3行でいうと

  • 最初の1本は、Text to Speechのプレイグラウンドで、声を選び、テキスト(クイックスタートでは5,000文字まで)を入れて「Generate」を押す流れです。公式は、1回の依頼の文字数の上限がモデルごとに違う(Eleven v4は10,000、v3は5,000、Multilingual v2は10,000、Flash v2.5は40,000)と書いています。
  • 長い原稿は、Studioの「Audio project」を使います。公式のStudioのページは、章、段落、間(break)、書き出し(MP3かWAV)、プロジェクトの大きさの上限(1プロジェクト500章、1章400段落、1段落5,000文字)を書いています。
  • 文字起こしは、公式のクイックスタートが、scribe_v2 というモデルに、話者の分離(diarize)や音のイベントのタグ付け(tag_audio_events)を指定する形で示しています。
  • 吹き替えは、公式のページが、ファイルのアップロードやURL、90以上の言語、1ファイル最大32人の話者、アプリでは1GBと180分までと書いています。Dubbing v2は「Alpha」と書かれています。
  • 音声エージェントは、ダッシュボードで名前と「Blank template」を選び、「First message」と「System prompt」を入れ、「Test AI agent」で試す流れです。

この記事は、公式の資料を2026年10月25日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。

手順は「公式の手順を順に並べたもの」です。例の文章や指示文は「この記事の例」と書き、公式のものではありません。公式に書かれていない画面の経路、ボタンの表記、初期値は書かず、「公式で確認できていない」と書きます。画面の表記は変わるので、手元の画面と照らして読んでください。

先に結論

前提:用語をそろえる

たとえ話:1つの録音スタジオ、4つの部屋

ElevenLabsを録音スタジオだと考えてみます。短い台詞を読んでもらう小部屋がプレイグラウンド、本を1冊読んでもらう大きな部屋がStudio、録音を聞いて文字にする書記の部屋が文字起こし、映像の声を別の言語で録り直す部屋が吹き替えです。受付に座らせる係(エージェント)は、別の入口から入ります。これは僕らのたとえで、公式の表現ではありません。

場面1:短い文章を声にする(Text to Speech、Web)

公式のElevenCreativeのクイックスタートの順です(確認日2026-10-25)。

  1. ダッシュボードで、Text to Speechのプレイグラウンドを開く(メニューの階層の表記は、公式のクイックスタートには細かく書かれていません)。
  2. ドロップダウンで声を選ぶ。Voice Libraryで探すときは、言語、アクセント、年齢、用途で絞り、オーブを押して試し聞きする。
  3. モデルを選ぶ。公式のクイックスタートの説明は次のとおりです。
  4. Multilingual v2:32言語に対応する、もっとも安定したモデル
  5. Eleven v4:最新で、品質と言語の対応がもっとも広いモデル
  6. Eleven v3:前の、表現力の高いモデル
  7. Flash v2.5:リアルタイム向けの、超低遅延のモデル
  8. テキストを入れる(クイックスタートは5,000文字まで)。
  9. 必要なら声の設定を調整する。
  10. 「Generate」を押す。音声ができる。
  11. ダウンロードか共有をする。

この記事の例(テキスト):最初の確認には、次のような短い文を使えます。

こんにちは。これは読み上げの確認用の短い文です。

日本語の読み上げに対応する声やモデルは、Voice Libraryで言語を絞って確かめてください。この記事では、特定の声の品質は評価しません。

公式が書くモデルごとの条件(Text to Speechのページ)

モデル 1回の依頼の文字数 言語 公式の補足
Eleven v4 10,000 90以上 複数話者の会話、声のクローン
Eleven v4 Turbo 記載なし 90以上 中央値で約100msの遅延、音声タグ
Eleven v3 5,000 70以上 表現力の強い読み、複数話者の会話
Eleven v3 Conversational 記載なし 70以上 約280msの遅延、音声タグ
Eleven Multilingual v2 10,000 29 長い文章でもっとも安定
Eleven Flash v2.5 40,000 32 約75msの遅延。APIでは文字あたりの価格が50%安い

言語数は、ページによって「32」(クイックスタートのMultilingual v2)と「29」(Text to Speechのページ)のように違います。画面で確かめてください。

出力を整えるときに、公式が書くこと

場面2:長い原稿を作る(Studio、Web)

公式のStudioのページの順に並べます。

プロジェクトを作る

  1. Studioを開く。作り方は4つあります。
  2. プロンプトのバー「What would you like to create?」に作りたいものを書くと、Studio Agentが下書きする。
  3. 「Inspirations」のカードから、例を選ぶ。
  4. 「Upload」で、手持ちの原稿、文書、メディアから始める。取り込める形式は、EPUB、PDF、DOCX、TXT、HTML、URL。EPUBがもっとも向き、各章の見出しを「Heading 1」にすると、自動で章に分かれる、と書かれています。
  5. 「+ New blank project」で、「Video project (New)」、「Audio project」、「Video project」(以前の版)から選ぶ。
  6. ダイアログで設定して、「Create」を押す。初期のモデルはEleven Multilingual v2で、「Project settings」で、Eleven v3やv4に変えられる、と書かれています。

声を割り当てる

  1. 文字を選び、声のサイドバーのドロップダウンで声を変える。声ごとに色のオーブがつく。
  2. 「Override settings」にチェックを入れると、選んだ段落だけに設定が適用される。入れないと、プロジェクト全体に適用され、再生成が必要になる。
  3. 「Replace voice across project」で、全体の声を差し替えられる。「Replace and clear impacted audio」を押す。
  4. 声の設定として、Alias(プロジェクト内の呼び名)、Volume(-30dBから+5dB、初期0)、Speed(0.7から1.2、初期1.0)、Stability、Similarity、Style Exaggeration(通常は0のまま)、Speaker boostがあります。

生成して、直す

  1. 「Chapters」のタブで章を足す(「+」)、名前を変える、並べ替える(ドラッグ)。
  2. 段落を選んで「Generate」を押す。クレジットを使う。文字や声を変えたら、再生成が必要です。
  3. 「Insert break」で間を入れる。初期は1秒で、最大3秒。
  4. 「Generation history」で、前の版に戻せる。
  5. 「Lock paragraph」で、ナレーションを固定できる(音楽、効果音、映像の編集はできる)。
  6. 発音は、「Pronunciations Editor」で直す。ルールは、音素のタグ(Eleven Flash v2でのみ動く)か、置き換えのタグ(alias)。ルールは上から順に見て、最初に合ったものが使われる、と書かれています。

書き出す

  1. 「Export」を押す。未生成の段落は、このときに課金される、と書かれています。
  2. 形式:音声はMP3かWAV。複数の章は、1つのファイルか、章ごとのファイルを入れたZIP。
  3. 品質はプランで違う。Free、Starter、Creatorは、128kbpsのMP3か、128kbpsの元からのWAV。Pro以上は、16ビット・44.1kHzのWAVか、192kbpsのMP3、と書かれています。
  4. 無料プランの動画の書き出しには、透かしが入ります。有料では入りません。
  5. 共有は、読み取り専用のリンクで、あとから取り消せます。見る人は、時刻つきのコメントを残せます。

上限(公式の記載)

場面3:声を文字にする(Speech to Text)

公式のSpeech to Textのクイックスタートは、録音済みのファイルを処理する「Batch」のAPIです(リアルタイムは別のガイド)。ダッシュボードの操作は、このページには書かれていません。

CLIで試す(公式の例の写し)

curl -O https://storage.googleapis.com/eleven-public-cdn/audio/marketing/nicole.mp3

elevenlabs speech-to-text convert \
  --file nicole.mp3 \
  --model-id scribe_v2 \
  --tag-audio-events true \
  --language-code eng \
  --diarize true

パラメータ(公式の表)

項目 例の値 公式の説明
model_id scribe_v2 医療・臨床の音声には scribe_v2_medical。リクエストの形と料金は同じ、と書かれている
tag_audio_events true 笑い声、拍手などのイベントにタグをつける
language_code eng None(Python)か null(JS)にすると、言語を自動判定する
diarize true 誰が話したかを注釈する

この記事の見立て:自分の録音で試すときは、まず短いファイルで、--language-code を指定した場合としない場合の違いを見ると、操作の意味がつかめそうです。結果の精度は、この記事では評価しません。

場面4:動画の声を別の言語にする(Dubbing、Web)

公式のDubbingのページ(確認日2026-10-25)から、読み取れる範囲です。このページには、ダッシュボードの操作の細かい順序と、APIのコード例は書かれていませんでした。

  1. 「Automatic Dubbing」(app/dubbing)を開く。初期ではDubbing v2が使われる、と書かれています。
  2. 入力を渡す。ファイルのアップロードか、YouTube、TikTok、URLなどの入力元。
  3. 目標の言語を選ぶ。90以上の言語に対応する、と書かれています。APIはBCP-47のタグを受け付け、v2では、方言の一覧にある地域つきのタグ(例 es-MX)が使えます。v1は方言に対応しません。
  4. 話者は、自動で検出される(1ファイル最大32人)。v2では「Speaker similarity」(0から10、初期7)で、元の声に近づけるか、目標の言語の自然さを優先するかを決める。
  5. 処理が終わるのを待つ。処理時間は書かれていません。「Queued」や「Loading」のまま長く動かない場合は、取り消して出し直す、と書かれています。
  6. ダウンロードする。吹き替えのあとの動画は「高品質のプレビューで、制作用の原版ではない」と書かれています。制作に使うときは、吹き替えの音声をダウンロードして、元の動画の音声と差し替える、と書かれています。

上限と条件(公式の記載)

項目 内容
Automatic Dubbing(アプリ) 1GB、180分まで
API 1ファイル3GBまで
Dubbing Studio 1GB、45分まで(Dubbing v1のみ。保守モードで、重要な修正のみ)
同時に動かせる数 自己申し込みのプラン(FreeからBusiness)は3件。Enterpriseは初期10件。超えると too_many_concurrent_requests
透かし 無料のプランの吹き替えには、自動で入る。有料には入らない。Dubbing v2には透かしの切り替えがない
v2の状態 「Alpha」。「occasional rough edges」(ときどき粗い所がある)と書かれている

リアルタイムの吹き替え(ライブ)は、今のところ提供されていない、と書かれています。失敗したv2のジョブは課金されない、とも書かれています。

場面5:自分の声のクローンを作る(Instant Voice Cloning)

公式のAPIのガイドは、ダッシュボードでの作り方は「Instant Voice Cloneの製品ガイド」を見るように案内していて、今回はそのガイドを読めていません。ダッシュボードの手順、音声の長さや形式の条件、同意の確認は、「公式で確認できていない」ことにします。声の権利と同意は、04を先に読んでください。

APIの最小の例は、公式のガイドで次のとおりです(公式の例の写し。前提として、APIキーとSDKの用意が済んでいること)。

import os
from dotenv import load_dotenv
from elevenlabs.client import ElevenLabs
from io import BytesIO

load_dotenv()

elevenlabs = ElevenLabs(
  api_key=os.getenv("ELEVENLABS_API_KEY"),
)

voice = elevenlabs.voices.ivc.create(
    name="My Voice Clone",
    # Replace with the paths to your audio files.
    # The more files you add, the better the clone will be.
    files=[BytesIO(open("/path/to/your/audio/file.mp3", "rb").read())]
)

print(voice.voice_id)

実行すると、声のIDが表示される、と書かれています。公式は、ファイルを多く足すほど、クローンの出来が良くなる、と書いています。

場面6:電話やWebで話す音声エージェントを作る(ElevenAgents)

公式のエージェントのクイックスタートの順です。

  1. elevenlabs.io にサインインする。
  2. ダッシュボード(https://elevenlabs.io/app/agents)で、名前を入れ、「Blank template」を選ぶ。
  3. 「Agent」のタブで、「First message」(会話の最初に話す挨拶)と「System prompt」(役割、すること、口調)を入れる。
  4. 「Knowledge Base」の節で、文書、FAQ、リンクをアップロードする。
  5. 「Voice」のタブで、声を選ぶ。品質の高い声、モデル、LLMは、応答の時間が増えることがある、と公式に書かれています。
  6. 「Test AI agent」を押して試す。ダッシュボードのテストは、React SDKを使ってリアルタイムで会話する、と書かれています。
  7. 「Analysis」のタブで、評価基準を定める。結果は success、failure、unknown のいずれかと理由で、公式の例の名前は solved_user_inquiry です。
  8. 「Data collection」の節の「Add item」で、データ型(string)、識別子(公式の例は user_question)、取り出す指示を決める。
  9. 「Call history」のタブで、会話ごとの評価結果と集めたデータを見る。

この記事の例(First messageとSystem prompt):公式の例とは別に、短い例を示します。会社名などは入れ替えてください。

First message:
こんにちは、〇〇サポートです。ご用件をお聞かせください。

System prompt:
あなたは〇〇の問い合わせ窓口の音声アシスタントです。
ナレッジベースにある内容だけで答えます。
分からないことは「分かりません」と言い、担当者への連絡先を案内します。
1回の返答は2文までにします。

この例は、公式の記載に合わせて、この記事で組んだものです。動作は確かめていません。

CLIで作る(公式の例の写し)

elevenlabs agents init
elevenlabs auth login
elevenlabs agents add "My Assistant" --template assistant
elevenlabs agents push
elevenlabs agents widget embed <agent_id>

Webのページに置く(ウィジェット)

公式のクイックスタートのスニペットです(agent-id は自分のものに替える)。

<elevenlabs-convai agent-id="agent-id"></elevenlabs-convai>
<script src="https://unpkg.com/@elevenlabs/convai-widget-embed" async type="text/javascript"></script>

ウィジェットは、認証を無効にした公開のエージェントが必要、と公式は書いています(エージェントの「Advanced」のタブで切り替え)。許可するドメインは、エージェントの「Security」のタブの「Allowlist」で決めます。詳しくは08で扱います。

場面7:スマホのアプリで使う

アプリで使える機能は、Text to Speech、Instant Voice Cloning、Voice Library、Voice Changer、Voice Isolator、Image & Video、Listening & Playback、Voice Designです(公式のヘルプ)。操作の画面は、読んだページには書かれていませんでした。専門のクローン、Studio、吹き替え、音楽、Agentsは、Webのみです。

最初の1時間でやる順番(この記事の案)

公式の手順を、この記事で並べ替えた案です。公式が勧めている順番ではありません。

時間の目安 やること 見る節
0〜10分 無料アカウントを作り、「Data use」の設定を見る 05 手順1、2
10〜20分 Text to Speechで、短い文を声にして、ダウンロードする 場面1
20〜30分 声やモデルを変えて、同じ文を聞き比べる(クレジットの減り方を見る) 場面1
30〜40分 Studioで、「Audio project」を1つ作り、2〜3段落を生成して書き出す 場面2
40〜50分 必要なら、APIキーを作り、5-3のサンプルを動かす 05 手順4、5
50〜60分 音声エージェントを「Blank template」で作り、「Test AI agent」で試す 場面6

文字起こしと吹き替えは、手元に試せるファイルがあるときに、あとから足せば足ります。

気をつけること

出典