3行でいうと

  • 文体を決める道具は、大きく3種類です。自分で書いて固定する「指示」、場面ごとに切り替える「スタイル・Gem・プロジェクトの指示」、AIが会話から自動で拾う「記憶」です。3社とも、この3つに当たるものを公式に説明しています。
  • 「指示」は自分の目で中身を確かめられ、いつでも書き換えられます。「記憶」は便利ですが、何が残っているかを意識して見直す必要があります。僕らの見立ては、文体の約束は「指示」に書き、記憶には任せきらない、です。
  • 文体のお手本の文章から、スタイルを作れると公式に書かれているのは、読んだ範囲ではClaudeだけです。ChatGPTとGeminiにその機能がないとは限りませんが、確認できていません。

この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、OpenAI、Anthropic、Googleの公式ヘルプを、2026年10月16日に読んでまとめたものです。画面の名前や提供範囲は変わりやすい点です。僕らの考えは「見立てです」と書いた部分に分けています。

先に結論

3つの道具の違い

道具 誰が中身を決めるか 働く範囲 3社の名前
全体の指示 自分が書く 全部のチャット ChatGPT:Custom Instructions/Claude:Instructions for Claude/Gemini:Instructions for Gemini
切り替える部品 自分が選ぶ・作る 選んだ間、または選んだ場所の中 ChatGPT:Base style and tone/Claude:Styles、プロジェクトの指示、スキル/Gemini:Gems
記憶 AIが会話から拾う 設定による ChatGPT:Memory/Claude:Memory/Gemini:Memory

ChatGPT:指示、個性、記憶

Custom Instructions(全体の指示)。 全部のチャットで考慮してほしいことを書く欄です。文字数の上限は、FreeとGoが1,500文字、Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduが5,000文字です(2026年10月16日に読んだ時点)。Web、デスクトップ、iOS、Androidで使え、「Enable customization」でオンオフします。共有リンクを見る人には、指示は共有されないと書かれています。一方で、指示がモデルの改善に使われうることも、同じページに書かれています。

Base style and tone(個性)。 「Default」「Professional」「Friendly」「Candid」「Quirky」「Efficient」「Cynical」の7つから選びます。大事な限定が2つあります。1つ目は、変わるのは口調と文体だけで、できることや安全の決まりは変わらないこと。2つ目は、メール、コード、SNS投稿、履歴書のような文章は、個性よりも、依頼とその文脈に従うと書かれていることです。つまり、メールの書き方は、個性の選択ではなく、指示や依頼文で伝えるのが基本になりそうです。これは僕らの読みです。

Memory(記憶)。 「保存された記憶」と「過去のチャットの参照」の2種類があります。保存された記憶は、チャット履歴とは別に保管され、元のチャットを消しても残ります。「保存された記憶の参照」をオフにすると、過去チャットの参照もオフになります。過去チャットの参照をオフにすると、そこから得た情報は30日以内の削除予定になる、とあります。個性のページには、記憶が個性と食い違うと、個性の効果が弱まることがある、とも書かれています。

一時チャット。 始める前に、既存の記憶や指示を使うか、使わない「Unpersonalized」かを選びます。始めたあとには変えられません。一時チャットは記憶を作りません。

ChatGPTのページで、読んだ範囲に書かれていなかったこと
  • 個性(Base style and tone)のページには、対象のプランや地域の記載がありませんでした。
  • 記憶のFAQは、口調や文体の好みについては特に触れていません。カスタム指示を「どう答えるかの直接の指示」、記憶を「会話などから関連する情報を引くもの」と、書き分けている点だけが読み取れました。
  • 指示のページには、「既存の会話にもすぐ反映される」という記述と、「将来の会話にだけ反映される」という記述が並んでいます。どちらが現在の動作かは、ページからは決められませんでした。

Claude:スタイル、指示、記憶

Styles(スタイル)。 プリセットは「Normal」「Concise」「Formal」「Explanatory」の4つです。切り替えは、新しいメッセージ、編集、再生成に反映されます。自分用のスタイルは、次のいずれかで作れます。

  1. 文章のお手本をアップロード(PDF、DOC、TXT)するか、貼り付ける。Claudeがそれを分析して、合うスタイルを作る。
  2. 「Describe style instead」で、自分の書き方を言葉で説明して作る。
  3. 「Use custom instructions (advanced)」で、指示を自分で書く。

作ったスタイルは、あとから編集や削除ができます。プランごとの提供範囲は、書かれていませんでした。

Instructions for Claude(全体の指示)と、プロジェクトの指示。 全部の会話に働く指示が「Instructions for Claude」で、Settingsから編集します。「プロジェクトの指示」は、そのプロジェクトの中のチャットだけに働きます。スキル(必要なときに有効にする部品)の用途の例にも、口調や書式の調整が挙がっていますが、作り方は読んだページに書かれていません。

Memory(記憶)。 Free、Pro、Maxでは既定でオンです。Team、Enterpriseは、組織のオーナーが有効にしたうえで、各メンバーが自分で使い始める形です。覚える内容の例に、コミュニケーションの好みや仕事の進め方が入っています。操作の面では、次のものが用意されています。

会話を消しても、そこから作られた記憶は残ります。プロジェクトごとに別の記憶があり、「Use account memory」で、アカウント全体の記憶と分けられます。

Gemini:指示、Gems、記憶

Instructions for Gemini(全体の指示)。 構成、書式、口調を指定でき、全部のチャットに適用されます。場所は、メニュー、Settings & help、Personal Intelligence、Instructions for Geminiの順に進むと書かれています。文字数の上限は、ページに書かれていませんでした。

Gems。 名前と指示を保存して、Geminiの応答を目的に合わせるための機能です。「Knowledge」にファイルを足せます。Gemini Liveでは使えません。

重要な点として、このページは、2026年11月から、個人のGoogleアカウントではGemsが廃止され、自動で「skills」に移ると書いています。確認日より後の日付なので、予告です。いまGemを作る前に、移行後の扱いも確かめたほうがよさそうです。これは見立てです。

Memory(記憶)。 記憶は、指示とは別のトグルです。「忘れて」と頼んでも、いつも効くわけではなく、話題を出させないなら、Gemini Apps Activityで関連するチャットを消すとあります。「特定の情報を覚える」機能は、今のところ米国のみ、と書かれています。要件の一覧には、18歳以上、Google AIプラン、個人のGoogleアカウント(仕事・学校用は不可)が出ています。ただし、同じページに「指示の追加は誰でもできる」という趣旨の記述もあり、指示そのものに、この要件がどこまで及ぶのかは、読んだ範囲では分かりませんでした。

使い分けの目安(見立てです)

ここからは、公式の説明を読んだうえでの僕らの見立てです。各社の推奨ではありません。

  1. 約束事は「指示」に書く。 指示は、自分で書いた文字がそのまま残ります。「です・ます調」「結びの一文は短く」「『弊社』は使わない」のように、守ってほしいことを短く、具体的に書くのが向いていると思います。上限(ChatGPTは1,500か5,000文字)にも注意します。
  2. 場面で変わるものは、切り替える部品に置く。 仕事の相手ごとに書き方が変わるなら、ChatGPTは個性の選択、Claudeはスタイルやプロジェクトの指示、GeminiはGemを使い分けます。全体の指示に、場面ごとの決まりまで詰めると、食い違いやすいからです。
  3. お手本があるならClaudeのスタイルが入口。 公式に「文章を貼って作る」と書かれているのは、読んだ範囲ではClaudeだけでした。ほかでは、書き方の特徴を言葉にして指示に書くことになりそうです。
  4. 記憶は「補助」と考える。 記憶は、覚えさせたつもりのないことまで残りえます。文体の約束事の本体を置く場所には、向かないと思います。気になるときは、設定で一時停止するか、一時チャット、Incognito、のような、記憶を使わない機能を選びます。
  5. お手本に使う文章を選ぶ。 他人の名前や連絡先が入ったメールは、お手本にしないほうが安全だと思います。記憶や学習の扱いは、プランと設定で変わります。

気をつけること

出典

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