| 日本 | 著作権法30条の4は、著作物に表現された思想・感情を自分で味わったり他人に味わわせたりする目的ではない利用(例として情報解析)を、必要な限度で、どの方法でも認めています。ただし、著作物の種類や用途、利用のしかたに照らして著作権者の利益を不当に害する場合は対象外とされています。文化庁の「考え方」は、AI学習のための情報解析はこの規定の典型例としつつ、少量の作品群の創作的表現を出力させる目的の追加学習のように「享受目的」が併存する場合は適用されないとしています。この「考え方」自体に法的拘束力はなく、個別の事案は専門家や裁判所の判断によります。 | 著作権法30条の4/文化庁(文化審議会著作権分科会法制度小委員会)「AIと著作権に関する考え方について」(2024-03-15) 法律 | 著作権法 第30条の4(e-Gov法令検索のAPI表示、確認日 2026-10-23)AIと著作権に関する考え方について(文化庁、令和6年3月15日、確認日 2026-10-23)AIと著作権に関する考え方について【概要】(文化庁著作権課、令和6年4月、確認日 2026-10-23) |
| 日本(文化庁のチェックリスト) | 文化庁の「チェックリスト&ガイダンス」は、AI開発者・提供者に対し、30条の4の要件と利益を不当に害しないかの確認、有償のAI学習用データベースを無断で複製しないこと、robots.txtなどの技術的制限を回避しないこと、海賊版サイトと知りながら学習元にしないことを挙げています。要件を満たせない場合はライセンス契約などで許諾を得ること、学習データの出所や学習過程を記録することも挙げられています。 | 文化庁著作権課「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024-07-31) 指針 | AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス(文化庁著作権課、令和6年7月31日、確認日 2026-10-23) |
| 米国 | 米国著作権局のAI報告書 第3部(2025年5月の事前公開版)は、学習用データセットを作る工程は複製権に関わり、学習の過程も複製権に関わる、と書いている。フェアユースについては、事情に応じた比較衡量で判断するという枠組みを示している(この資料の範囲)。個別の事件には踏み込まないとしている。連邦地裁の判断は事件ごとに分かれていて、Bartz事件は書籍での学習への使用をフェアユース、海賊版の書籍で作った中央ライブラリはフェアユースでないとした。Kadrey事件は記録の範囲でMetaを勝たせたが、学習が一般に適法とは判断していない。Ross事件の控訴審は、生成AIでない検索ツールの学習用利用をフェアユースでないとした。法的判断は専門家に確認。 | 米国著作権局 Copyright and Artificial Intelligence Part 3(事前公開版、2025年5月)。Bartz v. Anthropic(N.D. Cal.)、Kadrey v. Meta(N.D. Cal.)、Thomson Reuters v. ROSS(第3巡回区)の裁判所文書。 報告書 | Copyright and Artificial Intelligence, Part 3: Generative AI Training, Pre-Publication Version(米国著作権局、2025年5月)(確認日 2026-10-23)Copyright and Artificial Intelligence(米国著作権局のAIページ)(確認日 2026-10-23)Bartz v. Anthropic PBC, Order on Fair Use, 2025-06-23(米国連邦地方裁判所 北部カリフォルニア地区、govinfo掲載)(確認日 2026-10-23)Kadrey v. Meta Platforms, Inc., Order on summary judgment (Dkt. 598), 2025-06-25(北部カリフォルニア地区、govinfo掲載)(確認日 2026-10-23)Thomson Reuters Enterprise Centre GmbH v. ROSS Intelligence Inc., No. 25-2153, 2026-09-29(第3巡回区連邦控訴裁判所)(確認日 2026-10-23) |
| EU | AI Act 第53条は、汎用AIモデルの提供者に、EUの著作権法を守るための方針を作ることと、学習に使った内容の十分に詳しい要約を公開することを求めている(欧州委員会の条文ページ)。これらの義務は2025-08-02から適用され、欧州委員会の執行権限は2026-08-02から適用されると、欧州委員会のガイドラインのページに書かれている。 | AI Act(規則 (EU) 2024/1689)第53条1項(c)(d) 法律 | AI Act 第53条(GPAIモデル提供者の義務)(欧州委員会 AI Act Service Desk、確認日 2026-10-23)GPAIモデル提供者向けガイドライン(欧州委員会、確認日 2026-10-23) |
| EU | DSM指令4条は、適法にアクセスできる著作物について、テキスト・データマイニング(自動分析)のための複製・抽出を認める例外を加盟国に求めている。複製物は分析に必要な間は保持できる。ただし権利者が適切な方法で明示的に留保していない場合に限る。AIの学習がこの例外に入るかどうかは、条文だけでは決まらない(専門家に確認)。 | DSM指令 第2条(2)、第4条1〜3項 法律 | 指令 (EU) 2019/790 デジタル単一市場における著作権指令(EUR-Lex、確認日 2026-10-23) |
| EU | ドイツのミュンヘンI地方裁判所は2025-11-11、歌詞を学習したGPT-4/4oをめぐるGEMA対OpenAIで、歌詞がモデルに再現可能な形で入っていれば複製にあたり、TDM例外(ドイツ著作権法44b条)はモデル内での複製には及ばないと判断したと発表している。学習用データの準備段階の複製にはTDM例外が適用されうるとも述べている。判決は確定していない。 | LG München I 判決 42 O 14139/24(報道発表) 報告書 | 報道発表11/2025 GEMA対OpenAI判決(ミュンヘンI地方裁判所(バイエルン州司法省掲載)、確認日 2026-10-23) |
| EU | ハンブルク高等裁判所は2025-12-10、画像データセット作成をめぐる事件で、TDM例外(44b条)は適用できると判断したと発表している。この事件では代理店サイト上の留保に機械可読性がなかったため、複製は許されるとした。学術研究の例外(60d条)にも当たるとした。上告が許可されており確定していない。 | OLG Hamburg 5 U 104/24(報道発表) 報告書 | KIと著作権:ハンザ高等裁判所が控訴を棄却(報道発表)(ハンブルク高等裁判所 報道室、確認日 2026-10-23) |
| 英国 | 英国政府は2026-03に、AI開発での著作物の利用に関する報告書と影響評価を公表した。報告書は、著作権は属地的で、多くのモデルは米国で学習されフェアユースが主張されると説明し、「オプトアウト付きの広い例外」はもはや政府の望ましい進め方ではないと書いている。学習については、さらに証拠を集め、他の政策も検討するとしている。 | Report on Copyright and Artificial Intelligence(2026-03) 報告書 | Report on Copyright and Artificial Intelligence(英国政府(DSIT・IPO)、確認日 2026-10-23) |
| 英国 | 英国高等法院は2025-11-04のGetty Images対Stability AIで、原告が英国内での学習の証拠がないとして学習・開発の請求を取り下げたと判決文に書いている。英国内で学習が侵害にあたるかは、この事件では判断の対象になっていない。 | [2025] EWHC 2863 (Ch) 法律 | Getty Images v Stability AI [2025] EWHC 2863 (Ch) 判決文(PDF)(英国司法府、確認日 2026-10-23)Getty Images v Stability AI 判決ページ(英国司法府、確認日 2026-10-23) |
| 各社の規約 | OpenAIのEU向け規約は、サービスの提供・改善のために利用者のコンテンツを使えるとし、アカウント設定でオプトアウトできると書いている。Anthropicの消費者向け規約は、素材をモデルの学習に使うことがあり、アカウント設定でオプトアウトできると書いている(フィードバックや安全審査の対象は例外)。GoogleのGemini API規約は、無料サービスでは送信内容を製品改善に使い、有料サービスでは入力や応答を製品改善に使わないと書いている。 | 各社の利用規約(OpenAI EU向け、Anthropic消費者向け、Gemini API追加規約) 規約 | EU向け利用規約(Terms of Use)(OpenAI、確認日 2026-10-23)Consumer Terms of Service(Anthropic、確認日 2026-10-23)Gemini API Additional Terms of Service(Google、確認日 2026-10-23) |