3行でいうと
- カスタム指示は、設定画面に書いておくと全部の会話に自動で付く指示で、毎回同じ頼み方をしなくてよくなります。
- システムプロンプトは、もともと開発者がAIを組み込むときに、質問とは別に渡す指示のことです。
- 3社とも設定のオン・オフと内容の編集・削除ができますが、場所と呼び名、文字数の上限は会社ごとに違います。
この記事は公式・一次資料を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。
先に結論
- 「カスタム指示」は、ChatGPTやClaudeなどの設定画面に書いておく、全部の会話に自動で付く指示です。毎回「箇条書きで」「やさしい言葉で」と頼まなくてよくなります。
- 「システムプロンプト」は、もともとは開発者がAIを組み込むときに、利用者の質問とは別に渡す指示のことです。アプリの設定画面に書く指示も、AIから見れば似た位置づけだと考えると分かりやすいです。ただし、各社がそう説明しているわけではありません。この点は、後の節で分けて書きます。
- 3社とも、設定のオン・オフと、書いた内容の編集・削除ができると、公式ページに書かれていました。ただし、場所と呼び名、文字数の上限は会社ごとに違います。
たとえ話:新しい担当者への「引き継ぎメモ」
新しく来たアシスタントに、毎朝同じ説明をするのは面倒です。そこで、机の上に1枚メモを置きます。「報告は結論から」「専門用語は避ける」。アシスタントは、毎日そのメモを読んでから仕事を始めます。
カスタム指示は、このメモです。その日の依頼(質問)は、毎回自分で伝えます。メモは、何を頼む日でも、先に読まれます。
仕組み:指示には「層」がある
AIに届く文章は、実は1種類ではありません。
- 提供会社が、アプリ全体のために用意している指示
- 利用者が設定画面に書いておく指示(カスタム指示)
- 今まさに入力する質問
会社が用意している指示
Anthropic(Claudeの会社)は、Claudeのウェブ版とスマホアプリが、会話の始めにシステムプロンプトを使う、と公式に書いています。目的は、今日の日付のような最新の情報を渡すことや、コードをマークダウンで見せるといった振る舞いを促すことです。Anthropicはこの更新の記録を公開しています。同じページには、この更新はClaudeのAPI(プログラムから使うための窓口)には当てはまらない、とも書かれています。
開発者が渡す指示
APIを使う開発者向けの文書では、指示を質問とは別の欄に入れます。Anthropicの文書の例では、「あなたはPythonの助手です」といった一文を、systemという欄に入れます。同じ文書は「役割を書いておくと、Claudeの振る舞いや口調が絞られる」「1文でも違いが出る」と説明しています。
OpenAI(ChatGPTの会社)の文書では、開発者が渡す指示は、利用者の質問より優先されると書かれています。さらに、instructionsという欄の指示は、そのとき送った1回の依頼にだけ効く、とも書かれています。会話の状態を前回の応答から引き継ぐ使い方をすると、前の回の指示は含まれません。
見立てです。設定画面のカスタム指示は、一般の利用者が、同じような「毎回前置きに付く指示」を、プログラムなしで書ける仕組みなのだと思います。ただし、画面の指示が内部でどの位置に置かれるのか、公式ページには書かれていませんでした。優先順位の細かい扱いは確認できていません。
3社の設定画面を並べる
2026年10月8日に確認した、公式ヘルプの記載です。
| ChatGPT(OpenAI) | Claude(Anthropic) | Gemini(Google) | |
|---|---|---|---|
| 名前 | カスタム指示(Custom Instructions) | Instructions for Claude(プロフィールの指示)、プロジェクトの指示 | Instructions for Gemini(Geminiへの指示)、Gem |
| 設定の場所 | ウェブ・デスクトップはSettings > Personalization。スマホはSettings > Customize ChatGPT | 左下のイニシャルをクリックし、Settings の中の「Instructions for Claude」 | gemini.google.comの Settings & help > Personal Intelligence > Instructions for Gemini |
| 効く範囲 | すべての会話。すでにある会話にも効く | アカウント内のすべての会話。プロジェクトの指示は、そのプロジェクトの中だけ | すべての会話 |
| 文字数の上限 | Free・Goは1,500文字。Plus、Pro、Business、Enterprise、Educationは5,000文字 | 公式ページで確認できていません | 公式ページで確認できていません |
| オフにする | 「Enable customization」を切る。文字を消してもよい | 公式ページで確認できていません | 画面の一番上の「Instructions for Gemini」のスイッチを切る |
| 消す・直す | 入力欄の文字を消す・書き直す | 公式ページで確認できていません | 一覧から、その指示の「More」で編集・削除 |
ChatGPTの補足
- ChatGPTには、性格を選ぶ「Base style and tone」もあります。選べるのは、Default、Professional、Friendly、Candid、Quirky、Efficient、Cynicalです。公式ヘルプは、変えても、できることや安全のルールは変わらない、と書いています。
- ChatGPTの一時チャット(Temporary Chat)では、始める前に「既存のメモリー、カスタム指示、プラグインを使うか」を選べます。使わない場合は「Unpersonalized」を選びます。始めた後で変更はできません。
Claudeの補足
- プロジェクトとは、関連する会話や資料をまとめておく箱です。プロジェクトの指示は、その箱の中の会話にだけ効きます。公式ページの記載に食い違いがありました。ある節は、無料アカウントも最大5つのプロジェクトを作れると書き、別の節は、プロジェクトの指示は有料プラン向けと書いています。どちらが正しいかは確認できていません。
- 公式ページには、話し方や形式を調整する「スキル」も紹介されています。必要なときに自分でオンにするもので、常に効く指示とは別です。
Geminiの補足
- Geminiの「Gem」は、名前と指示を付けて保存できる、専用のGeminiです。参考にするファイルも付けられます。公式ページによると、2026年11月から、個人のGoogleアカウントではGemがなくなり、「スキル」へ自動で移ります。詳しい内容は、今回は確認していません。
- Instructions for Geminiは、公式ページで「すべての利用者が追加できる」と書かれています。一方、Geminiが「覚える」機能は、18歳以上、Google AIプラン、個人のGoogleアカウント、米国など、条件があります。こちらは別の記事「AIの記憶機能」で扱っています。
- 「この話題を避けて」と指示しても、いつもうまくいくわけではない、と公式ページは書いています。確実に話題を出させないためには、その話題のチャットを「Gemini Apps Activity」から消すよう案内されています。
何を書くとよいか
公式が示している例は、短い文です。たとえばGoogleの例は、「返事の最初に短い要約を付けて」「長い段落は箇条書きにして」といったものです。Anthropicの文書も、役割を1文書くだけでも違いが出る、と書いています。
見立てです。最初は、「相手(読み手)は誰か」「文の長さ」「形式(箇条書きか、文章か)」の3点を、短く書くのがよさそうです。細かいルールを大量に並べると、どれが優先なのか、AI自身も迷うかもしれません。これは公式の記載ではなく、僕らの考えです。
見立てです。指示は全部の会話に付くので、他人に見られて困ること、住所や勤め先の詳細のような個人情報は、書かない方が無難だと思います。公式ページにこの注意書きがあったわけではありません。
気をつけること
- 画面の名前、場所、文字数は、2026年10月8日に読んだ公式ヘルプの記載です。更新で変わりやすい部分です。
- ClaudeとGeminiの文字数の上限は、確認できていません。Claudeのオフの方法も、読んだページには書かれていませんでした。
- ChatGPTのヘルプには、プロジェクトや音声、カスタムGPTでの効き方は書かれていませんでした。
- OpenAIの文書は、開発者向けの指示の優先度を説明していますが、利用者が画面に書く指示との順位は、読んだページには書かれていません。
- 同じ文書内でも、プログラム上の呼び名(
system、instructions、developer)はモデルや使い方で変わることがあります。この記事は、考え方の説明にとどめています。 - AIは、指示を書いても、常にその通りに動くとは限りません。大事な場面では、出力を確認してください。
出典
- Custom Instructions for ChatGPT(OpenAI Help Center、2026年10月8日確認)
- Memory FAQ(OpenAI Help Center、2026年10月8日確認)
- ChatGPT personality / Base style and tone(OpenAI Help Center、2026年10月8日確認)
- Text generation(OpenAI API Docs、2026年10月8日確認)
- Understanding Claude's personalization features(Claude Help Center、Anthropic、2026年10月8日確認)
- System prompts(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月8日確認)
- System prompts release notes(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月8日確認)
- Manage what Gemini remembers about you and customize responses(Gemini Apps Help、Google、2026年10月8日確認)
- Use Gems in Gemini Apps(Gemini Apps Help、Google、2026年10月8日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
