3行でいうと

  • 予告期間の書き方は3社で違います。OpenAIは「一般提供のモデルは6か月以上」、Anthropicは「60日以上」、Googleは期間を書かず「最短で、この日以降に終わりうる」という日付の表です。
  • 公式の表から日数を数えると、Anthropicの4件は60〜62日、OpenAIの直近の発表は92日から184日と幅がありました。予告の長さは、ポリシーの文だけでなく、個々の行の日付を見て判断する必要があります。
  • 移行は、モデル名の差し替えだけで済まないことがあります。Anthropicの移行案内には、設定値が400エラーになる変更や、トークン数が約30%増える点が並んでいます。評価用の問題を用意して、移行前に比べるのが公式の流れです。

この記事では、まだ移行を行って確かめていません。この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。数字と日付は2026年10月22日に読み直して確認しました。廃止の日程は頻繁に変わります。

先に結論

前提:言葉の整理

3社が使う言葉は少しずつ違います。公式の定義を、僕らの言葉で言い換えました。

社 段階の呼び方(公式の定義の要約)
Anthropic Active(十分に支援され推奨)、Legacy(更新されず、将来非推奨になりうる)、Deprecated(まだ動くが推奨されない。後継と終了日が決まる)、Retired(使えない。要求は失敗する)
OpenAI Deprecation(廃止の手続き。発表と同時に有効で、必ず終了日がある)、Sunset/shut down(同じ意味で、アクセスできなくなること)、Legacy(更新されず、将来廃止される見込み)
Google 安定版(stable)、プレビュー(preview)、最新(latest)、実験(experimental)という版の種類があり、廃止ページは終了日の表として書かれている

ここでの「廃止」は、公式の「deprecation」を指します。Anthropicでは、Deprecatedの時点ではまだ動き、使えなくなるのはRetired(終了)の日です。「いつ使えなくなるか」は、段階の名前ではなく、終了日で見てください。

3社のポリシーの比べ方

OpenAI Anthropic Google(Gemini API)
予告期間 一般提供のモデルは少なくとも6か月。その派生(chat、Codex、deep researchなど)は少なくとも3か月。名前にpreviewが付くものは、2週間など短いこともある。安全や法令の理由があれば早まる 一般公開されたモデルは、終了の少なくとも60日前に通知 期間は書かれていない。表の日付は「最短でこの日以降に終わりうる日」。正確な日付は事前に知らせる、とある
通知の方法 メールでの通知、廃止ページ メールでの通知、文書(廃止のページ) 発表はリリースノートのページ。プレビューは「少なくとも2週間」の予告。最新(latest)の名前は、指す先が変わる2週間前にメール
プログラムでの確認 GET /v1/modelsなどのshutdown_date(YYYY-MM-DDかnull) 書かれていない(応答ヘッダーで知らせる、とは書かれていない) 読んだ範囲では見つからなかった
後継の案内 表に後継の記載 履歴の表に後継の記載 表に後継の記載
特記 専用の処理能力については、営業に相談するよう書かれている 日付はClaude API、AWS上のClaude、Microsoft Foundry。Amazon BedrockとGoogle Cloudは各自の日程で、日付が違うことがある gemini-3.5-flashとgemini-3.7-flashは終了日がなく、それぞれ新しい版の名前に自動でつながる、と書かれている

読んでいて気になった点が2つあります。

1つ目は、Anthropicの現行の状態を示す表の見出しが「Tentative retirement date」(暫定の終了日)であることです。終了日があとから動く可能性があります。廃止済みの履歴の表の見出しは「Retirement date」です。

2つ目は、Googleの2つのページの違いです。モデルの種類を説明するページでは、プレビューは「少なくとも2週間」の予告で廃止されうる、と書かれていますが、廃止ページには予告の期間は書かれていません。安定版の予告の長さは、読んだ範囲に見つかりませんでした。

実際の予告の長さを、表の日付から数える

ポリシーの文が「60日以上」「6か月以上」でも、実際の行がどうなっているかは別に見る必要があります。公式の表の「発表日」と「終了日」から、僕らが日数を数えました(数えたのは僕らで、公式が書いた数字ではありません)。

社 対象(公式の表の行) 発表日 終了日 日数
Anthropic claude-sonnet-4-5-20250929 2026-09-30 2026-11-30 61日
Anthropic claude-opus-4-1-20250805 2026-06-05 2026-08-05 61日
Anthropic claude-opus-4-20250514、claude-sonnet-4-20250514 2026-04-14 2026-06-15 62日
Anthropic claude-3-haiku-20240307 2026-02-19 2026-04-20 60日
OpenAI GPT-4o、GPT-4o mini、GPT-4.1とmini(指定の版) 2026-10-14 2027-01-14 92日
OpenAI gpt-5-2025-08-07など 2026-06-11 2026-12-11 183日
OpenAI 旧realtime/audio系 2026-07-20 2027-01-20 184日
OpenAI 旧スナップショット(GPT-4、o1など) 2026-04-22 2026-10-23 184日

Anthropicの4件は、どれも60日の下限のすぐ上に並んでいます。OpenAIは、92日の行と、180日台の行があります。2026年10月14日に発表されたGPT-4o系の行は92日で、同じページの「一般提供のモデルは少なくとも6か月」という文とのつながりを、僕らが読んだ範囲では確認できませんでした。同じページには、この行の短さについての注記は見当たりませんでした(要約を通した確認です)。使うモデルの行は、公式ページで直接見てください。

Googleは、表に廃止の発表日と読める列を確認できなかったので、日数を数えていません。

2026年10月22日時点で期限が近い公式の予定(抜粋)

次の行は、公式ページの表にあった、近い日付の例です。僕らが選んだ抜粋で、すべてではありません。残り日数は、2026年10月22日からの日数です。

社 対象 終了日 残り 後継(公式の表の記載)
Google veo-3.1系のプレビュー 2026-10-22 0日(この日) gemini-omni-1.1-flash
OpenAI 旧スナップショット(GPT-3.5、GPT-4、GPT-4 Turbo、o1、o3-mini、o4-mini、gpt-image-1、ファインチューニング版など) 2026-10-23 1日 行ごとに違う。gpt-5.6-terra、gpt-5.6-sol、gpt-5.6-luna、gpt-image-2.5-sunburst/gpt-image-2.5-flareのいずれか(対応は公式の表で確認)
Anthropic claude-sonnet-4-5-20250929 2026-11-30 39日 claude-sonnet-5-5
OpenAI GPT-4o系(gpt-4o-2024-08-06、gpt-4o-2024-11-20)、GPT-4o mini、GPT-4.1とmini 2027-01-14 84日 gpt-6-luna
OpenAI gpt-5.3-codex、gpt-5.1 2027-04-01 161日 gpt-6-sol

OpenAIのページには、モデルのほかに、Evals(評価の基盤)が2026年10月31日に読み取り専用、11月30日に終了、保存して呼び出す「Reusable prompts」(v1/prompts)が11月30日に終了、Agent Builderも11月30日に終了、という予定もありました。モデルの廃止と一緒に、周辺の機能も終わります。プロンプトの置き場所や回帰テストは、別記事で扱います。

モデル名や後継は、ページの表記を書き写したものです。

動くエイリアスと、固定されたIDの違い

Anthropicの「Model IDs and versioning」によると、モデルIDは固定された版を指し、「そのIDの寿命のあいだ、中身は変わらない」とされています。Claude 4.6以降の世代は日付のないID(例:claude-sonnet-4-6)で、これもエイリアスではなく固定です。それ以前は、日付つきのID(例:claude-sonnet-4-5-20250929)が固定で、日付なしの名前(例:claude-sonnet-4-5)はエイリアス、つまり最新の日付つきを指す「案内板」で、指す先が変わりうる、と書かれています。保証が及ぶのはIDのほうで、エイリアスには及びません。

ただし、同じ文書は、IDも重みも同じでも、サービス側の処理(リクエストの振り分け、安全のための分類器、サンプリングの処理など)が変わって、挙動に小さな違いが出ることがある、とも書いています。「固定していれば絶対に同じ」ではない、ということです。

OpenAIの「Prompt engineering」の文書は、本番のアプリを特定のスナップショットに固定することを勧めています。同じモデルの系統でも、スナップショットが違えば結果が違いうる、とも書かれています。

Googleのモデル紹介のページでは、安定版は特定のモデルを指していて、通常は変わらず、多くの本番のアプリは特定の安定版を使うべき、と書かれています。一方、「latest」の名前は、新しい版が出るたびに入れ替わります。さらに廃止ページには、gemini-3.5-flashとgemini-3.7-flashが、終了日がなく、新しい版の名前(gemini-3.6-flashとgemini-3.8-flash)に自動でつながる、と書かれています。名前は同じでも、中身が変わる例です。

移行の手順:公式が書いていること

公式の案内を並べると、次の流れになります。

  1. 使っているモデルを洗い出す。 Anthropicは、ConsoleのUsageページから「Export」でCSVを出すと、APIキー別・モデル別の使用量が分かる、と案内しています。OpenAIは、shutdown_dateで、使っているモデルの終了日を調べられます。
  2. 後継を決める。 3社とも、廃止の表に後継の記載があります。ただし、表の後継が自分の用途に最適かどうかは別です(僕らの見立てです)。
  3. 移行の案内を読んで、コードを直す。 モデルIDの書き換えだけで済まないことがあります。下の例を見てください。
  4. 終了日より十分前に、新しいモデルで試す。 Anthropicは、終了日のずっと前に、新しいモデルで自分の作業の出来を測ることを勧めています。終了日を過ぎると、要求は失敗します。
  5. 評価(evals)で前後を比べる。 Anthropicのプロンプトの文書は、技法の説明が特定のモデルを名指ししている場合、そのモデルで測られたものとして扱い、別のモデルに使う前に、自分のevalsで再確認するように、と書いています。

移行で、実際に何を直すのか(Anthropicの例)

Anthropicの「Claude Sonnet 5.5 migration guide」は、移行先のモデルIDclaude-sonnet-5-5に変えるときの変更点を、移行元ごとに並べています。次は、その一部の要約です。

Anthropicの廃止ページ自体も、temperature、top_p、top_kは、Claude 4.7以降とClaude Mythos Previewで、既定値以外を設定すると400エラーを返す、と書いています。つまり、モデル名を変えなくても、新しい世代に上げた瞬間に、これまで通っていた設定が通らなくなる場合があります。

さらに、同じページによると、APIバージョン2026-10-21では、これら3つは取り除かれ、含めたリクエストは400エラーになります。Anthropicの移行の案内ページ(API version 2026-10-21)は、既定値を指定した場合も400になる、と説明しています。このバージョンは自分で選んで切り替える方式です。SDKを使う場合は、これを使う最初のメジャーバージョン(Pythonではanthropic 2.0.0)に上げたときに、SDKを使わずHTTPで直接呼ぶ場合は、ヘッダーanthropic-version: 2026-10-21を付けたときに有効になる、と読めました(要約を通した確認です)。従来のバージョンのままなら、上の挙動(既定値以外が400)です。

僕らの見立て:最小の備え

ここからは僕らの見立てです。公式が「こうしなさい」と書いている部分と区別して読んでください。

気をつけること

出典

更新履歴