3行でいうと
- 公式が運営するのは、Raycast AIのサーバーと、組み込みのAI Extensions(公式の記事は21個を挙げています)です。Storeにある拡張機能の多くは、コミュニティの開発者が作ったものです。
- 「自分のAPIキー(Bring Your Own Key、BYOK)」は、Anthropic、Google、OpenAI、OpenRouterのキーを1社につき1つ入れられます。公式のマニュアルでは「Pro Exclusive」の表示です。モデルの使用料は、その会社が請求し、Raycastのクレジットは減りません。
- 経路は選び方で違います。Anthropic、Google、OpenAIのキーはRaycastのサーバーを通ります。OpenRouterとCustom Providersは端末から直接つながり、Local Modelsは手元のOllamaに送られます。
- MCPは、外のツールをRaycast AIに足す仕組みです。公式の記事は「Pro Exclusive」と表示し、設定の画面は「Install MCP Server」と「Manage MCP Servers」です。
- 公式は、Raycast AIはユーザーのデータでモデルを学習しない、と書いています。ただし、モデル提供元の中に保存期間が30日のものがある、とも書かれています。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。メニュー名や設定名は公式の表記を写しています。公式ページは要約の形で取得したため、読めていない箇所は「確認できていない」と書いています。
先に結論
- Raycast AIは、モデルの提供元をRaycastが束ねて使わせる仕組み。 公式は、Raycastが提供するモデルは、提供元の側にプロンプトや出力を残さない「Zero Data Retention(ZDR)」の設定だと説明しています。ただし例外があり、読んだ範囲では、MistralとxAIとAnthropicの特定の1モデルで保存期間が30日とされています。
- 自分の鍵や契約を使うと、請求も経路も変わる。 BYOKはその会社の請求になり、「Bring Your Own Subscription」は契約中のClaudeやChatGPTの枠を使います。
- 一部の機能は、鍵を入れても、Raycastのクレジットを使う。 画像生成のように、Raycastのサーバーで動く機能は、BYOKやローカルモデルでも、Raycast AIのモデルを使い、クレジットが減る、と公式にあります。
- MCPや拡張機能は、AIに「手」を足す。 同時に、AIが読める範囲と操作できる範囲を広げます。公式は、承認の設定(Ask、Auto、Always Allow)を用意しています。
- 公式の資料では確認できていない点もある。 MCPで、何のデータがどこへ送られるかは、MCPの記事に書かれていませんでした。
前提:用語をそろえる
- Raycast AI:Raycastが提供するAI機能の総称です。モデルはRaycastが束ねて提供します。
- AI Extensions:拡張機能のコマンドを「AIが呼べるツール」にしたものです。
@で呼びます。 - MCP(Model Context Protocol):AIと外部のツールをつなぐ共通の取り決めです。Raycastは、MCPサーバーを足して、そのツールをAIに使わせます。
- BYOK(Bring Your Own Key):自分のAPIキーを入れて、モデルの使用料をその会社に払う方式です。
- Bring Your Own Subscription:契約中のClaudeやChatGPTを、Raycastの中で使う方式です。
- Custom Providers:OpenAI互換の窓口を持つサービスを、設定ファイルでつなぐ方式です。
- Ollama:自分のパソコンでオープンなモデルを動かすためのツールです。Raycastの「Local Models」が使います。
- Skills:AIが必要なときに読み込む、手順や知識をまとめたMarkdownのファイルです。
- ZDR(Zero Data Retention):提供元がリクエストの終了後に入力と出力を保持しないこと、と公式のプライバシーの記事は説明しています。
たとえ話:受付係の「頭脳」と「手」
Raycast AIを、受付係に例えます。「頭脳」は、答えを考えるモデルです。標準ではRaycastが契約した頭脳を使いますが、自分の頭脳(自分の鍵、自分の契約、手元のモデル)に差し替えることもできます。「手」は、拡張機能やMCPサーバーです。手を足すほど、カレンダーを読む、Issueを作るなどができますが、間違えたときの影響も大きくなります。これは僕らのたとえで、公式の表現ではありません。
① 公式が運営するつなぎ方
AI Extensions(組み込み)
公式の「AI Extensions」の記事によると、@ を入力して、インストール済みのAI Extensionを選びます。AIが、使うツールと引数を選びます。組み込みは21個で、@calendar、@clipboard、@file-search、@manual、@memory、@raycast-notes、@screen-awareness、@selected-text、@snippets、@terminal、@weather などがあります。@browser には「Raycast Browser Companion」が必要で、@file-explorer はWindows用、@finder はMac用と書かれています。
承認の設定。 「Settings → AI → Tools」で、Ask、Auto(有料プランの既定)、Always Allowの3つから選びます。Autoは、安全な操作は聞かずに進め、認証情報を読む操作と、取り消せない操作では必ず聞く、と書かれています。承認の画面は「Allow」(1回だけ実行)、「Always allow」、「Deny」の3つです。実行するシェルコマンドは「Show Command」で確かめられます。
Skills
公式の「Skills」の記事によると、SKILL.md というMarkdownのファイルに、name と description を書きます。Raycastが見に行く既定のフォルダーは、~/.claude/skills、~/.config/agents/skills、~/.config/raycast/skills、~/.agents/skills です。「Settings → AI → Skills」でフォルダーを足せます。記事は、Skillsを「Agent Skills」という公開の標準に沿ったものと書き、ほかのAIのツールと共通に使える、と述べています。AI Commandsでは使えません。
Agents と Automations
「Agents」は、指示、モデル、使える拡張機能(ツール)をセットで保存したものです。「Settings → AI → Agents」で作ります。「Automations」は、AIへの指示を、1回(Once)、毎時(Hourly、1〜24時間おき)、毎日(Daily)で実行します。この3つに合わない予定のものは、フォームに「Custom」と表示され、元のcron式が見えます。公式のマニュアルでは「Pro Exclusive」の表示です。公式は、実行中は、Macまたはパソコンが起きていて、Raycastが開いている必要がある、1台につき20個まで、Cloud Syncで同期されない、と書いています。ツールが承認を求めたら、実行は止まって待ちます。
MCP
公式の「MCP」の記事では、「Install MCP Server」のコマンド、または「Manage MCP Servers」の「Install New Server」から入れます。名前、アイコン、通信方式、接続の情報を入力します。
| 項目 | 公式の記事に書かれていること |
|---|---|
| 通信方式 | Standard Input/Output(手元で動かす)と、HTTP(遠くのサーバーに接続。Streamable HTTPを含む)。iOSはHTTPのみ |
| 認証 | Dynamic OAuth(Raycastが自動で登録)とStatic OAuth(自分でクライアントIDを入れる)。トークンはサーバーごとに暗号化して保存し、「Logout Server」で消せる |
| 承認 | 読み取りだけのツールは、既定で自動承認。そのほかは、許可の設定に従って確認が出る |
| 使える場所 | AI Chat、Quick AI、AI Commands |
| 範囲外 | RaycastがMCPサーバーになるかどうかは、記事に書かれていない。MCPで何のデータがどこへ送られるかも、書かれていない |
Raycast AIのモデルとデータ
公式の「Raycast AI Privacy & Security」の記事は、次のとおり書いています。
- 学習。 「Your data is not used to train AI models」。フィードバックを送る場合は別で、送る前に確認が出ます。
- プロンプトの記録。 Raycastは、ユーザーのプロンプトを記録も保持もしません。完了のトークン数のような、運用のための基本情報は保存します。
- 転送。 入力は、個人情報を除き、必要最小限にして、提供元のAPIへ送られます。
- 保存期間。 Raycastが提供するモデルはZDRです。例外として、Mistral AIは30日の期間で乱用の監視、xAIは30日で自動削除、Anthropicの特定の1モデルは30日でZDRなし、と書かれています(公式の記事は、このモデルを「Claude Fable 5.1」と書いています。同じAnthropicの別のモデルは、ZDRのままです)。
- 実行の時機。 AIは、自分が操作したときに動きます。例外は、同意したうえでのEmoji Searchと、自分が時刻を決めたAutomationsです。「Raycast AI does not monitor your activity」と書かれています。
② 頭脳を差し替える:BYOK、サブスクリプション、Custom Providers、ローカル
| 方式 | 公式の記事の内容 | データの流れ(公式の記載) |
|---|---|---|
| Bring Your Own Key | Anthropic、Google、OpenAI、OpenRouter。1社につき1つの鍵。「Settings → AI → Models & Providers」の「API Keys」から追加し、「Verify」→「Save」 | Anthropic、Google、OpenAIはRaycastのサーバー経由(選べるのはRaycast AIにあるモデルだけ)。OpenRouterはOpenRouterのサーバーへ直接(鍵で同社のモデル一覧全体が使える) |
| Bring Your Own Subscription | ClaudeまたはChatGPTの契約。APIだけのアカウントは対象外。「Enable Local AI Subscriptions」をオンにし、Claude Codeまたは Codex CLI を入れてログインする | 端末上のClaude Code/Codexから、AnthropicまたはOpenAIへ直接。Raycastは認証情報を見ない、保存しない、と記載 |
| Custom Providers | OpenAI互換の提供元。~/.config/raycast/ai/providers.yaml に書く(macOSとWindows)。「Reveal Providers Config」から開く |
端末から提供元へ直接。鍵は設定ファイルに残る。画像は上がる、と記載 |
| Local Models | Ollamaが必要。「Local Models」で「Install Ollama Model」。モデル一覧は「Model Library」 | 手元のOllamaサーバーへ。会話はパソコンの中に残り、AIクレジットも減らない |
| Extension Models | Storeの拡張機能が、自分のモデルを足す。例にOllama AI、Groq、LM Studioなど | 拡張機能が直接処理する。Raycastを通らない。クレジットは減らない |
どの方式も、公式のマニュアルでは「Pro Exclusive」と表示されています。Bring Your Own Subscriptionは「有料のRaycastプラン」が要る、と書かれています。
気をつける点(公式の記載から)。 - BYOKのときにチャット履歴をRaycastが保存するかどうかは、読んだ範囲では確認できていません。Cloud Syncをオンにすると、AIチャットなどが暗号化されてRaycastのサーバーに置かれる、とプライバシーの記事にあります。 - Bring Your Own Subscriptionの利用上限は、提供元が決めます(5時間の窓と週の上限が典型と記載)。上限に達しても、Raycastは自動でRaycast AIのクレジットには切り替えません。 - Custom Providersでは、画像生成が使えません。OpenAIの形式は正式な標準ではなく、互換性は保証されない、と書かれています。 - Local Modelsは、速度や賢さの評価値が出ません。性能は、手元の機材とモデルの大きさに左右されます。 - Raycastのクレジットは、使い切るとRaycast AIが止まります。止まったときは、自分の鍵、契約、Custom Providers、ローカルモデルに切り替えて続けられる、と書かれています。
③ 第三者・コミュニティ製のもの
| 種類 | 公式の資料の書き方 |
|---|---|
| Storeの拡張機能 | 開発者がpull requestを出し、Raycastが審査する。公式のリポジトリ(github.com/raycast/extensions)はMITライセンス |
| 審査の指針 | 公式の「Extensions Guidelines」は、新しい価値、動くこと、READMEに設定を書くこと、集めた情報はサービスへの接続と拡張機能の改善にだけ使うこと、を求めている |
| MCPサーバー | 公式の記事は、入れる手順だけを書く。どのサーバーを選ぶかは自分。提供元の評価や一覧は、読んだ範囲では見つからなかった |
| AIモデルの提供元 | Anthropic、Google、OpenAI、OpenRouterなど。モデルの扱いは、それぞれの規約による |
公式のガイドラインは、Storeの拡張機能がRaycastの規約に反するもの、連携先のサービスの規約に反するもの(許可のないスクレイピングなど)を、却下の対象にしています。また、公式は、放置された拡張機能をRaycastが直すことがある、とも書いています。一方で、各拡張機能の安全性を公式が保証する、という趣旨の記述は、読んだ範囲では見つかりませんでした。どのサービスにつながるかは、拡張機能のStoreのページで確かめるよう、「Extension Models」の記事は案内しています。
僕らの見立て(事実とは別)
- 見立て:最初は、承認の設定を「Ask」にして、AIが何を呼ぼうとしているかを見るのが安心そうです。慣れてから「Auto」に変えても遅くありません。
- 見立て:MCPやAI Extensionsは、読み取りだけのツールから足し、書き込みや削除ができるツールは、あとにするのが無難に見えます。
- 見立て:仕事の資料を扱うなら、BYOKやCustom Providers、ローカルモデルで「どこへ送られるか」が変わる点を、先に表で確かめておくとよさそうです。
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。公式のマニュアルを読んだ範囲です。
- MCPで何のデータがどこへ流れるかは、MCPの記事に書かれておらず、確認できていません。第三者のMCPサーバーを入れるときは、そのサーバーの説明を読んでください。
- AIが読む画面や文章には、機密が含まれることがあります。公式も、Screen Awarenessで、画面に見えるものが渡る点に注意するよう書いています。
- プラン名が、料金ページ(Plus)とマニュアル(Pro+)で食い違っています(01を参照)。
- 保存期間が30日とされる提供元の情報は、変わることがあります。最新は公式の記事で確かめてください。
- 規約やデータの扱いの解釈は、必要なら専門家や公式に確認してください。この記事は法律の助言ではありません。
出典
- AI(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- AI Extensions(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- MCP(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- Skills(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- Agents(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- Automations(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- Bring Your Own Key(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- Bring Your Own Subscription(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- Custom Providers(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- Local Models(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- Extension Models(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- Raycast AI Privacy & Security(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- AI Credits(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- Extensions Guidelines(Raycast Manual、Raycast、確認日 2026-10-23)
- Publish an Extension(Raycast Developers、Raycast、確認日 2026-10-23)
- raycast/extensions(GitHub、Raycast、確認日 2026-10-23)