購入、本番の変更といった結果の大きい操作の前で止まる、と書いています。以下は、各項目の公式の見出しと、そこに書かれた内容の要約です(例の依頼文は、公式の文を僕らが言い換えたものです)。
| 場面(公式の見出し) | Botの担当 | つなぐもの(公式の例) | 公式が書く止まる場所 |
|---|---|---|---|
| Sales outbound | 見込み先の下調べ、連絡先の優先づけ、営業メールの下書き | CRM、メール、見込みの手がかりになる情報源 | メールを送らず、確認用のリストで止まる |
| Talent scout | 候補者探し、調べ、連絡の下書き | 採用管理システム、承認された探索ツール、メール、カレンダー | 外部への連絡は承認の後。候補者のプライバシーとサイトの規約を守る |
| Paid media | 広告キャンペーンの監視と予算の提案 | 広告の管理画面、分析、予算の表、Slack | 予算の変更はしない。分析をルーティンにしても承認の後 |
| Expense manager | 週ごとの経費の突き合わせと、不足の追いかけ | 経費システム、メール、経理の表 | 返金額の変更や送信はしない。例外には規程の引用を付ける |
| Product performance | 性能の問題を、証拠つきで調べる | 監視、分析、障害対応のツール | アラートや本番の設定は変えない。事実と仮説を分ける |
| Bug reproduction | バグの報告を、再現できる形にまとめる | 課題管理、テスト用の環境 | 本番の顧客データは使わない。テスト用のログインは、チャットではなく安全な引き継ぎで渡す |
| Account health | 顧客ごとの危険・伸びの兆しの一覧 | CRM、利用状況、サポート、請求 | 顧客に連絡したり、CRMを直したりしない |
| Chief of staff | 昨日から何が変わったかの、出典つきの要約 | Slack、メール、カレンダー、計画の文書 | メッセージの送信や会議の変更はしない |
- 公式の製品ページには、お客さんからの料金の質問に、過去の文脈を踏まえて答える場面の例もあります。そこでは、顧客が年払いを好むことや、承認者が誰かを、Botが覚えて使う様子が示されています。
- 2026年8月11日の発表ページには、社内で使われた例として、営業のアウトバウンド、デモの準備、パイプラインの整理、アカウントのフォローアップ、バグの修正、請求書の処理が挙がっています。
- 9月28日のページ(Team Bots)には、営業、プロダクトマネジメント、マーケティング、データ分析向けの、あらかじめ作られたTeam Botがある、と書かれています。
公式の「育て方」の順番
公式の使い方の記事の最後に、役割を「長続きするBot」にするための6段階が載っています。
- Botの説明に、仕事、元になる情報、出力の形、いつも守る境界を書く。
- 安全な範囲で、本物の仕事を1回やらせる。
- 確認しなくても見られる結果になるまで直す。
- うまくいった手順を「スキル」に保存し、2つ目の入力で試す。
- 失敗した場合のやり直しを決めてから、「ルーティン」を作る。
- 結果の大きい外部への操作は、承認の後ろに置く。
見立て(僕らの考えで、公式の推奨ではありません):初心者は、まず上の8つのうち、「読んで報告する」性質のもの(Chief of staff、Product performance、Account healthなど)から試すと、取り返しのつかない操作が起きにくいと思います。メールの送信やお金に関わるものは、最後にするのが安心です。
場面の例(たとえ話つき)
場面1:毎朝の「見るべきことの要約」を作らせる。 公式の「Chief of staff」の例に近い使い方です。公式の例では、昨日からの動きを、Slack、メール、カレンダー、計画の文書から集め、計画の優先事項に結びつくものだけを、出典、重要度、次の一手つきで返します。メッセージは送らず、会議も変えません。公式は、役に立った項目と雑音を印づけして、確認できる時刻にスケジュールする、と書いています。たとえるなら、朝いちばんに秘書が置いていく、付箋つきの1枚のメモです。
場面2:バグ報告を、再現できる形にする。 公式の「Bug reproduction」の例では、報告を読み、テスト用の環境で新しいテストアカウントを使って再現し、手順、期待される動作と実際の動作、画面、ブラウザとOSの情報を返します。本番の顧客データは使いません。たとえるなら、報告書を受け取った新人が、自分の席で「確かに起きます、手順はこうです」と動画つきで報告するイメージです。
場面3:Xで見かけた投稿から、その場で作業を頼む。 公式の「Tag @bot on X」の例は、「@bot summarize this thread and send the key points to my Slack」のように、投稿に返信して頼む形です。@botはXに短い確認の返信だけをして、進み具合や結果は、アプリの会話に出ます。詳しい条件は03に書きます。
向いていないこと・止まる場面(公式が書くもの)
- サイトが自動操作を断る場合。 公式のFAQは、サイトがログインのやり直しやCAPTCHA、人の確認を求めることがあり、その段階はBotが人に引き継ぐべき、と書いています。
- 1つのBotがコンピューターの画面で同時にできる作業は1つ。 画面は各Botに1つずつあり、1つの画面で同時に動く作業は1つ、とあります。
- デモの録画は最長10分。 その間はマイクの音声は入りません。録画に秘密情報を映さないよう書かれています。
- スマホでできないこと。 デモで教える、ルーティンのテスト、コンピューターの更新は、デスクトップで行います(01で触れました)。
- 記憶に頼りすぎない。 FAQは、大事な判断の前には、最新の情報源を見るよう書いています。
気をつけること
- 共有のコンピューターは、安全の境界ではない。 公式は「Botごとに分けても、セキュリティの境界にならない」と書いています。他のBotに見せたくないログインや、機密のファイルは、置かないのが基本です。
- 任せっぱなしにしない。 公式の使い方の記事は、結果の大きい操作を承認の後ろに置く、としています。承認の仕組みは04で扱います。
- ルーティンは費用にも響く。 公式は、きっかけの条件を狭くしないと、雑音が増え、使用量も使う、と書いています。
- 機能の名前と場所は変わる。 更新履歴には、Marketplaceが「Connect apps」になる、「Saved rules」が「Custom Rules」になる、といった改名があります。古い解説と画面が違うことがあります。
- 一部の機能は段階的な提供。 「Teach a task」、横断検索(会話をまたぐ検索)は、公式が提供を段階的、と書いています。画面に出ていない場合は、Botに文章で手順を伝えて、スキルを作らせる方法がある、と案内されています。
- ベータの区別。 2026年8月11日の発表は「ベータ」。のちのFAQ(9月29日更新)は、ベータとは書いていません。Team Botsは「public beta」です。
- 投資・法律・医療の助言ではありません。 採用や経費など、人やお金に関わる使い方は、会社の規程や法令に沿って、ご自身で判断してください。
出典
- Grok Bot(x.ai/bot、x.ai、確認日 2026-10-23)
- Introducing Grok Bot(x.ai、2026年8月11日、確認日 2026-10-23)
- Team Bots: shared AI teammates that learn as they work(x.ai、2026年9月28日、確認日 2026-10-23)
- Grok Bot use cases(Cursorのドキュメント、確認日 2026-10-23)
- Work with Grok Bot(Cursorのドキュメント、確認日 2026-10-23)
- Get started with Grok Bot(Cursorのドキュメント、確認日 2026-10-23)
- Grok Bot FAQ(xAIのドキュメント、2026年9月29日更新と表示、確認日 2026-10-23)
- Tag @bot on X(xAIのドキュメント、確認日 2026-10-23)
- Grok Bot changelog(x.ai、2026年10月22日の項目まで、確認日 2026-10-23)