3行でいうと
- n8nの使い方は大きく2つです。n8nが運営する「n8n Cloud」(準備も保守も不要)と、自分の環境で動かす「セルフホスト」。公式は、どちらも本番で使えると書いています。
- 無料は2通りです。クラウド版は14日間の無料トライアル。セルフホストは無料の「Community」版を、期限なしで使い続けられる、と公式に書かれています。
- データの置き場所は、クラウド版ではn8nの法務ページが「EU内でホスト」と書いています(具体的な地域名は書かれていません)。セルフホストでは、自分の環境の中、既定ではSQLiteのファイルに入ります。
- ライセンスは、公式が「fair-code」と書き、「Sustainable Use License」と「n8n Enterprise License」の下で配布される、としています。ソースは見られますが、使い方には条件があります。
- 公式の最初の例は、天気を毎朝取り込んで表に記録する流れで、約15分とされています。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。画面名・メニュー名・価格は公式の表記を写しています。公式ページは要約の形で取得したため、読めていない部分は「公式の資料では確認できていない」「読んだ範囲では見つからなかった」と書きます。僕らの見立て(おすすめや使い分け)は、必ず「見立て」と書いて事実と分けます。
先に結論
- n8nは「自動化の組み立て台」。 きっかけ(トリガー)と、やること(アクション)を線でつなぎます。公式のGitHubのREADMEは、今回読んだ版で「Fair-code platform to build and deploy AI agents and workflows」(AIエージェントとワークフローを作って動かす、フェアコードの基盤)と説明しています。ドキュメントのトップは、「fair-code licensed workflow automation tool that combines AI features with business process automation」(AI機能と業務の自動化を組み合わせた、フェアコードのワークフロー自動化ツール)と書いています。
- まず決めるのは「どこで動かすか」。 技術的な準備なしにすぐ始めたいならクラウド版、サーバーを自分で管理できるならセルフホスト、というのが公式の整理です。
- 無料の範囲は、場所によって意味が違う。 クラウド版の無料は「お試し」で、期限が来ると何もしなくても消えます。セルフホストの無料版は、機能の一部を除いて期限なしです。
- ライセンスは「オープンソース」と書かれていない。 公式は「fair-code」「Source Available」と書いています。会社の仕事で使うのか、n8nを使ったサービスを売るのかで、条件が変わりえます。判断が必要なら、LICENSEの原文や公式への確認が必要です。
- 自分で動かすなら、保守は自分の仕事。 公式は、クラウド版は技術的な専門知識が要らず、セルフホストはインフラと技術的な余力があるチーム向け、と整理しています。
前提:用語をそろえる
- ワークフロー(workflow):n8nで作る、自動化の1本の流れです。
- ノード(node):流れの中の1つの部品です。公式は、いつ動くかを決める、データを取る・送る・加工する、流れを分ける、外のサービスにつなぐ、といった役割のものがあると書いています。
- トリガー(trigger):ワークフローを動かすきっかけになる特別なノードです。公式は、本番のワークフローには少なくとも1つ必要と書いています。
- 実行(execution):ワークフローを1回動かすことです。有料プランの上限は、この回数で数えられます(02、04で扱います)。
- セルフホスト(self-host):n8nを、自分のパソコンやサーバーで動かすことです。
-
フェアコード(fair-code):公式が使う、ライセンスの区分の呼び名です。後の「ライセンス」の節で扱います。
-
Docker(ドッカー):アプリを、必要な部品ごと1つの「箱(コンテナ)」に入れて動かす仕組みです。n8nのセルフホストの入れ方の多くが、これを使います。
- 環境変数(environment variable):プログラムの設定を、画面ではなく、外から文字列で渡す仕組みです。n8nの資料では
N8N_で始まる名前がたくさん出てきます。
たとえ話:自分の台所を持つか、レストランで食べるか
クラウド版は、お店で食事をするようなものです。仕込みも掃除も店がやってくれて、お客は注文するだけです。セルフホストは、自宅の台所で作るようなものです。好きなツールを置けて、材料の置き場所も自分で決められますが、火の元の管理も、冷蔵庫の中身も、自分の責任です。これは僕らのたとえで、公式の表現ではありません。
どこで使えるか
公式の「Choose how to use n8n」のページは、2つの方法を挙げています。
| 方法 | 公式の説明 |
|---|---|
| n8n Cloud | n8nが運営(ホスティング、更新、スケール)。「Fully managed, no setup or maintenance required」と書かれている |
| セルフホスト | npm、Docker、サーバーなどで自分の環境に置く。配置と設定を自分で決められるが、環境は自分で用意して管理する |
選び方について、同じページは次のように書いています。クラウド版は、すぐ始めたい人、技術に詳しくない人、環境を管理したくない人に向く。セルフホストは、インフラと技術的な余力があり、独自の使い方や完全な制御が要る人に向く。ページは本番にはセルフホストを勧める、という書き方をしていますが、どちらでも本番は動かせる、とも書いています。
クラウド版のプランは、公式の説明では次のとおりです(確認日10月23日)。
| プラン | 公式の説明 |
|---|---|
| Free trial | Proの機能を14日間試す |
| Starter | 個人や小さなプロジェクト向け |
| Pro | 上限の大きい使い方、管理者アカウント、集計(insights)が必要な人や小さなチーム向け |
| Enterprise | 高度な安全対策、スケール、専任のサポートが必要な組織向け |
セルフホストの「エディション」(版)は、次のとおりです。
| エディション | 費用 | 公式の説明 |
|---|---|---|
| Community | 無料 | ほぼ全機能 |
| Registered Community | 無料 | Communityに、フォルダ、エディタ内のデバッグ、実行データの独自記録が加わる。メールアドレスの登録で解除 |
| Business | 有料(購読でライセンスキー) | SSO、環境、プロジェクトが要るチーム向け |
| Enterprise | 有料(購読でライセンスキー) | 安全対策、スケール、統制が最も高度な組織向け |
セルフホストの入れ方は、公式のドキュメントに、1行のセットアップ、Docker Compose、npm、Docker、クラウド事業者(Digital Ocean、Heroku、Hetzner、AWS、Azure、Google Cloud Runなど)へのデプロイの各ページが並んでいます。
無料でどこまでか
クラウド版:14日間のお試し
公式の「Try free then choose a plan」のページと料金ページによると、次のとおりです。
- 期間と範囲:Proの機能を14日間。実行は1000回まで、計算能力はStarterと同じです。料金ページの無料トライアルの欄には、同時実行5、1回の実行の時間切れ180秒とも書かれています。
- 含まれるもの:グローバル変数、集計の画面(Insights)、実行の検索、5日分のワークフロー履歴。
- クレジットカード:料金ページには、StarterとProの無料トライアルに「No credit card required」と表示されています。ドキュメントの無料トライアルのページには、カードが要るかどうかの記載は見つかりませんでした。同じ料金ページに、Businessのトライアルは「カードが必要」と書かれています。
- 終わったらどうなるか:アップグレードしなければ、トライアルは失効し、n8nがインスタンスを削除します。解約の手続きは不要で、料金もかかりません。ワークフローをダウンロードできるのは、トライアルの終了後90日間です(04でくわしく)。
- AI関連のおまけ:料金ページには、トライアルに800のAssistantクレジットと100のAIクレジットが付き、トライアルの終了で失効する、と書かれています。
- 使えない機能:料金ページは、トライアルでは、管理者ロール、プロジェクトのEditorロール、名前付きバージョン、ワークフローの差分、公開APIが含まれない、と書いています。
セルフホスト:Community版は期限なし
公式の「Choose how to use n8n」は、無料のCommunity版を「indefinitely」(無期限に)使い続けられる、と書いています。ただし、Community版には含まれない機能があります(「Compare editions」のページ)。
- カスタム変数、環境(Environments)、外部の秘密情報の保管(External secrets)
- バイナリデータの外部ストレージ、ログのストリーミング(通常のログは含まれる)
- マルチメイン・モード(キューモードは含まれる)、プロジェクト(Projects)
- SSO(SAML、LDAP)
- ワークフローと認証情報の共有(インスタンスの所有者と作成者だけがアクセスできる)
- Gitによるバージョン管理
無料のメール登録(Registered Community)では、フォルダ、エディタ内のデバッグ、実行データの独自記録の3つが加わります。登録の手順は、公式では次のとおりです。左下の3つの点から「Settings」、「Usage and plan」、「Unlock」の順に進み、メールアドレスを入れて「Send me a free license key」を押します。新しいインスタンスなら、最初のアカウント作成のときに登録できます。
なお、同じページは、機能の有無は時期によって変わるので、料金ページが正式な情報源、と書いています。
データはどこに保存されるか
クラウド版
- 場所:n8nの法務ページ(Security)は、n8nのクラウドは「Microsoft Azure」で運営され、「物理的な機器と、保存されるデータは、現在EU内でホストされている」と書いています。具体的なAzureの地域名やデータセンターは書かれていません。「追加の地域に拡げる準備をしている」とも書かれています。
- バックアップ:同じページに、顧客とシステムのデータを毎日自動でバックアップし、同じ国の別の地域に複製する、と書かれています。
- 容量:公式の「Manage your data」は、1つのインスタンスにつき、データ保存は最大100GBと書いています。
- 公式の資料では確認できていない点:ドキュメントの「Manage your data」には、データの物理的な場所は書かれていません。法務ページの「EU内」以外の、より細かい説明は、今回読めていません。
セルフホスト
- 既定の保存先:公式のDockerのページは、既定ではSQLite(1つのファイルに入る小さなデータベース)が使われ、認証情報、過去の実行、ワークフローが入る、と書いています。保存先は、コンテナの中の
/home/node/.n8nで、ボリューム(n8n_data)をつないで残します。 - 1行のセットアップの場合:公式のページによると、データは実行した場所の
./n8nと、Dockerのボリュームn8n-dataにあります。 - PostgreSQLを使うとき:SQLiteの代わりに外部のPostgreSQLを使えます。それでも、暗号化の鍵などのために
.n8nのフォルダは残す、と書かれています。 - 本番向きの選び方:1行のセットアップのページは、SQLiteが既定で、チームや本番にはPostgresを勧める、と書いています。
- 自動で外に出る情報:公式の「Control telemetry」は、セルフホストでも匿名の利用情報(テレメトリー)が既定で送られる、と書いています。止め方は04で扱います。
ライセンス:公式の表記のとおりに
公式のGitHubのREADMEは、次のように書いています(原文)。
"n8n is fair-code distributed under the Sustainable Use License and n8n Enterprise License."
READMEの箇条書きには「Source Available(ソースが見られる)」「Self-Hostable(自分で動かせる)」「Extensible(拡張できる)」が並びます。「fair-code」は、公式のドキュメントのトップにも「fair-code licensed workflow automation tool」と書かれています。
LICENSE.mdの内容は、次のとおりです(原文は英語。要点だけを言い換えます)。
- Sustainable Use License, Version 1.0 が、コードの大部分に適用されます。
master以外のブランチは、ライセンスの対象外です。第三者の部品は、元のライセンスのままです。 - 使える範囲:自分の「internal business purposes」(社内の事業目的)、または非営利・個人の目的で、使ったり改変したりできます。
- 配ること:他人に渡せるのは、非営利の目的で、無料の場合だけです。
- 表示:著作権やライセンスの表示を消したり隠したりしてはいけません。改変したら、改変した旨を目立つ形で書きます。
- 違反したとき:条件に反する使い方は、ライセンス外になり、自動で終了します。違反の通知を受けて30日以内に止めれば、元に戻ります。
- Enterprise License:ファイル名に
.ee.を含むもの、または.eeを含むフォルダのコードは、Sustainable Use Licenseの対象外です。使うには、n8n Enterprise Licenseを持っている必要があります。
公式ブログの2022年3月17日の記事は、以前の「Apache 2.0 with Commons Clause」から、Elastic License 2.0を土台にしたSustainable Use Licenseへ変えたと書いています。同じ記事は、顧客のための有料のコンサルや支援(ワークフローを作るなど)が、別の契約なしにできる、と書いています。一方で、n8nを再販することやサービスとして貸し出すことには、記事は直接触れていません。詳しいことはLICENSEの原文か、公式(license@n8n.io)に確認するよう、記事は案内しています。
読んだ範囲の注意があります。docs.n8n.ioの旧い「Sustainable Use License」の説明ページのURLは、今回アクセスすると「ページがない」と返りました。そのため、ライセンスの根拠は、GitHubのLICENSE.md、README、2022年のブログ記事、公式のドキュメントのエディション比較のページに限っています。
見立て:自分の会社の仕事を自動化するだけなら「internal business purposes」の範囲に収まりそうに読めますが、これは僕らの読みで、法的な判断ではありません。お客さんに有料のサービスとして提供する使い方は、条件に触れるかどうかを、必ず原文や公式で確かめる必要があると考えます。
最初に決めること:4つ
- どこで動かすか:クラウド版で14日試してから決める、またはCommunity版をDockerで入れる。迷うなら、まず無料トライアル、というのは僕らの見立てです。
- 何を最初の1本にするか:入力と出力がはっきりした、小さな流れが向きます。公式のチュートリアルは、毎朝8時に天気を取り込み、短い報告文を作り、表に1行足す流れです。
- 認証情報をどうするか:外のサービスにつなぐ鍵は、n8nの「認証情報(Credentials)」に入れます。AIモデルの鍵は、クラウド版ならn8nのクレジットを使う手もあります(03)。
- データをどこに置くか:クラウド版は「EU内」、セルフホストは自分の環境です。社内の決まりと照らして決めてください。
今日からできること
公式の「Build your first workflow」は、約15分の手順を示しています。必要なのは、n8nのインスタンス(クラウドの無料トライアル、またはセルフホスト)だけで、ほかのアカウントやAPIキー、プログラミングの経験は要らないと書かれています。
- 「Personal」で「Create workflow」を押し、名前を
Weather Logにします。 - 「Add first step」から「On a schedule」を選び、「Trigger at Hour」を
8amにします。 - 「HTTP Request」のノードを足し、サンプルのAPI(公式が用意した「Mockingbird」)から、ベルリンの天気を取ります。
- 「Edit Fields (Set)」のノードで、
reportという項目に、天気の文章を作ります。 - 「Data tables」に
weather_dataという表を作り、「Data table」のノードで「Insert row」します。 - 「Execute workflow」で試し、表に行が増えたのを確かめてから「Publish」します。
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。公式の資料を読んだ範囲です。
- n8nのバージョンの数字は動いています。公式のリリースノートの最新は「2.45」(2026-10-20)でした。Dockerのページは、安定版が2.44.6、ベータ版が2.45.3と書いています。
- 1行のセットアップのページは、「n8n 3.0から、
npm install n8nやnpx n8nは動かなくなる」という趣旨と、「n8n 3.0以降はDockerだけで配布する」という趣旨を書いています。同じページは、すでにnpmで入れたものは今のところ動き続けるが、新しく入れる場合と今後の更新には1行のセットアップを使うよう案内している、とも書いています。3.0がいつ出るかは、読んだ範囲では見つかりませんでした。新しく入れるなら、公式が示すDockerの方法が無難、というのが僕らの見立てです。 - 「Install with Docker」のページには、「内容が古い」「Docker Composeが推奨」と明記されています。ページ同士で、推奨の方法が揃っていない所があります。
- セルフホストは、公式が「ミスはデータの消失、安全上の問題、停止につながりうる」と書いています。サーバーの管理に自信がなければ、クラウド版が向く、というのが公式の整理です。
- 料金や上限は変わります。最新は公式の料金ページで確かめてください(価格は04で、表示のまま日付つきで載せます)。
- 規約やライセンスの解釈は、必要なら専門家や公式に確認してください。この記事は法律の助言ではありません。
出典
- n8n Docs(n8n、確認日 2026-10-23)
- Choose how to use n8n(n8n Docs、確認日 2026-10-23)
- Try free then choose a plan(n8n Docs、確認日 2026-10-23)
- Compare editions(n8n Docs、確認日 2026-10-23)
- Use n8n Cloud(n8n Docs、確認日 2026-10-23)
- Manage your data(n8n Docs、確認日 2026-10-23)
- One-line setup(n8n Docs、確認日 2026-10-23)
- Install with Docker(n8n Docs、確認日 2026-10-23)
- Control telemetry(n8n Docs、確認日 2026-10-23)
- Build your first workflow(n8n Docs、確認日 2026-10-23)
- Release notes(n8n Docs、確認日 2026-10-23)
- Plans and pricing(n8n、確認日 2026-10-23)
- n8n-io/n8n README(GitHub、確認日 2026-10-23)
- LICENSE.md(GitHub n8n-io/n8n、確認日 2026-10-23)
- Announcing the new Sustainable Use License(n8n Blog、2022-03-17、確認日 2026-10-23)
- Security(n8n、確認日 2026-10-23)
- Legal(n8n、確認日 2026-10-23)