3行でいうと
- 公式が出しているのは、REST API、公式のPythonとJavaScript(Node)のSDK、CLI、そして遠隔のMCPサーバー(接続先
https://api.elevenlabs.io/v1/mcp、OAuthで接続)です。 - 以前の「ローカルで動かすMCPサーバー」(GitHubの elevenlabs/elevenlabs-mcp)は、READMEで「非推奨」と書かれ、リポジトリももう積極的には保守されていない、と書かれています。公式は、OAuthで入るホスト版を勧めています。
- ホスト版MCPは、書き込みもできる。公式は、MCP経由のエージェントの変更は、下書きを経ずに対象のブランチ(初期は main)へ直接公開される、と書いています。エージェントの削除は「破壊的」だと書き、承認の前に呼び出しの内容を確かめるよう勧めています。
- ElevenLabs側は、第三者のLLM(OpenAI、Anthropic、Googleなど)にも、Zapierなどの外部のMCPにもつながります。データがどこへ流れるかは、つなぐ先ごとに違います。
- 第三者・コミュニティ製の例(Vercel AI SDK、.NET、Unityのライブラリ)は、公式が「公式のサポートではない」と書いています。この記事の末尾で分けて書きます。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。運営者はElevenLabsを約3か月使い、精度が足りないと感じて解約しています(運営者の使用感)。この記事には使い心地を書いていません。メニュー名、コマンド、URLは公式の表記を写しています。公式ページは要約の形で取得したため、読めていない箇所は「確認できていない」と書いています。
先に結論
- 開発者なら、まずAPIとSDK。 APIキーを作り、SDKの
text_to_speech.convert(...)を1回呼ぶのが、公式のクイックスタートの最短の流れです。 - AIアシスタントから操作するなら、ホスト版のMCP。 OAuthで本人が許可します。APIキーをクライアントに貼る必要がない、と公式は説明しています。
- ホスト版MCPは、エージェント管理が中心。 公式のdocsが挙げる機能は、エージェントの作成・更新・削除、会話と書き起こしの確認、テスト、デプロイ、音声の生成(短時間だけ有効なダウンロードリンクで返る)などです。
- データの流れ先は、つなぐ先で決まる。 ElevenLabsのMCP(公式)、Zapier経由のMCP、LLMの提供元、電話の事業者は、それぞれ別の事業者です。
- ZRM(Zero Retention Mode)には「MCPは使えない」という制約がある。 公式のZRMの資料は、その制約欄に、MCPはZRMやHIPAAの利用者には使えない、と書いています(04で扱います)。
前提:用語をそろえる
- API(エーピーアイ):他のプログラムが機能を呼び出すための窓口。ElevenLabsでは「ElevenAPI」と呼ばれています。
- SDK:APIを使いやすくした部品のセット(ライブラリ)。
- CLI:ターミナルから操作するコマンド。ElevenLabsには
@elevenlabs/cliがあります。 - MCP:AIアシスタントが外のツールを使うための共通の取り決め。遠隔のサーバーにつなぐ型と、手元で動かす型があります。
- OAuth:パスワードやAPIキーを渡さずに、「この範囲だけ許可する」と本人が承認する方式。
- コネクタ:Claudeなどのアプリが、外のサービスにつながる入口。Claudeでは「Customize → Connectors」にあります(公式のElevenLabsのページの表記)。
- プロンプトインジェクション:読み込んだ文書に仕込まれた指示に、AIが従ってしまう問題。外の内容を読むAIには、つねにつきまといます。
たとえ話:コンセント、延長コード、合鍵
ElevenLabsを家にたとえると、APIは壁のコンセントです。プログラムを書ける人が、直接差し込みます。SDKは、そのコンセントに合う延長コードです。MCPは、AIアシスタントに渡す「合鍵」です。OAuthの合鍵は、持ち主が「この部屋だけ」と決めて渡し、いつでも取り返せます。ただし、書き込み権限つきの合鍵を渡すと、AIは部屋の模様替え(エージェントの変更や削除)までできてしまいます。これは僕らのたとえで、公式の表現ではありません。
公式が運営する連携
1. API(ElevenAPI)
公式のクイックスタート(elevenlabs.io/docs/eleven-api)に書かれた内容です。
- 何が呼べるか。 Text to Speech(ストリーミングを含む)、声のクローン、Speech to Text。ほかに、Speech Engine、Music、Text to Dialogue、Image & Video、Voice Changer、Voice Isolator、Dubbing、Sound Effects、Forced Alignmentのガイド。リアルタイムのText to SpeechとText to DialogueのWebSocket(つなぎっぱなしにして、音声を少しずつやり取りする通信の方式)もあります。
- 認証。 ダッシュボードの
elevenlabs.io/app/api/api-keysでAPIキーを作り、ELEVENLABS_API_KEYとして保存します。HTTPヘッダ名は、このページには書かれておらず、別の認証のリファレンスに案内されていました(読めていません)。 - 最短の流れ。 ①キーを作る。②
pip install elevenlabsとpip install python-dotenv(再生にはMPVやffmpegが要ることがある)。③text_to_speech.convert(...)を、model_id="eleven_v4"とoutput_format="mp3_44100_128"で呼ぶ。 - 料金。 公式のAPI料金ページ(elevenlabs.io/pricing/api)の表示(確認日2026-10-23、米ドル、税別)。Text to Speechは1,000文字あたり、v4、v3、v2 Multilingualが$0.08、v4 Turbo、v3 Conversational、Flash/Turboが$0.04。Speech to Textは1時間あたり、Scribe v2が$0.22(キーターム指定が+$0.050、文字起こし編集が+$0.070)、Scribe v2 Realtimeが$0.39。Dubbingは1分あたり、v1が$0.33(透かしつき)か$0.50(透かしなし)、v2が$2.20。Musicは1分$0.150、Voice IsolatorとVoice Changerは$0.120。月額プランのほかに「Pay as you go」もあります。
- 読めていない点。 ベースURL、レート制限と同時実行の上限、Webhookの詳細は、このページには書かれておらず、確認できていません。
2. SDK
公式の「Libraries & SDKs」に書かれた内容です。
| 種類 | 公式のライブラリ |
|---|---|
| REST APIのSDK | Python(PyPIの elevenlabs)、JavaScript(Node、npmの @elevenlabs/elevenlabs-js) |
| Agentsのライブラリ | JavaScript(@elevenlabs/client)、React(@elevenlabs/react)、React Native(@elevenlabs/react-native)、Python(elevenlabs)、Swift、Kotlin、Flutter |
GitHubの公式Python SDKのREADMEによると、pip install elevenlabs、ElevenLabs() のクライアント、非同期の AsyncElevenLabs、ライセンスはMITです。このSDKは機械的に生成されているので、直接の修正は次のリリースで上書きされ、プルリクエストは取り込めないことが多い、と書かれています。
3. CLI(@elevenlabs/cli)
公式のクイックスタートに、npx -y @elevenlabs/cli@latest onboard init(Node.jsが必要)が書かれています。Homebrew(brew install elevenlabs/tap/elevenlabs)とScoopでも入れられます。AIアシスタント向けには、npx skills add elevenlabs/skills で「skills」を追加する案内が、公式の「ElevenLabs Agents & Creative MCP」ページにあります。
4. ホスト版のMCPサーバー(公式が運営)
公式の「Hosted MCP server」のページと、elevenlabs.io/mcp のページに書かれた内容です。
- 接続先。
https://api.elevenlabs.io/v1/mcp(グローバル)。データレジデンシーの地域には別のURL(EU、インド、シンガポール、api.[region].residency.elevenlabs.io/v1/mcp)があります。 - 認証。 OAuth。ElevenLabsのアカウントでサインインし、ワークスペースへの範囲を限った権限を許可します。公式は、APIキーをクライアントにコピーする必要はないと書いています。アクセスは、MCPクライアントかElevenLabsのアカウント設定から取り消せます。
- 使える範囲。 ElevenAgentsの読み書きと、Text to Speech。
- できること(公式の列挙)。 エージェントの作成、更新、一覧、複製、削除。手順、ツール、MCPサーバー、Knowledge Baseの管理。会話、書き起こし、トピックの確認。テストの作成と実行。ブランチ、下書き、デプロイ、マージ提案。トリアージのチケットの閲覧と更新。LLMの使用量と費用の見積もり。ウィジェットの設定と共有リンクの取得。音声の生成(短時間だけ有効なダウンロードリンク)。
- 対応するアシスタント。 公式のページは、ChatGPT、Claude(Web)、Claude Code、Cursor、GrokBot、Hermes、Codex、OpenClawを挙げています。
- Claudeでの設定(公式の記載)。 「Customize → Connectors」で、名前「ElevenLabs」のカスタムコネクタを追加し、URLに
https://api.elevenlabs.io/v1/mcpを入れます。「Add to Claude」ボタンもあります。Claudeのコネクタのディレクトリ経由でも使えます(Claude Desktop)。 - Claude Codeでの設定(公式の記載)。
claude mcp add --transport http elevenlabs https://api.elevenlabs.io/v1/mcpを実行し、セッション内で/mcpを実行してサインインします。 - 管理者の制御。 ワークスペースの管理者は、組織のコネクタとツールの制御を設定できます。個人は、より厳しくはできますが、管理者が無効にしたツールを有効にはできません。
- ベータかどうか。 Hosted MCPのページには、ベータなどの成熟度の表示はありませんでした。
elevenlabs.io/mcpのページは、ページの説明文に「creative tools coming soon」とありますが、本文はElevenCreativeを50以上のモデルとともに同じコネクタで使えると書いていて、どのCreative機能が準備中なのかは、読んだ範囲では読み取れませんでした。docsのHosted MCPのページが挙げる範囲は、ElevenAgentsの読み書きとText to Speechです。Agentsの管理については、そうした表示は読んだ範囲ではありませんでした。 - 公式の注意。 公式は、ツール呼び出しは承認前に確かめること、書き込み権限は必要な人だけに与えることを勧めています。
5. ローカルのMCPサーバー(公式のリポジトリだが、非推奨)
GitHubの elevenlabs/elevenlabs-mcp のREADMEによると、これは公式のMCPサーバーですが、ホスト版に置き換えられて非推奨です。リポジトリは積極的には保守されておらず、GitHubの表示では2026年8月20日にアーカイブされ、読み取り専用になっています。ライセンスはMITです。
- 設定。 Claude Desktopでは、
claude_desktop_config.jsonのmcpServersに、uvxでelevenlabs-mcpを動かす設定を書き、envにELEVENLABS_API_KEYを入れます。 - 環境変数。
ELEVENLABS_MCP_BASE_PATH(ファイル操作の基点。初期値は~/Desktop。読める入力ファイルもここまで)、ELEVENLABS_MCP_OUTPUT_MODE(files、resources、both)、ELEVENLABS_API_RESIDENCY(初期値us。Enterprise限定)。 - 注意。 READMEには、使うにはElevenLabsのクレジットが要る、と書かれています。READMEの例では、APIキーは設定ファイルの
envに書く形です。キーの置き場所は、自分の端末の管理になります(これは僕らの見立てです)。
6. ElevenAgentsが外へつなぐ道
- LLM。 公式の資料によると、ElevenLabs自身が提供するモデルのほか、Google(Gemini)、OpenAI(GPT)、Anthropic(Claude)を選べます。自前のLLMを、エンドポイントを指定して使うこともできます(認証情報はElevenLabsの秘密情報の保管に入れる)。公式のchangelogには、2026年9月28日と10月19日に、GLM、DeepSeek、NVIDIA系とみられるモデルを含む新しいエージェント用LLMが追加されたとあり、選べるモデルの顔ぶれは更新が早いようです。第三者のLLMの費用は、提供元の公表料金のまま上乗せなしと書かれています。ただし同じページには、一部のGeminiとClaudeのモデルはVertex AIの地域別料金に合わせてあり、それは10%高い、とも書かれています。ElevenLabsが自前でホストするモデルは、ElevenLabsの管理する基盤で動き、元のモデル提供元は入力と出力を受け取らない、と書かれています。第三者が運営するモデルへのデータの流れは、このページには説明がありませんでした。
- Tools、MCP。 エージェントは、外のAPIやMCPサーバーを呼べます。
- 電話。 Twilio、SIPトランク、一括の発信が、公式のAgentsの概要に挙げられています。Vonageとの連携は、WebSocketのコネクタ(公式のサンプルをクローンしてNode.jsで動かす)という形で説明されています。
- Widget。
<elevenlabs-convai>の要素と埋め込みスクリプトで、Webページに会話のウィジェットを置けます。 - Zapier(運営は第三者)。 ElevenLabsの公式ページに連携として載っていますが、つなぐ先のMCPはZapier社のサービスです。詳しくは下の「第三者・コミュニティ製」に書きます。
第三者・コミュニティ製
- 公式が「第三者」と明示しているもの。 公式の「Libraries & SDKs」は、Vercel AI SDK(npmの
ai)、.NET(NuGetのElevenLabs-DotNet)、Unity(OpenUPMのcom.rest.elevenlabs)を、「公式のサポートではなく、コミュニティが保守している」ものとして挙げています。 - GitHubで見つかる非公式のMCP・SDK。 検索では、他の人や会社が作ったElevenLabs向けのMCPサーバーやSDKのリポジトリも見つかりましたが、公式の資料ではないので、中身は読んでおらず、ここでは評価しません。使う場合は、APIキーや声のデータをどこへ送るかを、作者のコードで確かめてください(これは僕らの見立てで、公式の資料にある助言ではありません)。
- Zapier。 ElevenLabsの公式ページに連携として載っていますが、MCPのエンドポイントを運営するのはZapier社(第三者)です。公式の「Zapier」のページは、ZapierのMCPエンドポイントのURLを作り、許可する操作を選び、ElevenLabsのダッシュボードにMCPサーバーのURLを足す流れを書いています(このページはZapierのMCPのドキュメントへリンクしています)。「7,000以上のアプリ」とつなげると説明し、実行の記録と、重要な操作の前の確認の仕組みにも触れています。データの保存場所や処理の詳細は、このページには書かれていません。
データはどこへ流れるか
| つなぎ方 | データの流れ(公式の記載) |
|---|---|
| API、SDK、CLI | 自分のコードからElevenLabsのAPIへ。テキストと音声がElevenLabsに送られる |
| ホスト版MCP | AIアシスタントの要求が、許可した権限の範囲でElevenLabsのAPIに送られる。会話の書き起こしも、アシスタントから読める。音声は、短時間だけ有効なダウンロードリンクで返る |
| ローカルのMCP(非推奨) | 手元のPCで動き、APIキーでElevenLabsに送る。入力ファイルは、基点のフォルダの中だけ読める |
| エージェントとLLM | ElevenLabsから、選んだLLMの提供元(または自前のエンドポイント)へ送られる |
| Zapier経由のMCP(第三者) | エージェントが、HTTPSとトークン認証で、Zapier社のMCPのエンドポイントを呼ぶ。保存場所は未確認 |
加えて、どのつなぎ方でも、会話や音声は、MCPの先のAIアシスタント(Claudeなど)にも渡ることに注意してください。ホスト版MCPでは、エージェントの会話の書き起こしをアシスタントが読めます。そこに個人情報が含まれる場合の扱いは、アシスタント側の規約にも関わります。
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。運営者はElevenLabsを約3か月使い、精度が足りないと感じて解約しています(運営者の使用感)。この記事には使い心地を書いていません。公式のdocsとGitHubの要約を読んだ範囲です。
- 書き込みつきのMCPは、権限を絞る。 公式は、変更が直接公開されること、エージェントの削除は破壊的であることを書いています。
- 読んだ内容に指示が混ざる危険。 書き起こしやKnowledge Baseの文書に、悪意のある指示が含まれていても、AIが従ってしまうことがあります。これは、外の文書を読むAI全般の注意で、ElevenLabsの資料にこの件の記載があるかは、読んだ範囲では確認できていません。
- 公式の資料の中で、対応するアシスタントの一覧、モデル名、言語数が、ページごとに違う箇所があります。機能の名前や接続先は、公式の画面とdocsで確かめてください。
- ZRMとHIPAAの用途では、MCPが使えません(04)。センシティブな情報を扱う場合は、MCPをつなぐ前に確かめてください。
出典
- ElevenAPI quickstart(ElevenLabs Docs、ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- API pricing(ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- Libraries & SDKs(ElevenLabs Docs、ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- elevenlabs-python(GitHub、ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- Hosted MCP server(ElevenLabs Docs、ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- ElevenLabs Agents & Creative MCP(ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- elevenlabs-mcp(GitHub、ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- ElevenAgents overview(ElevenLabs Docs、ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- ElevenAgents Quickstart(ElevenLabs Docs、ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- LLM(ElevenLabs Docs、ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- Connect Zapier to ElevenLabs agents(ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- Vonageとの連携(ElevenLabs Docs、ElevenLabs、確認日 2026-10-23)
- Zero Retention Mode(ElevenLabs Docs、ElevenLabs、確認日 2026-10-23)