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仕事でAIを使い始める前に、「どの契約のAIを使うか」「何を入れてよいか」「出力を誰がどう確かめるか」を、短い紙1枚で決めておく流れを整理します。個人情報保護委員会の注意喚起、AI事業者ガイドライン、各社の公式ページで確かめられることを土台にします。
こんな人に:仕事でAIを使い始める個人や小さなチーム、または職場にAIのルールを作る担当になった人。
最初の一歩
1使ってよい契約(個人用か、仕事用か)を決める
同じ会社のAIでも、契約で入力の扱いが違います。OpenAIの公式ページは、ChatGPTのFree・Plus・Proは内容が学習に使われうる(設定でオフにできる)一方、Business・Enterprise・Edu・APIは既定では学習に使わないと書いています。Anthropicの公式ページも、Claude for WorkやAPIなどの商用製品は既定では学習に使わないと書き、Free・Pro・Maxは別の説明になっています。仕事の情報は、仕事用の契約だけで扱う、と最初に決めます(記事403・404・126)。
2入れてよい情報・入れない情報の線を引く
個人情報保護委員会の注意喚起(2023-06-02)は、個人情報取扱事業者に、プロンプトへ個人情報を入れる前に、特定した利用目的の範囲内かを確かめるよう求めています。また、本人の同意なく個人データを入れ、応答の出力以外の目的(機械学習など)で扱われると、個人情報保護法に違反するおそれがあるので、提供事業者が機械学習に使わないことなどを確認するよう書いています。AI事業者ガイドライン(第1.2版)も、利用者に、個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう注意することを求めています。『そのまま入れてよい/伏せれば入れてよい/入れない』の3段にして、例を書きます(記事124・396)。
3出力を使うときの責任と確認のしかたを決める
AI事業者ガイドラインは、AI利用者に、出力の精度とリスクを理解したうえで事業判断は責任をもって行うこと、提供者が定めた利用上の留意点や規約を守ることを求めています。誰が出力を確かめるか、資料に「AIを使った」と書くか、社外に出す前に誰が見るか、を決めておきます(記事449・406)。
4紙1枚に書いて、相談窓口と見直しの日を決める
AI事業者ガイドラインは、取組を事業者が自主的に進めるものとして位置づけ、更新される文書(Living Document)としています。ルールも一度作って終わりにせず、規約や契約が変わったときに見直す日を決めます。長い規程は要らず、状況の把握・相談窓口・事故の連絡・書いて広める、の4つから始める考え方は記事135にあります。法律や契約の解釈で迷う点は、専門家に確認してください。
どのツールを、どう組み合わせるか
ChatGPT(Business・Enterprise・Edu・API) + Claude(Claude for Work・API)
どちらも「仕事用の契約」の例。個人用と違い、既定では入力を学習に使わないと各社の公式ページが説明している。
使うAIがどちらでも、まず仕事用の契約で入っているか、管理者の設定(誰が使えるか、共有の可否など)を確かめる。OpenAIは、Businessに多要素認証や役割、シングルサインオン、Enterpriseに加えてSCIMなどの管理機能があると説明している。
公式の根拠:OpenAI:「Business data privacy, security, and compliance」。Anthropic:プライバシーセンター「Is my data used for model training?」(商用製品は既定で学習に使わない、フィードバックの例外つき)。
AI事業者ガイドライン + 個人情報保護委員会の注意喚起
ガイドラインは、AIを使う事業者の自主的な取組の考え方。注意喚起は、個人情報保護法の観点で、生成AIに個人情報を入れるときの注意点。
自社のルールの骨組みはガイドラインの「AI利用者」の留意点に合わせ、個人情報を扱う場面は注意喚起の点検項目(利用目的、機械学習への利用、本人の同意)に合わせて書く。
公式の根拠:経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」。個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023-06-02)。
ローカルAI(Ollama・LM Studio) + クラウドのAI(ChatGPT・Claudeなど)
ローカルは、手元のPC内で動かす選択肢。クラウドは、提供事業者のサーバーで処理する選択肢。入れる情報の段階に応じて使い分ける。
ルールの3段(そのまま入れてよい/伏せれば入れてよい/入れない)のうち、「入れない」に近い資料をどう扱うかを先に決める。手元のAIを使う場合も、クラウド機能の有無やネットワーク公開の設定は確かめる(項目「local」を参照)。
公式の根拠:Ollama:ドキュメント「FAQ」(ローカルでは、プロンプトやデータを見ないという説明)。LM Studio:プライバシーポリシー(ローカルでは会話・文書は送信されないという説明)。
公式が紹介している使い方
- 個人用のアカウントと仕事用の契約を分け、仕事の情報は仕事用の契約だけで扱う(OpenAIもAnthropicも、商用製品は既定では学習に使わないと公式に書いている)。
- 個人情報を含む作業の前に、利用目的の範囲内か、提供事業者が機械学習に使わないかを確かめる(個人情報保護委員会の注意喚起が示す点検項目)。
- 管理者が、誰が使えるか・共有の範囲・保存期間を設定できる契約を選ぶ(OpenAIは、条件を満たす組織は保存期間を設定でき、APIにはゼロデータ保持の方針もあると説明している)。
- ルールを紙1枚にして、規約や契約が変わったときと、定期的に使い方を見直す。AI事業者ガイドラインも、更新される文書として位置づけられている。
気をつけること
- 個人用アカウントで仕事の情報を入れない。OpenAIの公式ヘルプは、Free・Plus・Proは設定がオフにされていなければ学習に使われうると書き、Anthropicも個人向けは別の設定で扱っている。仕事用の契約かどうかを、先に確かめる。
- 「学習に使わない」は「保存されない」「誰も見られない」と同じではない。OpenAIは、保存期間を設定できるのは条件を満たす組織と書いている。Anthropicの公式ページは、フィードバック(良い・悪い)を送ると、その会話が学習に使われることがあり、関連する会話は最長5年保存されると書いている。誰が会話を見られるかは記事397を見る。
- 個人情報保護委員会の注意喚起は、2023年6月2日付の文書。法律の解釈や、自社の場合に当てはまるかの判断は、専門家(社内の担当者・弁護士など)に確認する。
- AI事業者ガイドラインは、事業者の自主的な取組の考え方で、守らないと罰則が付く、という書き方は読んだ範囲では確かめていない。ただし、取引先・業界・自社の契約に、別の決まりがあることはある。自社と取引先の取り決めは、各自で確認する。
- 規約や設定は、後から変わる。資料に書いた確認日から時間が経っていないか、定期的に公式ページで確かめる。AIの出力も間違うことがあるので、そのまま社外に出さず、人が確かめる。
僕らの見立て(公式の説明をもとにした考え方で、断定ではありません)
- 僕らの見立て:最初は『入れない情報のリスト』だけを先に作る(個人情報、取引先の秘密、パスワード、未公開の数字など)と、すぐ動き出せそう。細かい許可リストは、使いながら足していく方が続きやすそう。
- 僕らの見立て:ルールの文面に、使ってよいAIの名前と契約の種類(個人用か仕事用か)を並べて書くと、現場が迷いにくそう。規約は変わるので、確認した日付も一緒に書く。
- 僕らの見立て:事故があったときの連絡先(誰に、何を伝えるか)を最初から書いておくと、『言いにくくて隠れる』を減らせそう。
- 僕らの見立て:氏名や連絡先を伏せた形で相談し、結果を自分で元の情報に当てはめると、入力する内容を減らせそう。
あわせて読む記事:記事135「職場でAIを使うルールのつくり方:長い規程は要らない。「…」、記事124「AIに入れてはいけない情報:個人情報と秘密は「入れる前に…」、記事126「会社の資料をAIに入れる前に確認すること:「どの契約か」…」、記事396「個人情報保護委員会の資料で、自社のAI利用を点検する:「…」、記事403「個人・チーム・会社のAI契約は、どう分けるのか:データを…」、記事449「AIの出力を仕事で使うとき:商用利用・出力の権利・著作権…」
確認できていない点(5件)
- Google WorkspaceのGemini、Microsoft 365 Copilotなど、他社の仕事用プランの学習・保存の扱いは、この項目では公式ページを読んでいない(記事400・404を参照)。
- AI事業者ガイドライン(第1.2版)の公表日は、経済産業省のページ本文に明記がなかった(ページの最終更新日は2026-04-01の表示、資料名は令和8年3月31日付)。法的拘束力について明示した記述は、読んだ範囲では見つからなかった。
- 個人情報保護法の2026年の改正内容と、個人情報保護委員会のその後の資料は、この項目では読んでいない(記事172・396を参照)。
- Anthropicの個人向け(Free・Pro・Max)の学習設定の詳細は、この項目では読んでいない。読んだ個人向けの説明ページは2026-05-22付、商用製品の説明ページは2026-08-18付の表示。OpenAIのヘルプページは日付の表示が相対表示(更新から何日前)のみだった。
- 社内ルールの雛形(公的な手引きの全文)は、この項目では読んでいない(記事135を参照)。
出典(10件)
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確認日:2026年10月23日。取得は要約経由のものを含みます。画面名・機能名・料金は変わります。使う前に、各公式ページで確かめてください。
ラボの資料は、公式の文書を読んでまとめたもので、実際に使って確かめた記録ではありません。日付や仕様は変わるので、使う前に各ページの出典で確かめてください。事実と「僕らの見立て」は、分けて書いています。