勝利版 / 第31号・2026年8月1日
神宮で目が覚めた──七回、一挙4点の大逆転。0-3をひっくり返し、俺たちは首位を守った
六回を終えて0−3。正直、俺はビールを置いた。折れかけていた。だが野球は九回まである。前夜7月31日、神宮球場――阪神は七回に打者一巡、一挙4点を叩き込み、4−3でヤクルトをひっくり返した。三時間五十五分、二万九千三百二十八人が見届けた執念の逆転劇。この一勝で虎は、巨人と勝率.560で並ぶセ・リーグ首位を死守した。後半戦、神宮のナイター、点いた花火より熱いものが、あのスタンドにはあった。俺はそれを、この面に丸ごと書き残す。
俺的MVP ── 中野拓夢(派手さゼロ、価値満点の犠牲フライ)
逆転2点打の大山でもいい。ゼロで火を消した門別でもいい。だが俺は、あえて二番・中野拓夢を今日の陰のMVPに指名する。七回、満塁の好機で、彼が選んだのは特大の一発でも値千金のタイムリーでもなかった。右へ運ぶ犠牲フライ。ただの1点。だがその1点が、うつむいていた神宮に「まだいける」という電流を流した。
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歴史版 / 第31号・2026年8月1日
甲子園に落ちた、あの夜の1-5。だが俺たちは、まだ首位にいる。
忘れちゃいない。あの7月25日の夜を。首位攻防、満員42,648人の甲子園。ライトスタンドが黄色く燃えて、俺の喉はもう枯れかけていた。なのに——1対5。ゲームボードのゼロが並ぶ味方の列を、俺は何度も見返した。四回、伊原が崩れた。あの一挙4失点で、甲子園の熱が音もなく引いていくのを、俺はこの目で見た。悔しい。悔しくて、たまらない。だがな、聞いてくれ。あの夜から一週間、俺たちはまだ首位にいるんだ。
俺的MVP ── 立石正広(ドラフト1位新人)
負け試合にMVPを選ぶのか、って?選ぶさ。むしろ負けた夜こそ、光った男を見逃しちゃいけない。俺が選ぶのは、7番・立石正広だ。ドラフト1位の新人。この日、4打数2安打。チーム最多安打を、19歳の左のバットが叩き出した。
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休日版 / 第31号・2026年8月1日
同率首位、譲らへん。― 貯金11を抱いて、俺たちは"旅"に出る
8月1日、土曜日。カレンダーをめくった指が、少し震えた。阪神51勝40敗1分、勝率.560。巨人と同率首位。貯金は+11。今年のこの位置、この夏のこの景色を、俺は去年の秋からずっと夢に見てきた。首位や。単独やない、けど最下位でもない、二頭の虎と巨人が同じ高さで睨み合う――この緊張が、この痺れが、たまらんのや。
勝負のあの1球 ── 大山悠輔
俺はこの一打を、2026年の夏を象徴する"あの1球"として記憶に刻む。首位攻防の長い旅路で、こういう1点を拾えるチームだけが、最後に笑う。大山悠輔、あんたが4番でよかった。心の底から、そう思う夜やった。
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