3行でいうと
- IEAによると、世界のデータセンターは2024年に約415 TWhの電気を使い、世界の電力の約1.5%でした。
- 2026年4月の報告では、2025年は約485 TWhで前年から17%増え、2030年には約950 TWhになる見通しです。
- AI1回あたりの電力は急速に減っているとIEAは書いていますが、使う量が増えて全体は増えています。
- IEAの数字は推計で、2030年や2035年は、幅のあるシナリオの一つです。
この記事は公式・一次資料を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。
先に結論
- IEAの報告書(2025年4月)によると、世界のデータセンターは2024年に約415 TWh(テラワット時)の電気を使い、世界の電力の約1.5%でした。
- IEAの2026年4月の報告は、2025年は約485 TWhで、前年から17%増えたと書いています。同じ年の世界の電力需要の伸びは約3%です。
- 2030年には約950 TWhと、世界の電力の約3%になる見通しです。これは、日本の今の電力消費全体より少し多い量です。
- 一方で、AI1回あたりの電力は急速に減っているとIEAは書いています。それでも全体が増えるのは、使う量が増えているからです。
TWhは「1兆ワット時」で、電力量の単位です。ここでは、大きな電気の量を測る物差し、と考えてください。
たとえ話:24時間つけっぱなしの巨大な工場
データセンターは、AIや動画、ネットのサービスを動かすコンピューターを、大量に詰めた建物です。24時間、止まらずに動きます。電気で動くコンピューターが熱を出すので、冷やす機械も動き続けます。
小さな町工場なら、街の電気で足ります。ところが、AI向けの大きなデータセンターは、一つで10万世帯分の電気を使います。工場を何十もまとめて、一か所に建てるようなものです。電気を引くのも、冷やすのも、簡単ではありません。
なぜAIは電気を使うのか
IEAの報告書の説明を、順に並べます。
1. 計算する部品が、電気を食う
データセンターの電気の約6割は、サーバー(計算するコンピューター)が使います。AIの計算は、主にGPUという部品で行われます。IEAによると、最新で最も強力なGPU1個の最大定格電力は約1,000ワットで、トースター1台ほどです。大きなAIの学習には、これを数万個使います。
2. 学習にも、使うときにも、電気が要る
IEAの推計では、GPT-4の学習には約2万5千個のGPUが約14週間使われ、合計で約42.4 GWh(ギガワット時)の電気が要りました。これは、先進国の約2万8,500世帯の1日分の電気を、約14週間使い続けた量にあたる、という計算です。GWhは1TWhの1,000分の1です。これは外部の推計を使ったIEAの計算で、実際の数字は公表されていません。
AIに質問するときにも、同じような部品が動きます。IEAは、テスト条件の推計として、次の数字を挙げています。
- 文章を作るAIへの1回の問い合わせ:約2ワット時
- DeepSeek-R1のような「考える」モデル:その少なくとも2倍
- 短い動画を作るとき:約25倍
「実際の製品は、もっと効率がよいかもしれないが、各社の電力の情報が少なく、評価しにくい」とIEA自身が書いています。
3. 冷やす電気と、設備の電気
データセンターの電気のうち、冷却は、効率のよい大規模な施設で約7%、効率の低い企業の施設では30%を超えます。電気を使う効率の目安に「PUE」があります。施設全体の電気を、コンピューター機器の電気で割った値で、1に近いほど無駄が少ないことになります。IEAは、企業の施設で約2、大規模なハイパースケール施設で1.15未満、と書いています。
4. 大きさが違う
IEAによると、従来型のデータセンターは10〜25 MW(メガワット)ほどです。AI向けの大規模な施設は100 MW以上で、年間の電力量は10万世帯分に相当します。いま建設中の最大のものは、その約20倍(約200万世帯分)になります。
数字で見る:IEAの見通し
IEA「Energy and AI」(2025年4月10日)の基本シナリオ(Base Case)です。
| 世界のデータセンターの電力 | 世界の電力に占める割合 | |
|---|---|---|
| 2024年 | 約415 TWh | 約1.5% |
| 2030年 | 約945 TWh | 3%弱 |
| 2035年 | 約1,200 TWh(シナリオごとの範囲は700〜1,700 TWh) | 基本シナリオの割合は、読んだページに記載なし。最も増えるシナリオ(1,700 TWh超)で約4.4% |
- 2017年から年約12%の増加。これは電力全体の伸びの4倍以上の速さです。
- 2024年から2030年は、年約15%の増加。AI向けのサーバー(accelerated servers)は年約30%、従来型のサーバーは年約9%の増加です。
- 2024年の地域別の割合は、米国45%、中国25%、欧州15%です。
- 2030年までの増加は、米国と中国で世界の増加の約8割近くを占めます。米国では、データセンターが2030年までの電力需要増の半分近くを占めます。
- 日本は2024年に20 TWh未満(日本の電力の約2%)で、2030年までに約15 TWh(80%)増える、とIEAは推計しています。
2026年4月の続報(Key Questions on Energy and AI)
IEAは2026年4月16日に、続報の報告書と報道発表を出しました。
- 2025年のデータセンターの電力は485 TWh、前年比17%増。AI向けのデータセンターは50%増。世界の電力需要の伸び(約3%)を大きく上回りました。
- 2030年には、全体で約950 TWh(世界の約3%)に倍増し、AI向けのデータセンターは3倍になる見通しです。
- 制約も指摘されています。電力網へのつなぎ込み、許認可、機器の供給が詰まっていて、高帯域メモリー(HBM)の不足は少なくとも2027年末まで続く見込みです。ガスタービンの発注は2025年に70%増えました。
- 大手テクノロジー企業5社の設備投資は、2025年に4,000億ドルを超え、2026年にさらに約75%増える見込み、とIEAの発表にあります(IEAの報道発表にある数字です。各社の個別の発表は確認していません)。
- AI1回の作業あたりの電力は、近年、年に10分の1以下のペースで下がっている、と書かれています。ただし、推論をたくさん使う使い方や動画の生成、AIエージェントなど、電力を食う使い方が全体を押し上げます。
くらしや仕事への影響
見立てです。AIを使う私たち自身の電気代に、すぐ響く話ではないと思います。むしろ問題になるのは、データセンターが集まる地域で、電力網や発電所の整備が追いつくかどうかです。IEAも、米国の半分近くの容量が5つの地域に集中していて、地域の電力市場で大きな割合になる、と書いています。
見立てです。「AIは電気を食う」と「1回あたりは減っている」は、両方とも公式の数字です。どちらか一方だけ見ると、判断を誤りやすいと思います。
気をつけること
- IEAの数字は推計です。2030年、2035年は、複数のシナリオの1つ(基本シナリオ)で、幅があります。2035年は、700から1,700 TWhの範囲です。
- 2026年の報告書は、要約ページと報道発表を読みました。本文全体は、読めていません。
- 1回の問い合わせあたり約2ワット時は、IEAのテスト条件の推計です。実際の各社のサービスの数字ではありません。各社の発表した数字は、この記事では取り上げていません。
- GPT-4の学習の電気は、外部の推計をもとにしたIEAの計算で、OpenAIの発表ではありません。
- 国や自治体の電力や水の使い方についての公的資料(日本の省庁など)は、今回読んでいません。日本の数字は、IEAの推計だけです。
- 水の使用量や、排出量の詳細は、この記事では扱っていません。
出典
- Energy and AI(国際エネルギー機関 IEA、2025年4月、2026年10月8日確認)
- Energy and AI 全文PDF(IEA、2026年10月8日確認)
- Energy and AI: Energy demand from AI(IEA、2026年10月8日確認)
- Energy and AI: Executive summary(IEA、2026年10月8日確認)
- Key Questions on Energy and AI: Executive summary(IEA、2026年4月、2026年10月8日確認)
- Data centre electricity use surged in 2025, even with tightening bottlenecks driving a scramble for solutions(IEA、2026年4月16日、2026年10月8日確認)
- Artificial intelligence(IEA、トピックページ、2026年10月8日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
