3行でいうと

  • AIは、聞く人の事情を知りません。公式の指南は、背景や理由を添えると的を絞った答えが返る、としています。「どこまで分かっていて、どこで引っかかったか」を書くのが近道です。
  • AIの答えは、文部科学省のガイドラインでは「参考の一つ」、OpenAIの説明では「最初の下書き」です。数字や名前は、別の場所で確かめる必要があります。
  • 学習向けの機能は、答えを渡すだけでなく、問いかけやクイズで理解を確かめる作りです。ただし公式も、間違いやむらがありうると書いています。

この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。質問の例文は僕らが作ったもので、公式のものではありません。

先に結論

公式の資料から言えることは、次の3つです。

  1. AIには「自分の今の位置」を渡す。 Anthropicの指南は、AIを「優秀だが、こちらの事情を知らない新人」にたとえ、背景や理由を書くと狙いを理解してもらいやすい、と書いています。
  2. 答えは「参考の一つ」として扱う。 文部科学省のガイドラインは、AIの出力は参考の一つで、最後に判断し責任を持つのは人間、としています。
  3. 理解したかどうかは、自分で確かめる。 OpenAIとGoogleの学習機能は、問いかけやクイズで確かめる作りです。見立てです。それを機能に頼らず、自分で「言い直す」ことでもできると思います。

たとえ話:初めて会う家庭教師

僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。

初めて会った家庭教師に「数学が分からないんです」とだけ言うと、先生は何から教えればよいか分かりません。「分数のわり算で、なぜひっくり返してかけるのかが分からない。かけ算は大丈夫」と言えば、先生は、その一点から説明できます。

AIも同じです。ただし、この家庭教師は、答えがすらすら出てきて、ときどき自信ありげに間違えます。だから、教えてもらったあとに、教科書や信頼できる資料で「合っているか」を見る習慣が要ります。

質問のしかた:4つ

公式の指南に書かれたことを、「分からない」を減らす場面に置き換えた、僕らの整理です。

1. どこまで分かっているかを書く。 Anthropicの指南は、事情を知らない相手にも通じる書き方をするよう勧めています。「中学1年の数学までは分かる」「この用語は初めて見た」のように、自分のレベルを書きます。OpenAIとGoogleの学習機能の発表も、説明を学ぶ人に合わせて調整すると書いています。

2. どこで引っかかったかを書く。 「全体が分からない」より、「この式の、この部分が、なぜそうなるのか分からない」のほうが、答えが的を絞れます。

3. 理由や目的を添える。 Anthropicの例では、「省略記号を使うな」より、「読み上げ機で読まれるので、省略記号は使わないで」と理由を書くほうがよいとされています。学ぶ場面なら、「来週の小テストで、自分で説明できるようになりたい」と書くと、説明の方向が決まります。

4. 例やたとえ、1つずつ。 「具体例を2つ」「中学生に説明するように」と頼む。一度に全部ではなく、1つ分かってから次へ進む。これは公式に書かれたことではなく、僕らが読んだ指南をもとにした使い方の提案です。

学習向けの機能(2025年に発表されたもの)
  • ChatGPTの学習モード(Study mode):OpenAIが2025年7月29日に発表。答えを直接出すのでなく、問いかけやヒントで段階的に導きます。確認のクイズや、自由記述の問いと講評もあります。会話の途中でオン・オフできます。発表時の提供は、ログインした無料・Plus・Pro・Teamの利用者でした。専用のモデルではなく、特別な指示で動くので、動きにむらや間違いがありうる、とOpenAI自身が書いています。
  • Geminiの学習の機能(Guided Learning):Googleが2025年8月6日に発表。開かれた問いかけ、問題を段階に分ける、図・動画・クイズなどを使います。ページには、提供される地域、プラン、料金は書かれていませんでした。

どちらも現在の提供範囲は、僕らは確認できていません。学習モードの詳しい使い方は、同じ連載の「勉強にAIを使う」の記事を見てください。

答えの確かめ方

なぜ確かめるのか

OpenAIのヘルプは、ChatGPTは役に立つが常に正しいわけではなく、自信ありげに間違うことがある、と書いています。間違いの例として、事実や日付の誤り、でっち上げの引用や研究、複雑な問いへの自信過剰な答えを挙げています。出力は最初の下書きとして扱い、最終的な情報源にしないよう勧めています。

3つの確かめ方

  1. 確かめる所を拾う。 数字、日付、人や本の名前、引用、専門用語の定義。OpenAIは、引用、データ、技術的な詳細、参考文献を確かめるよう書いています。
  2. 別の場所で見る。 教科書、公的機関のページ、元の資料。OpenAIは、正確さが大事なときは、検索などの機能を使い、付いた引用のリンクを自分で開くよう勧めています。検索が動いているかは、入力欄のアイコンや、答えの引用で見分けられる、とも書かれています。
  3. 「参考の一つ」に戻す。 文部科学省のガイドラインは、情報の真偽を確かめることや、自分の判断や考えが大切なことを学ぶ、としています。

自分の言葉で言い直す

見立てです。「分かった」かどうかは、AIの説明を閉じて、自分の言葉で書いてみると分かります。言えないところが、まだ分かっていないところです。

公式の資料も、似た方向です。OpenAIの学習モードは、確認のクイズや、振り返りの問いを入れています。Googleも、クイズを使います。文部科学省のガイドラインの概要は、学習では、自分の判断や考えが重要だと理解させるとしています。

ただし、言い直すことで理解が深まるという調査は、僕らは今回読んでいません。上は、僕らの使い方の提案です。

誤解されやすい点

「分かりやすい説明=正しい説明」 文部科学省のガイドラインの参考資料は、代表的なリスクとして、AIの答えを鵜呑みにすることで学ぶ力が育たないこと、すらすら読める説明を正しいと感じてしまう人間側の偏り(流暢性バイアス)や、機械の答えを信じすぎる偏り(自動化バイアス)を挙げています。

「答えを聞けば、学んだことになる」 同じガイドラインは、生成AIを使うこと自体が目的になってはいけない、と書いています。生成物をそのまま自分の成果物として使うことは、自分のためにならず、不適切または不正な行為になりうると指導しているかを、確認項目に挙げています。

「何でもAIに聞けばよい」 ガイドラインは、感性や独創性が求められる表現や、最初の感想を求める場面で、安易に使わせることを不適切な例にしています。学校向けの文書ですが、「自分の考えを先に持つ」ことの大切さは、大人の学び直しにも当てはまると思います(見立てです)。

今日からできること、やってはいけないこと

今日からできること

やってはいけないこと

気をつけること

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