3行でいうと
- Workers AIは、公式の説明では、サーバーレスGPUで機械学習モデルをCloudflareのネットワーク上で動かすものです。公式のカタログには、2026年10月23日に73のモデルが並び、文章生成、埋め込み、翻訳、画像生成、音声認識などの種類があります。
- AI Gatewayは、モデルの前に置く「受付」です。公式は、分析、ログ、キャッシュ、レート制限、再試行とフォールバックを、主な機能として挙げています。
- AI Searchは、自分の資料を入れて自然な言葉で検索できるようにして、アプリやエージェントに検索を足すサービスです。公式の概要ページは、文書の検索、社内の知識を調べるエージェント、利用者ごとのファイル検索を、使い道に挙げています。
- Agents SDKは、状態(記憶)を持つAIエージェントを作るツールです。公式は、チャット、Slack、音声、ブラウザ、メールの例を載せています。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。機能名・メニュー名は公式の表記を写しています。公式のページは要約として取得したため、題名だけを確かめて中身を読めていない機能は、そのように書きます。
先に結論
- まず「何をAIにやらせたいか」で入口を選ぶ。 文章や画像を作らせたいならWorkers AI。使うAIの通信を記録したり、節約したりしたいならAI Gateway。自分の資料から答えさせたいならAI Search。会話や作業を続けて覚えるものを作りたいならAgents SDK、と整理できます(この分け方は僕らの見立てです)。
- 4つは重ねて使える。 公式のAI SearchとAI Gatewayの概要ページは、関連製品としてWorkers AIやVectorizeを並べています。AI Searchは、中でWorkers AIの変換や埋め込みを使う、と公式の説明にあります。
- 全部がベータではない。 読んだ範囲では、4つの概要ページにベータの表示はありませんでした。ただし、個別のモデルと、Workers AIの一部の機能(Batch API、Function calling、LoRA、Markdown Conversion)には「Beta」の表示があります。Workers AI自体は、概要ページのバナーで「Generally Available」と書かれています。
前提:用語をそろえる
- モデル:AIの頭脳にあたる部分。Workers AIでは、
@cf/ベンダー名/モデル名という形で指定します(公式のOpenAI互換のページに例があります)。 - 埋め込み(Embedding):文章を数字の列に変えて、意味の近さで比べられるようにする処理です。
- RAG(検索拡張生成):自分の資料を探して、見つけた内容を材料にAIに答えさせる方法のこと。AI Searchの前の名前 AutoRAG の「RAG」はこれです。
- ゲートウェイ(Gateway):入口・出口の役目をするもの。AI Gatewayは、AIとの通信がここを通ります。
- ベンダー:モデルの提供元。たとえば、Meta、OpenAI、Google、Moonshot AI、Zhipu AIなどです。
- 規約や契約、個人情報の解釈は、必要なら専門家や公式に確認してください。この記事は法律の助言ではありません。
たとえ話:厨房、受付、図書室、店員
Workers AIは、貸しビルの「調理機械」です。いろいろな機械(モデル)が置いてあり、必要なものを呼び出して使います。AI Gatewayは「受付」で、誰がどの機械をいつ使ったかを記録したり、同じ注文なら前の料理を出したり(キャッシュ)、混みすぎたら断ったり(レート制限)します。AI Searchは「図書室」で、自分の資料を入れておくと、司書(AI)が探して答えます。Agents SDKは「店員の育成キット」で、前の会話を覚えて動く店員を作れます。これは僕らのたとえで、公式の表現ではありません。
機能1:Workers AIでモデルを動かす
公式のWorkers AIの概要は、次の特徴を挙げています。
- 50以上のオープンソースのモデルを含むカタログ(読んだ日のカタログ一覧は73モデルと表示)。
- 使った分だけ払う(サーバーレス)。自分でサーバーを増やしたり保守したりしない。
- AI Gateway、Vectorize、Workersなど、ほかのCloudflareの製品と組み合わせられる。
呼び出し方は2つです。Workersのコードから呼ぶ「Workers Bindings」と、どこからでも呼べる「REST API」です。ほかに、OpenAI互換のエンドポイントがあります。公式のページには、ベースURL https://api.cloudflare.com/client/v4/accounts/{account_id}/ai/v1 と、Chat Completions、Embeddings、Responsesの3つの口が書かれています。Responsesは、GPT-OSSのモデルだけが対象で、ストリーミングなし(stream: false)のみ、と書かれています。
カタログにある仕事の種類(公式のモデル一覧):文章生成(Text Generation)、埋め込み(Text Embeddings)、文章分類、翻訳、画像生成(Text-to-Image)、音声合成(Text-to-Speech)、音声認識(Automatic Speech Recognition)、画像からの文章化(Image-to-Text)、画像分類です。
カタログに入っているモデルの例(公式の一覧に書かれたもの):
| 提供元の表記 | モデル名の例 | 備考 |
|---|---|---|
| Moonshot AI | kimi-k2.6、kimi-k2.7-code | 料金ページでは、kimi-k2.6はWorkers Paidか前払いクレジットが必要と書かれている |
| Zhipu AI | glm-4.7-flash、glm-5.2、glm-5.3、glm-5.3-flash | 料金ページでは、glm-5.2は同じく有料が必要と書かれている |
| OpenAI | gpt-oss-120b、gpt-oss-20b、whisper系 | whisper-tiny-enはベータの表示 |
| Meta | llama-3.1-8b-instruct-fp8、llama-3.3-70b-instruct-fp8-fast、llama-4-scout-17b-16e-instruct など | 一部のLoRA版はベータの表示 |
| DeepSeek | deepseek-v4-flash-0731、deepseek-v4-pro-0813 など | 料金ページでは、deepseek-v4-pro-0813は有料が必要と書かれている |
| gemma-4-26b-a4b-it、embeddinggemma-300m | embeddinggemma-300mはベータの表示 | |
| Qwen | qwen3-30b-a3b-fp8、qwen3.8-27b など |
読んだ範囲では、公式の一覧に「非推奨(deprecated)」の表示はありませんでした。「ベータ」の表示があるのは、gemma-2b-it-lora、gemma-7b-it-lora、embeddinggemma-300m、llama-2-7b-chat-hf-lora、llava-1.5-7b-hf、stable-diffusion系の一部、whisper-tiny-enです。ベータのモデルは、レート制限が低いことがある、と制限のページに書かれています。
公式のサイドバーには、そのほかの機能として、Batch API、function calling、JSON mode、fine-tunes、prompt caching、prompting、reject busy requests、markdown conversionが並んでいます。このうち Batch API、prompt caching、JSON mode、function calling は、2026年10月24日に各ページを読み直しました。Batch APIは、たくさんの要求を1回で送って順番待ちに入れ、結果を後で受け取る方法で、すぐの返事が要らない大きな仕事(要約や埋め込みなど)向けと書かれ、合計10 MB未満という上限があります。prompt cachingは、続けて送る要求の先頭部分が同じとき、計算済みの入力を再利用する仕組みで、選ばれたモデルでは既定で有効、x-session-affinity ヘッダーで当たりやすくでき、キャッシュされた入力は割引の料金で数えられます(割引率はそのページに書かれていません)。JSON modeは、response_format に json_object か json_schema を指定してJSONの形で答えさせる機能で、形に合う保証はなく、ストリーミングには対応しません。function callingは、モデルが「この関数を呼んで」と構造化したJSONで頼み、コードが実行する仕組みで、埋め込み型と従来型があります。fine-tunes、prompting、reject busy requests、markdown conversion は題名を確かめただけで、中身は読めていません。「Beta」の表示は、概要ページと、Batch API、function callingなど読み直した各ページの本文では見つけられませんでした。
| 場面 | できること | 公式のどこに書かれているか |
|---|---|---|
| アプリから文章を作らせる | Workerの中で env.AI.run(...) を呼び、モデルに質問して答えを返す |
「Get started: Workers and Wrangler」のコード例 |
| 外のシステムから呼ぶ | REST APIで /ai/run/{model} に送る |
「Get started: REST API」 |
| 既存のOpenAI用のコードを流用する | ベースURLを差し替えて、同じ形で呼ぶ | 「OpenAI-compatible API endpoints」 |
| 資料を意味で探す準備 | 埋め込みモデルで文章を数字にする | 「OpenAI-compatible API endpoints」の埋め込みの例 |
機能2:AI Gatewayで通信を見張る
公式のAI Gatewayの概要は、「AIアプリを観察し、制御する」ものと説明し、すべてのプランで使える、と書いています。主な機能は次のとおりです。
- 分析(Analytics):リクエスト数、トークンの使用量、費用の見える化。
- ログ(Logging):リクエストとエラーの記録。各ゲートウェイで既定で有効、と公式のログのページにあります。
- キャッシュ(Caching):同じリクエストに、プロバイダーではなくCloudflareのキャッシュから答える。公式のキャッシュのページでは、既定は無効で、同一のリクエストにだけ働きます。
- レート制限(Rate limiting):アプリが受けるリクエスト数に上限をつける。
- 再試行とフォールバック:失敗した要求をやり直したり、別のモデルに切り替えたりする。
- そのほか:公式の料金ページとUnified Billingのページに、DLP(機密らしい情報の検査)、ガードレール(Guardrails)、予算の上限ルールが出てきます。
対応するプロバイダーは、概要ページでは、Workers AI、Anthropic、Google Gemini、OpenAI、Replicateなどです。「はじめに」のページには、OpenAI、Anthropic、Google AI Studio、Workers AI、AWS Bedrock、Azure OpenAIが並んでいます。
| 場面 | できること | 公式のどこに書かれているか |
|---|---|---|
| 費用の見える化 | リクエスト数、トークン、費用の分析 | AI Gatewayの概要 |
| 同じ質問のくり返しを安くする | キャッシュで、提供元へ行かずに返す | 「Caching」(既定は無効、TTLは60秒〜1か月) |
| 提供元が落ちたとき | 再試行、別モデルへのフォールバック | AI Gatewayの概要 |
| 使いすぎを防ぐ | ゲートウェイごとに、モデル、提供元、ユーザーなどの単位で支出の上限ルールを置く | 「Unified Billing」のSpend limits |
| 機密情報が出ていくのを検査する | DLPのスキャン。Zero Trustの契約がない場合は、財務情報と、社会保険・個人番号に当たる情報の2つのプロファイルが入っている | AI Gatewayの料金ページ |
機能3:AI Searchで自分の資料を探せるようにする
公式の概要は、AI Searchを、アプリやエージェントに、検索の基盤を自作せずに検索を足せるもの(内容を継続的にインデックスし、既定でハイブリッド検索)と説明しています。名前は、公式の更新履歴(2025年9月25日)に、AutoRAGからの改名と書かれています。
主な機能(公式の概要):自動のインデックス作成(データを常に最新に保つ)、メタデータでの絞り込み、ハイブリッド検索(意味とキーワードの組み合わせ。既定でオン)、画像検索、OCR(スキャンしたPDFや画像から文字を取り出す)、各インスタンスに付くMCPの口と、ウェブサイトに埋め込める検索部品です。
データの入れ方は、公式のData sourceのページで3つです。Built-in storage(直接ファイルを上げる。すべてのインスタンスで既定で使える)、R2(CloudflareのR2のバケットをつなぐ)、Website(自分のドメインをつなぐ)。PDFなどはMarkdownに変換されます。ファイルの上限は、文章やコードで10 MiB、OCRなしのPDFなどで4 MiBと書かれています。
仕組みは、公式の「How AI Search works」によると、取り込み、Markdown変換、分割(チャンク)、埋め込み、保存の順です。問い合わせは、問い合わせの受付、(任意で)言い換え、ベクトル検索、(任意で)キーワード検索、並べ替え、取り出し、そして文章を作る段階(Chat Completionsの口のとき)です。
| 場面 | できること | 公式のどこに書かれているか |
|---|---|---|
| 文書や知識の検索 | ドキュメントやナレッジベースを検索できるようにする | AI Searchの概要の「使い道」 |
| 社内の知識を調べるエージェント | エージェントに、社内の資料を検索させる | AI Searchの概要 |
| 利用者ごとのファイル | 利用者(テナント)やエージェントごとに、自分のファイルを上げて検索させる | AI Searchの概要 |
| サイトに検索窓を足す | 埋め込める検索部品 | AI Searchの概要。How-toに「Add search to your website」の題名 |
公式の使い方ガイドの題名には、ほかに「Bring your own generation model」「Show source citations in responses」「Connect your AI Search to an MCP client」「Fetch and index single web pages」「Human-in-the-loop knowledge base updates」「NLWeb」「Multitenancy」「Search across multiple instances」「Create a simple search engine」「Talk to your knowledge base」があります。これらは題名だけを確かめ、中身は読めていません。
機能4:Agents SDKで状態を持つエージェントを作る
公式のAgentsの概要は、Agents SDKを、永続的な記憶、リアルタイム接続(WebSocket)、予定された作業を持つ、状態つきAIエージェントを作るツールと説明しています。特徴は、エージェントごとの身元(identity)とローカルのSQL保存、リアルタイム接続、予定された作業、実行の復旧、世界規模のデプロイです。
構成は、公式の説明では4つの部品です。①接続の口(チャット、メール、音声、Slack、Webhook)、②エージェントのハーネス(モデルを呼び、ツールを選び、結果を扱うループの部分。公式の概要ページでは、Durable Object内で動くPiハーネスを使うか、Agents SDKの実行環境の上に自作のループを組むか、が示されています。ハーネスのページには、ほかに実験段階のOpenCodeも並んでいます)、③Agents SDKの実行環境(Agent クラス、状態、セッション、ルーティング、スケジュールなど)、④ツール(Sandbox、MCP、Browser、AI Search、Payments、Code Mode)です。
始め方は、公式のクイックスタートで、npm create cloudflare@latest -- --template cloudflare/agents-starter から始め、npm run dev で試し、npm run deploy で公開します。概要ページには、このスターターは既定でWorkers AIを使うのでAPIキーは要らず、OpenAI、Anthropic、Google Geminiなども使える、と書かれています。各エージェントはDurable Objectsとして動き、設定に durable_objects.bindings と migrations が要る、とクイックスタートは書いています。
制限のページには、アカウントあたりの同時に動くエージェントが「数千万以上」、1エージェントあたりの状態が1 GB、計算時間がリクエストごとに30秒(リセットされる)といった数字があります。
| 場面 | できること | 公式のどこに書かれているか |
|---|---|---|
| チャットで話すAI | ストリーミングで答え、ツールを呼び、人の承認を挟む | 「Build a chat agent」の説明 |
| 例のエージェント | Pi、チャット、Slack、音声、ブラウザ、メールの例 | Agentsの概要の「Example agents」 |
| 既存のWorkersに足す | SDKを既存のアプリに入れる | 「Add Agents to an existing project」 |
| テスト | VitestとWorkersのテスト環境で試す | 「Testing your Agents」 |
土台:WorkersとPages
公式のWorkersの概要は、使い道として、CDN上のフロント、Smart PlacementつきのバックエンドのAPI、Workers AIでのAI推論、定期実行(cron)、Workflows、Queuesによるバックグラウンドの仕事を挙げています。静的なファイルのリクエストは、WorkersでもPagesでも、無料で無制限と書かれています。PagesのFunctionsのリクエストは、Workersのリクエストとして請求されます。
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。公式の説明を写したものです。
- 「ベータ」の表示は、個別のモデルにはありました。製品全体のベータの表示は、読んだ範囲では見つかりませんでした。変わる可能性があるので、公式のページで確かめてください。
- 題名だけを確かめて、中身を読めていない機能(fine-tunes、markdown conversion、AI Searchの個別のHow-toなど)は、できることを推測して書いていません。
- どの場面も、「公式がそう書いている」ことの紹介です。実際に仕事で使えるか、品質や速度がどうかは、この記事では確かめていません。
- 規約や契約、個人情報の解釈は、専門家や公式に確認してください。この記事は法律の助言ではありません。
出典
- Workers AI overview(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- Workers AI models(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- Workers AI pricing(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- Workers AI limits(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- Workers AI: Get started with REST API(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- Workers AI: Get started with Workers and Wrangler(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- Workers AI: OpenAI-compatible API endpoints(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- AI Gateway overview(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- AI Gateway: Get started(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- AI Gateway: Caching(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- AI Gateway: Logging(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- AI Gateway: Unified Billing(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- AI Gateway pricing(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- AI Search overview(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- AI Search: Docs index(llms.txt)(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- AI Search: Data source(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- AI Search: How AI Search works(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- AI Search (formerly AutoRAG) now with More Models To Choose From(Cloudflare Changelog、2025-09-25、確認日 2026-10-23)
- Agents overview(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- Agents: Get started(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- Agents quick start(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- Agents limits(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- Workers overview(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)
- Pages Functions pricing(Cloudflare Docs、確認日 2026-10-23)