3行でいうと

  • Googleの開発者向け文書は、複雑な作業の分け方を3つ挙げています。指示ごとに分ける、順番に連ねる、部分ごとに別々にやって最後に合わせる、です。
  • Anthropicは、順に連ねるやり方が役立つのは「途中の結果を見たいとき」と「手順を決めたいとき」だと書いています。「分けると必ず精度が上がる」と数字で示した公式資料は、読んだ範囲では見つかりませんでした。
  • 最近のAIは、段取りを自分で考えることも増えています。OpenAIとAnthropicは、細かい手順を書きすぎないほうがよい場面もある、としています。

この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。依頼の例文は僕らが作ったもので、公式のものではありません。

先に結論

公式の文書を読んで言えることは、次の3つです。

  1. 「分ける」は、3社とも何らかの形で勧めています。 Googleは3つの型を挙げ、Anthropicは「連鎖」と呼び、OpenAIの学習ページは、大きな作業を区切って1つずつ頼む例を載せています。
  2. 理由として公式が書いているのは、途中の結果を確認できることです。 Anthropicは、各段階が別の呼び出しなので、途中で記録・評価・分岐ができると説明しています。
  3. ただし、いつでも分けるべきだとは書かれていません。 AnthropicとOpenAIは、新しいモデルが段取りを自分で考えられることにも触れています。

見立てです。長い作業を一度に頼むと、どこかが抜けても気づきにくい、というのが分ける一番の利点だと思います。公式の言い方では「途中が見える」に当たります。

たとえ話:料理の「味見」

僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。

料理を、下ごしらえ、焼く、盛りつけ、と工程で分けると、工程ごとに味見ができます。しょっぱすぎたら、その場で直せます。「全部まとめて作って」と頼んで、出てきた皿が口に合わなかったら、どの工程が悪かったのか、見分けにくくなります。

AIへの頼みごとも同じです。工程の切れ目で結果を読めば、直すのは一部分で済みます。ただし、卵を焼くだけのような短い作業なら、工程に分けるほうが手間です。

公式が示す、「分ける」3つのやり方

Googleの開発者向け文書(2026年10月13日更新と表示)が、いちばん分かりやすく整理しています。

型 内容(言い換え) 僕らの例
指示ごとに分ける 1つのプロンプト(AIへの頼みごとの文章)に、指示を何個も詰め込まず、指示1つにつき1つのプロンプトにする 「要約して、翻訳して、題をつけて」を、3回に分ける
順に連ねる 順番のある作業を、段階ごとのプロンプトにする。前の段階の結果を、次の段階に渡し、最後の結果が答えになる ①会議のメモから議事録 → ②議事録からToDo → ③ToDoから連絡メール
部分ごとに別々にやり、合わせる 資料の別々の部分に、別々の作業を同時に行い、最後に結果をまとめる 長い資料を章ごとに要約し、最後に章ごとの要約を合わせる

Anthropicの文書は、2つ目の「順に連ねる」を連鎖と呼び、代表的な型として「下書き、基準に照らして見直し、見直しを受けて直す」の3段を挙げています。OpenAIの学習ページ(ChatGPT Learn)には、「必須の作業」と「任意の仕上げ」を分けて頼む、方法が大事なときは先に計画を出してもらう、という書き方があります。

今日からできること:5つの手順

どれも、上の指南を土台にした、僕らの整理です。

  1. 最初に、ゴールを一言で書く。 OpenAIの学習ページは、細かい手順よりも、まず欲しい結果を書くよう勧めています。
  2. 作業を、結果が読める区切りで分ける。 「議事録」「ToDo」「メール」のように、1つずつ読んで確かめられる単位にします。何個がよいかは、公式に目安がありません。迷ったら、3つ前後から始めるのが、僕らの見立てです。
  3. 1回ごとに、結果を読んで直す。 OpenAIも、最初の依頼は完璧でなくてよく、結果を見て具体的な直しを頼む、と書いています。
  4. 前の結果を、次の頼みごとに貼る。 Googleの「順に連ねる」は、前の出力を次の入力にする型です。新しい会話に移すときは、必要な部分を貼り直します。
  5. 最後に、抜けがないかを確かめさせる。 OpenAIの学習ページは、大事な作業では、抜けや、確かめられなかった点を挙げてもらうよう勧めています。Anthropicも、終える前に基準で確かめさせると、特に計算やコードで間違いを見つけやすい、と書いています。
長い会話で何が起きるか(Claudeのヘルプより)

Anthropicのヘルプは、「コンテキストウィンドウ」を、1つの会話でClaudeが一度に扱える情報量(作業机の広さのようなもの)と説明しています。コード実行の機能が有効なら、会話が上限に近づいたとき、古いやりとりを自動で要約して続けられ、全履歴は残る、とあります。長さの上限に達したときの提案は、新しい会話を始めること、プロジェクトの機能を使うこと、などです。

つまり、「長い作業は小分けにして、別の会話に移す」場合でも、前の会話の内容は自動では引き継がれません。必要な結果は、自分で貼ります(ここは僕らの見立てです)。使用量の上限や、モデルごとのウィンドウの大きさは、プランやモデルで変わるので、この記事では書きません。

誤解されやすい点

「分ければ必ず正確になる」 公式の文書は、分けた場合の精度の上がり方を、数字で示していません。Anthropicの説明は、途中の出力を確認できること、手順を固定できること、各段階で記録・評価・分岐できることで、「正確になる」とは書かれていません。

「手順は細かく書くほどよい」 OpenAIのAPI文書は、推論モデル(答える前に長く考えるAI)には大まかな方針が合い、通常のGPTには細かい指示が必要、と分けています。Anthropicも、手順を書くより「じっくり考えて」のような一般的な指示のほうが、よいことが多いとしています。使うAIで、ちょうどよい細かさが違います。

「新しいAIにも、必ず分ける必要がある」 Anthropicは、新しいClaudeは多くの段取りを内部でこなすので、明示的な連鎖が要るのは、途中を見たいときか、決まった手順にしたいときだ、と書いています。分ける作業は「必須」ではなく「必要なときの道具」と読めます。

やってはいけないこと

気をつけること

出典

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