3行でいうと
- 生成AIは、文章・画像・音声などを「新しく作る」AIの総称です。検索は、すでにあるページを探して見せるしくみで、仕事の種類が違います。
- 生成AIは、学んだ言葉のつながり方をもとに、言葉を一つずつ作っています。そのため、もっともらしい間違い(ハルシネーション)が起こり、総務省の白書も、完全には抑えられないとしています。
- いまは、ChatGPTの検索機能やGoogleのAI概要のように、両方を混ぜたものが増えています。出典のリンクが付いていても、自分で開いて確かめる、が公式の共通の注意です。
この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。たとえ話と、「見立てです。」で始まる段落は僕らの考えで、公式の文書に書かれていることとは分けて書きました。
先に結論
公式の資料を読んで言えることは、次の4つです。
- 生成AIは「作る」AIです。 総務省の白書は、テキスト、画像、音声などを自律的に生成できるAI技術の総称、と説明しています。AWSも、会話、物語、画像、動画、音楽などの新しいものを作るAI、としています。
- 検索は「探す」しくみです。 Googleの公式説明では、あらかじめ集めて整理した大きなデータベース(索引)から、質問に合うページを探して返します。
- 生成AIの答えは「作られた文章」です。 OpenAIは、モデルは学習した文章のコピーを持たず、言葉を一つずつ、学んだ確率にもとづいて作ると説明しています。
- だから、間違いは「ときどきある不具合」ではなく、性質のひとつです。 大事な内容は、別の手段で確かめる必要があります。
たとえ話:司書と、本をたくさん読んだ書き手
僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。
- 検索は、図書館の司書です。 「これについて書かれた本はどれ?」と聞くと、棚から本(ページ)を探して、「この本とこの本です」と渡してくれます。中身を書いたのは司書ではなく、本の著者です。
- 生成AIは、とてもたくさん本を読んだ書き手です。 「これについて教えて」と頼むと、読んで身についた言葉の使い方をもとに、その場で文章を書き下ろしてくれます。書き手は、本を手元に開いて写しているわけではありません。覚えた型から書いています。すらすら書けますが、細かい数字や固有名詞を、それらしく書き間違えることもあります。
このたとえは、「探して渡す」と「その場で書く」の違いを覚えるためのものです。AIが人間のように「理解して書いている」のかどうかは、読んだ資料には書かれていません。
公式資料が言っている「生成AI」
何をするAIか
総務省の令和6年版 情報通信白書は、生成AIを、テキスト、画像、音声などを自律的に生成できるAI技術の総称、と書いています。2022年のChatGPTの発表が、大きな注目のきっかけだったとしています。
白書が挙げる特徴は、ふだんの言葉で指示するだけで使えること、文章や画像など複数の形式で出せること、いろいろな作業に使えることです。白書は、ChatGPTが公開から5日で100万ユーザー、2か月後に1億ユーザーを超えたことにも触れています。
どうやって作っているか
OpenAIの公式ヘルプの説明です。
- 文章を、「トークン」(単語、単語の断片、記号など、言葉の小さなかたまり)に分けます。
- 大量の文章から、どのトークンの近くにどのトークンが出やすいか、という関係を学びます。これが「学習」です。学ぶとは、モデルの中の数値(パラメータ)を少しずつ調整することです。
- 答えるときは、「次に来そうなトークン」を選ぶことを繰り返して、一つずつ文章を作ります。
- 次に来る言葉の候補がいくつもあるので、答えには、ある程度のランダムさがあります。同じ質問でも、答えが違うことがあります。
OpenAIは、モデルは数値と、それを使うプログラムでできていて、学習に使った文章のコピーを持っているわけではなく、貼り付けているのでもない、とも書いています。
「基盤モデル」と「LLM」
AWSの説明では、基盤モデルは、幅広い、ラベルのない(正解が付いていない)データで学習した大きなモデルで、いろいろな一般的な作業に使えます。LLM(大規模言語モデル)は、その中で、言語の作業に特化した種類です。つまり、ChatGPTのような文章を作るAIの土台になっている部品、と読めます。AWSは、生成AIの限界として、不正確になりうること、学習データの偏りが出ること、独自のデータでモデルを調整するときのプライバシーとセキュリティの心配も挙げています。
検索とどう違うのか
公式の説明を横に並べると、違いが見えます。
| 見るところ | 検索(Googleの公式説明) | 生成AI(OpenAIなどの公式説明) |
|---|---|---|
| 材料 | あらかじめ集めて整理した索引。何千台ものコンピューターに置かれた大きなデータベースと説明されている | 学習で調整された数値。学習した文章そのものは持っていないと説明されている |
| 答えの出し方 | 質問に合うページを索引から探し、質と関連性が高いと判断したものを返す | 学んだ確率にもとづき、トークンを一つずつ作る |
| 結果の形 | ページへのリンクの並び | 文章(や画像など)そのもの |
| 同じ質問をすると | 場所、言語、端末などで結果が変わる | ランダムさがあり、答えが変わることがある |
| 間違いの形 | すべてのページが取り込まれ、表示されるとは限らない | もっともらしい、事実でない文章(ハルシネーション) |
| 出典 | 結果そのものがページへのリンク | 検索機能が働くときは、Webを調べて出典のリンクを付ける(次の節)。それ以外の答えの出典の扱いは、読んだ資料には書かれていない |
Googleの説明には、順位は広告とは別で、数百の要素(場所、言語、端末など)で決まる、ともあります。すべてのページが取り込まれ、表示されるとは限らない、という注意もあります。
見立てです。検索は元の文章がリンク先にあるので確かめやすく、生成AIは「その場で作った文章」なので元が分かりにくい。この違いが、いちばん実用に響くと思います。
境目はあいまいになっている
最近のサービスは、両方を組み合わせています。
- ChatGPTの検索機能。 OpenAIのヘルプによると、ChatGPTはWebを検索して、最新の情報を、出典のリンクつきで答えられます。ChatGPTが自動で検索することもあれば、自分でオンにすることもできます。ログインしなくても使えます。
- GoogleのAI概要。 Googleは、重要な情報と、さらに調べるためのリンクを添えた、AIによる要約(スナップショット)と説明しています。Googleは、生成AIが特に役立つと判断した質問で表示されるとし、Searchの中核機能で、オフにはできない、と書いています。テキストのリンクだけを見たいときは「ウェブ」フィルタを使う、とあります。
この2つは、見た目が「検索」に近くても、中では生成AIが文章を作っています。どう組み合わせているかの細部は、読んだページには書かれていません。
どちらの公式ページも、間違いを前提にした注意を書いています。
- OpenAIは、検索結果と出典は、不完全、古い、不正確なことがある、と書いています。出典が答えを支えているか、日付はいつか、を確かめるよう勧めています。
- Googleは、AI概要は間違うことがある、と明記しています。大事な情報は複数の場所で確認する、聞き方を変えて何度か聞く、おかしいときはフィードバックを送る、と勧めています。
誤解されやすい点
「検索の代わりに使える」 公式の資料は、そう言っていません。総務省の白書は、ハルシネーション(事実に基づかない誤りを、もっともらしく生成すること)は技術的な対策が検討されているが、完全には抑えられないとし、検索など別の手段と併用して、答えが正しいかを確かめることが望ましい、と書いています。つまり、生成AIの答えを確かめるために、検索を使う、という関係です。
「出典のリンクがあれば正しい」 OpenAIは、出典も不完全なことがあると書いています。リンクは確かめる入口で、正しいという保証ではありません。
「AIは、学んだ文章をそのまま持っている」 OpenAIは、持っていない、と説明しています。モデルがもつのは、言葉のつながり方を表す数値です。また、OpenAIの別の文書は、誕生日のような、パターンから推測できない細かい事実は、間違えやすいと説明しています(くわしくは下の囲み)。
なぜ間違えるのか(OpenAIの説明)
OpenAIは2025年9月5日に、「なぜ言語モデルは、もっともらしい間違いをするのか」という文書を出しています。要旨は次のとおりです。
- 学習の最初の段階は、次の言葉を予測する練習です。この段階の文章には、「これは真」「これは偽」という印が付いていません。
- つづりやかっこの閉じ方のような、規則のあるものは、規模が大きくなれば確実になります。しかし、誕生日のような、ほぼ任意の細かい事実は、パターンからは推測できません。
- さらに、AIの成績の測り方が、正解の割合だけを見ることが多く、「分かりません」と答えるより、当てずっぽうで答えるほうが、点が取れる仕組みになりがちです。これも、間違いが残る一因だと、OpenAIは説明しています。
- 例として、ある広く使われているチャットボットに、ある研究者の博士論文の題名を聞いたところ、3つの異なる答えが返り、どれも間違いだった、と書かれています。
OpenAIは、新しいモデルでは減っているが、なくなってはいない、とも書いています。これはOpenAI自身の説明で、他社のAIにも当てはまるかは、読んだ資料からは分かりません。
今日からできること、やってはいけないこと
どれも、上の公式ページに書かれたことを土台にした、僕らの整理です。
今日からできること
- 最新の情報や、数字、日付が大事な質問では、検索の機能(ChatGPTでは、Web検索つきで答える機能)を使い、出典のリンクを自分で開いて、書いてあるとおりかを見る。
- 同じことを、言い方を変えて2、3回聞いてみる。答えがぶれるなら、その部分は怪しいと見る(Googleの「聞き方を変える」勧めと、OpenAIの「答えにランダムさがある」説明から考えた、僕らの使い方です)。
- 大事な数字、日付、人の名前は、公的な機関や元の資料など、別の場所で確かめる。
やってはいけないこと
- AIの答えを、確かめずに、そのまま資料やメールに貼る。
- 出典リンクが付いているから、と中身を見ずに信じる。
- 他人の個人情報や、会社の秘密を入れる。総務省の白書も、入力した情報が外に出るおそれを、生成AIの利用に関わるリスクの一つとして挙げています。入れてよいかどうかは、サービスと設定で違うので、同じ連載の個人情報の記事を見てください。
気をつけること
- 説明は、2026年10月16日に読んだ公式ページのものです。サービスの機能や画面の名前は、変わりやすいです。GoogleのAI概要のページも、手元の画面と違うことがある、と断っています。
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、公式の文書を読んだまとめです。
- 読んだページは、サイトの表示を取り込んだ文章を通して読んでいます。細かな言い回しや脚注は、原文で確かめていません。
- 「生成AI」の定義は、資料ごとに言い方が違います。
- 白書が触れるAI事業者ガイドラインは、2024年4月の第1.0版です。その後の改訂は確かめていません。
出典
- 令和6年版 情報通信白書「生成AIの急速な進化と普及」(総務省、2026年10月16日確認)
- 令和6年版 情報通信白書「生成AIが抱える課題」(総務省、2026年10月16日確認)
- What is generative AI?(Amazon Web Services、2026年10月16日確認)
- How ChatGPT and our foundation models are developed(OpenAI Help Center、2026年10月16日確認)
- ChatGPT search(OpenAI Help Center、2026年10月16日確認)
- Why language models hallucinate(OpenAI、2025年9月5日公開、2026年10月16日確認)
- How Google Search works(Google Search Central、2026年10月16日確認)
- Google's description of AI Overviews(Google 検索ヘルプ、2026年10月16日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
