3行でいうと

  • アプリ・Webでは、入力、指示、生成された回答が、暗号化と厳格な去識別化をしたうえで、モデルの改善に使われることがある、と公式のヘルプとプライバシーポリシーの両方に書かれています。やめるには、設定画面ではなく、カスタマーサポートへのメールと本人確認が要ります。反映まで5〜7営業日、対象はアカウント単位です。
  • 履歴の削除は、会話ごとの「删除」で行います。公式は、削除すると共有リンクも使えなくなり、リンク用の複製も持たない、と書いています。ただし、法令で保存が必要なネットワークログは、削除後も残ると書かれています。アカウントの削除は取り消せません。
  • アプリの個人情報は中国本土に保存され、国外には別の同意と法令の遵守がなければ提供しない、と書かれています。準拠法も中国本土の法律で、中国語版と英語版が食い違えば中国語版が優先です。APIは別の枠組みで、運営会社はシンガポールの法人、保管先はシンガポールのサーバー、準拠法はシンガポール法と書かれています。
  • Kimi Code CLIは、設定、会話の記録、ログ、認証情報を手元の ~/.kimi-code/ に置きます。公式の文書に、テレメトリ(利用状況の自動送信)の説明は、読んだ範囲では見つかりませんでした。

この記事は、公式ドキュメントを2026年10月24日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。運営者はKimiを入れていますが、使い心地はこの記事には書いていません。コマンド、パス、メニュー名は、公式ページの表記を写したもので、動作確認はしていません。公式ページは要約として取得したため、細かい条件や条番号の細部は、原文で確かめてください。プライバシーポリシーや規約の解釈は、法律の助言ではありません。会社や組織として使う場合は、専門家に確認してください。

先に結論

前提:用語をそろえる

入口ごとに、どの規約が当てはまるか

公式の資料から、入口ごとに「読めたもの」を整理します。ここが一番混ざりやすいところです。

入口 読んだ公式の資料 準拠法・保管先として読めたこと 確かさ
Kimi(アプリ・Web) 利用規約、プライバシーポリシー(ともに2026年8月24日更新、8月31日施行)、ヘルプ「データ使用と共有」 準拠法は中国本土の法律。個人情報は中国本土に保存 文書に書かれている
Kimi Business(企業版) ヘルプ「Kimi Business 企業版FAQ」 企業データは学習に使わない、個人の空間と企業の空間は独立、と書かれている。保管先は、FAQには書かれていない 文書に書かれている
Kimi Work(デスクトップ) ヘルプ「Kimi Work 常見問題」 権限のモードは書かれているが、アップロードされるデータ、保存場所、保存期間の記載は、読んだページにはない 書かれていない(読んだ範囲では)
Kimi Code CLIの公式文書、ヘルプのFAQ 会員の地域で接続先が違う。データの扱いの説明は、FAQにはなく、一般の問い合わせ窓口(ヘルプのユーザーフィードバック)が案内されている 確認できず
Kimi Claw ヘルプ「ファイルの送受信」 保存期間、暗号化、学習への利用可否の記載は、読んだページにない 書かれていない(読んだ範囲では)
Open Platform(API) 利用規約(2026年7月30日更新)、プライバシーポリシー(2025年4月30日更新)、ZDRの説明 運営会社はシンガポールの法人、保管先はシンガポールのサーバー、準拠法はシンガポール法 文書に書かれている

アプリのプライバシーポリシーは、対象の範囲を、Web(kimi.com)、Kimiのアプリ(モバイルとPC)、Kimi Clawのアプリ、ミニプログラムと書いています。また、別のプライバシーポリシーがある製品は、そちらが先に適用される、とも書かれています。Kimi CodeとKimi Workに、別のプライバシーポリシーがあるかどうかは、読んだ範囲では見つけられませんでした。海外向けのドメイン(kimi.ai)が、このポリシーの対象に入るかどうかも、ポリシーの対象範囲の記載からは確認できていません。

アプリ・Webに入れた内容:公式が書いていること

何が集められるか

プライバシーポリシーの「集める情報」の整理です。会話の内容だけではありません。

区分 公式に書かれている内容 確かさ
利用者が渡す情報 電話番号などのアカウント情報、アップロードした文章、画像、音声、動画、ファイル、問い合わせ、有料会員の注文情報 文書に書かれている
自動で集まる情報 端末の機種、OSのバージョン、端末の識別子、ネットワーク情報、ログ、アクセス時刻、IPアドレス、クッキーなど 文書に書かれている
会話と使用の記録 入力、出力、使用量(クォータ)の記録 文書に書かれている
そのほか挙がっているもの 精密な位置情報、クリップボードの内容、声紋。声紋と精密な位置情報は、ポリシー上「敏感な個人情報」とされ、処理には別の同意が要る 文書に書かれている
端末の権限 マイク、カメラとフォト、精密な位置情報、保存領域や通知など。許可しなければ、関係する機能だけが使えなくなる 文書に書かれている

クリップボードについては、入力欄に貼り付けるときなど、必要な場合にだけ使う、と書かれています。ここは、アプリを入れたときに権限を聞かれる項目として、頭に入れておくと安心です(見立てです)。

学習への利用

ヘルプ「データ使用と共有」とプライバシーポリシーは、同じ趣旨を書いています。入力データ、指示、生成された回答を、安全な暗号化処理をし、厳格に去識別化し、特定の個人を再識別できない前提で、モデルの性能と製品体験の改善に使うことがある、というものです。

利用規約は、少し違う言い方をしています。利用者が入力と出力についての権利を持つ(他人の権利を侵さず、規約を守る場合)としたうえで、利用者は、Moonshot AIに、法令の範囲で、入力と出力を「モデルのサービスの最適化」に使う無償の許諾を与える、と書いています。この使われ方を望まない人は、連絡先に申し出る、とも書かれています。規約の第5.3条は、許諾の文では「モデルのサービスの最適化」(模型服务优化)と書き、すぐ後の申し出の文では「モデルの学習」(模型训练)と書いています。同じ条の中で両方の語が使われています。2つが同じ範囲かどうかは、読んだ範囲では分かりません。

やめる方法(オプトアウト)

ヘルプ「データ使用と共有」に書かれている手順を、順番に並べます。

  1. カスタマーサポートに、メールで申し出ます。メールアドレスは、ヘルプのページ上では保護表示になっていて、僕らが取得した要約では実際の宛先が読めませんでした。ヘルプのページを開いて確かめてください。
  2. サポートが、身元(本人確認)を確かめます。
  3. 確認が済んでから、5〜7営業日以内に登録が完了し、以後その内容は学習に使われなくなります。

範囲についての記載は次のとおりです。

項目 公式に書かれていること 確かさ
対象の単位 アカウント単位の一括のみ。会話ごと、ファイルごとの選択はできない 文書に書かれている
過去のデータ 登録の完了後は、過去のデータと、今後のデータの両方が、学習データから外れる 文書に書かれている
使い続けられるか アカウント、会員の権益、過去の会話の履歴は、変わらない 文書に書かれている
アプリ内のスイッチ プライバシーポリシーは、学習についてのアプリ内のオプトアウトは書いていない、と読めた(メモリのオン・オフは別) 書かれていない(読んだ範囲では)

第三者への共有

ヘルプは、本人の同意がない限り、法律上の要求がある場合と、製品の機能の提供に必要な場合を除いて、関連会社、提携先、広告主などの第三者に、個人の会話データを共有、販売、提供しない、と書いています。プライバシーポリシーの第4条は、もう少し細かく書いています。

「第三者への情報共有のリスト」が別に用意されていて、ポリシーの第4.2条からリンクされている、と書かれています。そのリストは、読めていません。

保存場所と国外提供

ヘルプとポリシー(第5.1条)は、個人情報を中国本土に保存する、と書いています。国外への提供は、利用者が別に同意し、国の法律にも合う場合でなければ行わない、とあります。ヘルプは、保存先を「安全基準を満たしたサーバー環境」とし、暗号化とアクセス制御で、不正なアクセス、漏えい、紛失を防ぐ、と説明しています。ポリシーの第6条は、通信の暗号化、定期的なセキュリティの点検、アクセスの管理、バックアップ、漏えいの監視を挙げ、漏えいが起きたら、影響を受ける利用者に知らせ、監督当局に報告する、と書いています。同じ条には、絶対の安全は保証できない、という趣旨の文もあります。

保存期間

ポリシー(第5.2条)は、サービスの目的に必要な期間だけ保存する、法令が別に定める場合を除く、としています。サービスを終了するときは、SMSか告知で知らせ、合理的な期間内に個人情報を匿名化するか削除する、とあります。具体的な日数は、ヘルプにも、ポリシーにも、利用規約にも、読んだ範囲では見つかりませんでした。

履歴を消す:会話、共有リンク、メモリ、アカウント

「消す」にも種類があります。公式の記載を、消したいものごとに並べます。

消したいもの 公式に書かれている手順・扱い 残るもの・注意 確かさ
1つの会話 アプリまたはWebで、その会話の「删除」を押す(プライバシーポリシー第7.2条には「删除会话」ボタンとある)。画面の具体的な位置は、ヘルプには書かれていない 関連データは、ポリシーの第5条の処理の流れに従って扱われる。ヘルプは、手動で削除した会話は、復元も閲覧もできない、と書いている 文書に書かれている
その会話の共有リンク 会話を削除すると、作ってあった共有リンクも無効になり、他の人は開けなくなる プラットフォームは、そのリンクで見られる複製を持たない、と書かれている 文書に書かれている
メモリ(記憶) 会話で「忘れて」「全部消去して」と伝える。または、個人ページ、設定、記憶指令の画面から、個別に削除する 記憶をオフにする具体的な操作は、読んだページには書かれていない 文書に書かれている
誤って入れた機密情報 まず、その会話を削除する。身分証、銀行カード、法律文書などの場合は、そのあと、カスタマーサポートにメールする。件名に情報の種類を書くと、優先して処理される、とある 削除だけで足りるとは書かれていない 文書に書かれている
アカウントごと 「设置」、「账号安全」、「删除账号」から申請する。審査がある 取り消せない。有料の権益も消える。会話、アップロードしたファイル、メモリのデータは、削除の手続きの対象になる 文書に書かれている

削除しても残るもの。 ヘルプの会話FAQは、法令(サイバーセキュリティ法など)によって、プラットフォームは、一定の期間、ネットワークのログ(操作の時刻、アカウントの識別子など)を保存しなければならない、と書いています。このログは、安全やコンプライアンスの確認と、監督当局の確認のために使い、利用者の同意なしに、ほかの目的には使わない、とあります。アカウントの削除のページも、法令で保存が必要な情報は、最短の法定期間だけ残り、期間が終わったら、削除か匿名化される、と書いています。この「一定の期間」の日数は、どちらにも書かれていません。

消しても戻らない。 削除のページは、アカウントの削除は取り消せない、誤って削除した会話の復元の依頼にも応じない、と書いています。削除の前に、必要なデータをバックアップしておくよう勧めています。

会話の中で消してもだめなもの。 会話FAQには、同じ会話の中で、過去のメッセージを消しても、文脈の窓は空かない、新しい会話を始める必要がある、とあります。これは「消す」ではなく「文脈の長さ」の話ですが、「同じ会話の中で、さっき入れた内容を消したつもりになる」勘違いを防ぐ記載として、挙げておきます(見立てです)。

誤って機密を入れたとき、「いつ何ができるか」を時系列にまとめます。公式の手順を、僕らが並べ直したものです。

タイミング できること 公式に書かれていること 確かさ
今すぐ その会話をアプリかWebで削除する。共有リンクを作っていたら、削除で無効になる 手動で削除した会話は、復元も閲覧もできない 文書に書かれている
当日 身分証、銀行カード、法律文書などなら、カスタマーサポートにメールする。件名に情報の種類を書く 件名に種類があると、優先して処理される 文書に書かれている
必要なら 学習への利用をやめる申し出(アカウント単位、本人確認あり) 登録の完了まで5〜7営業日 文書に書かれている
消えない可能性 法令で保存が必要なネットワークログ。バックアップの扱い 日数は書かれていない。すべての複製が消える保証も、読んだ範囲では書かれていない 書かれていない(読んだ範囲では)
機密情報を誤って入れたとき:公式の手順を、順番に
  1. その会話を、クライアント(アプリかWeb)で削除する。
  2. 内容が、身分証、銀行カード、法律文書などにあたる場合は、削除のあとに、カスタマーサポートにメールする。
  3. メールの件名に、情報の種類(身分証、銀行カード、法律文書など)を書く。公式は、優先して処理される、と書いています。
  4. 学習への利用が心配なら、別に、上で説明したオプトアウトの手続きを行う。アカウント単位で、5〜7営業日かかります。
  5. 公式のどのページにも、この手順を踏めば、サーバー上のすべての複製が消える、という保証は、読んだ範囲では書かれていません。バックアップや、法令で残るログの扱いは、日数も含めて書かれていないためです。

メモリ機能:会話をまたいで残るもの

メモリは、会話の履歴とは別の仕組みです。公式のヘルプ「記憶空間」を整理します。

利用規約が、利用者に求めていること(入れる前に)

学習の話と並んで大事なのが、「何を入れてよいか」を、規約が利用者の責任として書いている点です。利用規約(2026年8月24日更新)の第4条を整理します。

入力する内容 規約に書かれていること 確かさ
国家秘密など 国家秘密、国家の安全や公共の利益を害するおそれのあるデータは、入力に含めない 文書に書かれている
他人の権利 他人の知的財産、肖像、名誉、プライバシーの権利を侵す内容は入れない 文書に書かれている
他人の個人情報 その本人の十分な説明を受けた同意(機微な情報は別の同意)か、適法な匿名化が必要 文書に書かれている
14歳未満の機微な個人情報 入れてはならない 文書に書かれている
営業情報、とくに営業秘密 処理する権利が自分にあること。アップロードの前に、脱敏(敏感な部分の除去や加工)しておく 文書に書かれている
未成年者の情報や素材を含む内容 慎重にアップロードする。アップロードすると、規約に書かれた処理に同意したものとみなされる(第11.3条)。保護者の同意を求める記載(第11.4条)は、未成年者がサービスを使う場合のものとして読めた 文書に書かれている

そのほか、規約には次の記載があります(いずれも、読んだ範囲での要約です)。

中国系のサービスを使うときに、公式が書いていること(読めた範囲)

Kimiは、中国のMoonshot AIのサービスです。このことが、使う側に何を意味するのかを、公式の記載だけで整理します。評価や政治的な判断はしません。

論点 公式に書かれていること 確かさ
運営者 プライバシーポリシーと利用規約の運営者は、北京月之暗面科技股份有限公司とその関連会社。APIの規約とプライバシーポリシーの運営者は、MOONSHOT AI PTE. LTD.(シンガポール) 文書に書かれている
準拠法と紛争 アプリは中国本土の法律。まず協議し、だめなら、運営会社の登記上の所在地を管轄する裁判所。APIはシンガポール法で、60日の協議のあと、SIACの規則による仲裁(開催地はシンガポール、言語は英語) 文書に書かれている
言語 アプリの規約とポリシーは、中国語版と英語版が同じ効力で、食い違えば中国語版が優先 文書に書かれている
保管場所 アプリは中国本土。APIはシンガポールのサーバー。ただし、APIのポリシーには、居住国の外に保存されることがあり、適切な保護措置を取る、という文もある 文書に書かれている
国外への提供 アプリの個人情報は、別の同意と法令の遵守がなければ、国外に提供しない 文書に書かれている
保存が必要なログ 法令により、ネットワークのログを一定期間、保存する。アカウントの削除後も、登録情報と活動のログは、法令の範囲で保存される 文書に書かれている
入力に含めない内容 国家秘密や、国家の安全を害するおそれのあるデータ(利用規約第4条) 文書に書かれている
AI生成の表示 見える表示と見えない表示が既定で付く。消してはならない(第6.3条)。ただし見える表示は、公式の機能か承認を得た申請で外せる場合がある(第6.2条。条件は読めていない) 文書に書かれている
地域の制限 利用規約は、サービスを特定の国や地域に限る、という記載をしていない、と読めた。APIの規約は、輸出管理と制裁の法令に違反する使い方、全面的に制裁されている国での使用、リストに載った相手の使用を禁じている 文書に書かれている

僕らの見立てです。上の表は、「中国のサービスだから危ない」とも「問題ない」とも言っていません。公式の書き方から読み取れるのは、①アプリの個人情報は中国本土に置かれ、中国本土の法律で扱われる、②APIはシンガポールの法人とシンガポール法で、別の枠組み、③どちらも、保存の日数は書かれていない、ということです。自分や組織の事情(取引先との契約、社内の規則、扱う情報の種類)に照らして、どの入口なら入れてよいかは、組織の担当者か専門家と決めるのが安全です。

APIを使うとき(Open Platform)の扱い

APIは、アプリの会員とは別の課金と別の規約です(02に書きました)。データの扱いを、アプリと並べます。

項目 アプリ・Web API(Open Platform) 確かさ
運営会社 北京の会社 シンガポールの会社 文書に書かれている
保管先 中国本土 シンガポールのサーバー 文書に書かれている
学習への利用 去識別化したうえで使うことがある。やめるにはメール サービスの提供と改善のために、内容を使うことがある。制限するには、企業向けの取り決めか、別の書面が要る 文書に書かれている
所有権 利用者が持つ(法令の範囲) Moonshot AIは所有権を主張しない。ただし、利用者が、入力の権利を持つことを保証する 文書に書かれている
削除 会話ごとの「删除」。アカウントの削除は取り消せない アカウントの削除は取り消せず、残高も失う。終了後は、法令に従って、内容とデータを削除する 文書に書かれている
保存期間 日数の記載なし 固定の日数の記載なし。ポリシーは、アカウント、入力、支払いの情報は、アカウントが有効な間、保存する、と書く 文書に書かれている

APIの規約が利用者に求めること。 個人データをAPIで処理するなら、法的に十分なプライバシーの告知をし、必要な同意を得て、法令に従う責任は利用者にあります。HIPAAの対象の医療情報(PHI)の処理には使えない、とも書かれています。Moonshot AIは、内容を定期的にバックアップしますが、損失や破損を防ぐ保証はしないので、完全で正確な写しを、サービスの外に自分で持つよう書かれています。支払いの争いは、請求から30日以内に書面で申し立てないと、受け入れたものとみなされます。責任の上限は、直前の12か月に払った料金です(重過失、故意、秘密保持違反、データ保護違反などの除外があります)。

APIのプライバシーポリシー。 最終更新は2025年4月30日と表示されています。集める情報には、利用者の内容(APIの依頼の内容を含む)が挙がり、モデルの最適化に使う、と書かれています。サービスの提供者(ホスティング、カスタマーサポート、クラウド、決済など)に処理を委託する場合があり、具体的な事業者名は書かれていません。Googleなど、第三者のアカウントでのログインに触れた記載もあります。連絡先は api-service@moonshot.ai です。

ZDR(Zero Data Retention)は、何を、どこまで守るのか

公式の説明ページから整理します。

  • 何か。 企業のお客様向けの、データ保護のモード。有効にすると、依頼の内容は、応答を作っている間だけ処理され、応答を返したらすぐに削除されます。法令が保存を求める場合だけ、残ります。
  • 対象。 企業のお客様だけで、依頼があった場合に使えます。申し込みは、営業チームへの連絡です。
  • 守られるもの。 プロンプト、モデルの応答。APIの呼び出し方、パラメータ、課金は変わらない、と書かれています。
  • 守られないもの。 バッチAPIは非対応。File Upload APIで直接送った画像と動画は、保証できない。セキュリティのログと課金の記録は、対象外。第三者のモデル、コネクタ、プラグインが処理するデータも、対象外。
  • 副作用。 内容が残らないので、あとから特定の依頼の内容をたどれません。トラブルの調査のために、利用者が自分でリクエストのログを持つよう書かれています。
  • 学習との関係。 この説明ページは、企業のお客様のデータは学習に使わず、既定でも、Open Platformは企業のお客様のデータを学習に使わない、と書いています。一方、APIの利用規約は、内容を提供、維持、開発、改善に使うことがあり、制限には別の書面が要る、と書いています。2つの文書は、対象の言い方(企業のお客様か、利用者一般か)が違い、読んだ範囲では、食い違いを説明する記載は見つかりませんでした。どちらが自分に当てはまるかは、契約の種類によるため、営業か専門家に確認してください。
  • 保存期間の数字。 例外のデータ(セキュリティのログなど)の保存期間は、書かれていません。

APIにファイルを送るとき。 ファイルのアップロードの公式ページ(API仕様)には、1ファイル100MiBまで、ファイル数の上限はなし、組織ごとの保存容量の上限(既定10GiB)と書かれています。アップロードしたファイルをどれだけの期間保存するかは、読んだページには書かれていませんでした。削除は DELETE /v1/files/{file_id} で、公式は英語で「Deletion is permanent.」(削除は取り消せない)と書いています。公式の「ファイルベースのQ&A」のガイドは、使い終わったファイルを消して容量を空けるよう勧め、一覧のAPIで全部を取り、削除のAPIを1つずつ呼ぶ例を挙げています。ただし、その例は、アップロードしたすべてのファイルを消すので、まだ使うファイルまで消えうる、という点に注意が要ります。

削除のページ(Delete File)に載っている公式の例は次のとおりです(動作確認はしていません)。

curl -X DELETE https://api.moonshot.ai/v1/files/file_xxx \
  -H "Authorization: Bearer $MOONSHOT_API_KEY"

成功すると、id(消したファイルのID)、object(常に "file")、deleted(true)が返る、と書かれています。エラーは、401(APIキーが無効か無い)、404(ファイルが見つからない。すでに消えている場合も同じ)、500(サーバーの異常)です。404が返ったときは、IDの打ち間違いか、すでに削除済みかを疑う、と読めます(見立てです)。

また、抽出したファイルの内容は、チャットの依頼のメッセージに入って送られるので、APIに送る内容に含まれます。

Kimi Code CLI:手元に残るもの

Kimi Code CLI(コマンド kimi)は、手元の ~/.kimi-code/ に、データを置きます。公式の文書(データの置き場所のページ)の記載を整理します。

場所 中身 確かさ
config.toml 主な設定(接続先、モデル、動作の制御)。02に書いたとおり、APIキーが平文で入りうる 文書に書かれている
sessions/<workDirKey>/<sessionId>/ と session_index.jsonl 会話の記録。中の agents/main/wire.jsonl に、会話の全記録と、デバッグ用の依頼の記録(道具のスキーマ、依頼のパラメータ、MCPの道具の一覧)が入る 文書に書かれている
user-history/ 端末で打ったプロンプトを、作業フォルダごとに保存(矢印キーでの呼び出し用) 文書に書かれている
logs/kimi-code.log と、セッションごとのログ 起動、ログイン、書き出しなどの記録と、診断のログ 文書に書かれている
credentials/ OAuthのトークンなど。ディレクトリは 0o700、ファイルは 0o600 で、今のユーザーだけが読める 文書に書かれている
credentials/mcp/ MCPサーバーの認証情報 文書に書かれている
tui.toml 端末の画面まわりの設定。自動更新のスイッチ([upgrade] の auto_install)もここ 文書に書かれている
mcp.json、AGENTS.md、skills/ 利用者レベルのMCPサーバーの宣言、Kimi向けの共通の指示、スキル。どれも任意 文書に書かれている
plugins/installed.json、plugins/managed/ 入れたプラグインの記録と、zipやローカルのパスから入れたプラグインの複製 文書に書かれている
updates/ 自動更新が自動で管理するファイル。rollout.log は、更新の確認でどの段階配信の場合に当たったかの記録。ほかのファイルは、詳しい説明なし 文書に書かれている
locks/sessions/ 会話の記録を書き込む間に使うロック 文書に書かれている
sessions/…/state.json セッションのメタ情報(題名、最後のプロンプト、時刻、forkedFrom) 文書に書かれている

置き場所は、環境変数 KIMI_CODE_HOME で変えられます。公式の例は次のとおりです(動作確認はしていません)。

export KIMI_CODE_HOME="$HOME/.config/kimi-code"

消し方(公式の記載)。

セッションの文書(会話の記録のページ)は、セッションを消す方法は書いていない、と読めました。手で sessions/ の中のファイルを編集すると、会話を復元できなくなるおそれがあるので、編集しないよう書かれています。

不具合の報告に使う kimi export。 セッションのファイル一式と、既定ではグローバルのログ(~/.kimi-code/logs/kimi-code.log)をまとめて書き出します。グローバルのログを外すには、--no-include-global-log を付けます。公式は、書き出しに、機密のコード、コマンドの出力、ファイルのパスが含まれうるので、共有する前に確認するよう案内しています(原文は「Review the content before sharing」)。公式のページの例は、次の形です(動作確認はしていません)。

kimi export <sessionId>
kimi export <sessionId> -o ~/Desktop/my-session.zip

-o は、書き出すZIPの保存先です。sessionId を省くと、確認の質問が出て、-y を付けるとその質問を飛ばせる、と読めました。グローバルのログを外す --no-include-global-log は、公式のページに、コマンドの例としては載っていませんでした。

自動更新は、既定でオンです。 tui.toml の [upgrade] にある auto_install は、既定でオンと書かれています。切るには、/settings で無効にするか、tui.toml に auto_install = false と書きます。手元の道具が、自分の知らないうちに入れ替わりうる、という落とし穴なので、仕事の環境では、先に決めておくと安心です(見立てです)。

[upgrade]
auto_install = false

上の書き方は、公式の文の内容を、僕らがTOMLの形に書き起こしたものです。公式のページに、この形のコードブロックがあったかどうかは、読めていません。

サーバーへの送信。 データの置き場所のページに、テレメトリや自動アップロードの説明は、ありませんでした。自動更新が更新の確認をすることは書かれていますが、その確認で何が送られるかは書かれていません。「送られない」と言い切れる記載ではなく、「読んだ範囲では書かれていない」です。また、モデルに送る会話や、Kimi Codeの会員のデータが、アプリと同じ保管先と規約に従うかどうかは、公式のページからは確認できていません。接続先が、地域で違うことは確かめられました(Kimi Codeの会員の接続先は、国内が api.kimi.com、海外が api.kimi.ai。Open Platformは、国内が api.moonshot.cn、海外が api.moonshot.ai。公式のFAQ)。ただし、接続先ごとの保管先の説明は、読んだ範囲にありませんでした。

Kimi Workの「権限」と、Kimi Clawで気をつけること

Kimi Work(デスクトップ)。 ヘルプの常見問題は、権限のモードを3つ挙げています。

モード 公式の説明 確かさ
既定 通常の操作は自動。ファイルの変更や上書き、コードの実行など、重要な操作の前に、許可を求める 文書に書かれている
手動許可 すべての操作の前に許可を求める。同意なしには、何も起きない、と書かれている 文書に書かれている
全部 許可なしで直接実行する。ファイルの読み書き、コードの実行、システム設定の変更も、自動で行う 文書に書かれている

「全部」を選ぶと、ファイルの上書きや誤削除、システム設定の変更によるソフトの異常、ディスクの暗号化やパーティション、ファームウェアの変更による端末の制限や起動不能などが起こりうる、一部は取り消せず、データが完全に失われうる、と書かれています。このモードを有効にすることは、リスクを理解して受け入れたことになり、結果は利用者が負う、とあり、バックアップが勧められています。なお、このページには、どのデータがアップロードされるか、どこに保存されるか、いつまで保存されるかは、書かれていません。デスクトップで作った定時タスクはローカルで動き、アプリが起動している必要があります。Kimiのほうで作った定時タスクは、クラウドで動きます。

Kimi Claw。 ファイルの送受信のページは、画像やファイルを送ると、Kimi Clawが道具を使って内容を処理する、と説明していますが、保存期間、暗号化、学習への利用の可否は書かれていません。ヘルプの目次には、「記憶丢失と文脈の保存」(その中に「不续费记忆能留存多久?」、つまり契約を更新(続費)しないと記憶はどれだけ残るか、という見出しがあります)や、Android版の「安全と制限のあるアプリ」の節がありましたが、どちらも本文は読めていません。

最初の10分でやること(公式に書かれている範囲)

アプリ・Webで使う人向けの手順です。どれも、公式のページに手順が書かれているものだけです。

  1. 入口を決める。 アプリ・Web、APIか、企業版か。上の表で、準拠法と保管先を確かめる(1分)。
  2. データのページを読む。 ヘルプの「数据使用与共享说明」(データ使用と共有)を開き、学習、オプトアウト、第三者への共有の項を読む(3分)。
  3. ためしに、ダミーの会話を作って消す(これは僕らの提案で、公式の手順ではありません)。 個人情報を含まない会話を作り、その会話の「删除」を押して、一覧から消えることを確かめる。共有リンクを作った場合は、削除で無効になる、と公式は書いています(2分)。
  4. メモリを確かめる。 個人ページ、設定、記憶指令を開き、保存されている内容を見る。不要なものは、個別に消す(2分)。
  5. 学習のやめ方を知っておく。 やめるかどうかは決めなくてよいので、手順(メールで申し出、本人確認、5〜7営業日、アカウント単位)を、メモしておく(1分)。
  6. 誤送信の手順を、メモしておく。 会話を削除し、機密の内容ならメールで連絡し、件名に種類を書く(1分)。

APIやKimi Code CLIを使う人は、次の手順を足してください。

  1. APIキーは、環境変数に入れ、コードに直接書かない(公式の案内、02を参照)。
  2. APIに送るファイルは、使い終わったら、削除のAPIで消す(取り消せない点に注意)。
  3. Kimi Code CLIを使い始めたら、~/.kimi-code/ に何が溜まるかを、一度見に行く。共有の前の kimi export は、中身を確かめる。
  4. 企業で、ZDRのような保存しない仕組みが必要なら、営業に問い合わせる(公式の説明の手順)。

僕らの見立て:入れる前の、4つの質問

ここから先は、公式の記載を読んだうえでの見立てで、公式の推奨そのものではありません。入れる前に、次の4つを自分に聞いてみます。

質問 見立て
これは、他人の個人情報や、社外秘ではないか 規約が、他人の個人情報に同意か匿名化を、営業秘密に脱敏を、利用者に求めている。迷うなら入れない、が基本
入れた内容が、学習に使われても構わないか アプリでは、やめるには手続きが要る。構わなくない内容は、入れる前に考える。入れてしまった後で全部を取り戻せる、という記載は読んだ範囲にはない
消す必要が出たとき、どこまで消せるか 会話は消せるが、法令で残るログがある。アカウントの削除は取り消せない。日数が書かれていないので、「いつまでに消える」とは言えない
どの国の法律と、どのサーバーに関わるか アプリは中国本土の法律と国内の保管、APIはシンガポール。組織で使うなら、契約や社内の規則と照らす

迷ったときの判断の順番も、見立てとして図にします。上から順に、最初に当てはまったところで止まります。

他人の個人情報や営業秘密が含まれる
  -> 同意か匿名化、脱敏ができていない -> 入れない
学習に使われては困る内容
  -> アプリ・Web -> 入れない(やめるには手続きが要る)
  -> API -> 企業向けの取り決め(ZDRなど)の確認が先
消せなくなっても困らない内容
  -> 入れてよい(会話は後で削除できる)

この図は、公式の推奨ではなく、上の4つの質問を並べ替えただけのものです。

気をつけること

出典