3行でいうと

  • AIでFAQを作る仕事は、「質問と答えの下書きを作る」と「できたFAQを資料にして、AIに答えさせる」の2つに分かれます。後者は、各社が「プロジェクト」「ノートブック」「エージェント」という名前で出しています。
  • 道具の違いは、入れられる資料の量、共有の範囲、答えの根拠を示す仕組みの3つに出ます。社内の人に答えさせるなら、根拠の引用が付くことと、見てよい人だけが見られることが決め手になります。
  • 最初の20問は、「よく聞かれる順」に、1問1答で、答えの根拠になる資料名と日付を付けて作ります。これは公式の手順ではなく、僕らの見立てです。

この記事は、これらの道具でFAQを作って確かめた記録ではありません。この記事は、OpenAI、Anthropic、Google、Microsoft、個人情報保護委員会の公式ページを、2026年10月22日に読んでまとめたものです。数字は変わることがあります。僕らの考えは「見立て」と書いた部分に分けました。

先に結論

「資料から答える」道具を比べる

4つの道具を、公式ページに書かれている範囲で並べました。2026年10月22日に読んだ内容です。

道具 資料の入れ方 上限(読めた範囲) 共有 答えの根拠
ChatGPT「プロジェクト」 ファイル、Google DriveとSlack(Driveは事前に同期されない)、保存した返答 1プロジェクトのファイルはFree 5、Go・Plus 25、Pro・Business・Enterprise・Edu 40 Edit(編集)とChat(閲覧とチャット)の2段階 引用の仕組みは、確認できていない
Claude「プロジェクト」 資料を知識として追加 ファイル数・サイズの上限は、読んだページに書かれていない Team・Enterpriseのみ。Can view(閲覧)、Can edit(編集) 引用の仕組みは、読んだページには書かれていない
Google「Gemini Notebook」 PDF、ドキュメント、スライド、ウェブページ、音声など 1資料50万語まで、ファイル200MBまで。資料の数はプランで違う 共有は可能。ページに詳細なし 行内の引用が付くと説明
Microsoft「Copilot Studio」 SharePoint、Dataverse、アップロード文書、公開ウェブサイトなど SharePointは25 URLなど(生成モード) 質問した人の権限で表示 引用が付かない答えを返さない設定がある

ChatGPTとClaudeのプロジェクトは、「自分や少人数の作業場」の性格が強いと、僕らは読みました。Claudeの共有はTeamとEnterpriseに限られ、組織全体に公開する選択肢も書かれています。ChatGPTは個人のプランにも共有があり、ワークスペースのプロジェクトは100人までとされています。どちらも、質問した人ごとに見てよい範囲を絞る仕組みは、確認できていません。

数字:Gemini NotebookのプランとCopilot Studioの上限

Gemini Notebookのプラン表では、1ユーザーあたりのノートブック数と、1ノートブックの資料の数が、Standardで100と50、Plusで200と100、Proで500と300、Ultra(20TBプラン)で500と500、Ultra(30TBプラン)で500と600とされています。上限は変わることがある、と書かれています。共有しても、共同作業者の資料の上限は増えません。

Copilot Studioの資料の入れ方は、生成モードで、公開ウェブサイトが25サイト、SharePointが25 URLとされています。ほかの資料は、生成モードでDataverseとコネクタ経由の企業データが無制限、アップロードした文書は上の25の対象に数えない、とされています。従来のモードは、公開ウェブサイトとSharePointがそれぞれ4つ、Dataverseが2つ(各15テーブルまで)、コネクタが2つ、とされています。

ChatGPTの数字は、上の表のとおりです。同時にアップロードできるのは10ファイルまでです。Claudeは、無料のプランでプロジェクトを最大5つまで作れます。有料プランでは、資料がコンテキストの上限に近づくと、RAG(検索拡張生成)のモードに切り替わり、容量が最大10倍になると書かれています。

根拠を付けさせる、ということ

FAQで一番困るのは、AIが資料にないことを、もっともらしく答える(ハルシネーション)ことだと思います。各社の公式ページには、その対策が書かれています。

つまり、どの道具でも、「資料だけを根拠に、書かれていなければ書かれていないと答える」ように頼むのが基本で、それでも間違いは残る、というのが各社の書き方です。

最初の20問の作り方(見立てです)

ここからは、公式の説明を読んだうえでの僕らの見立てです。FAQの書き方についての公式の指針は、読めていません。「20」という数も、僕らの目安です。

  1. 質問の元を集める。 メールの問い合わせ、チャットでよく聞かれること、新人が最初に迷うこと。思い出して書くより、実際に届いたものから拾うほうが、外れにくいと思います。
  2. 聞かれる回数と、困る度合いで、20個に絞る。 回数が多いものと、間違えると困るもの(休暇、経費、セキュリティ)を優先します。
  3. 1問に1つの答えにする。 「申請方法と締め切り」のように2つ混ぜると、AIが片方だけ答えることがあります。分けて書きます。
  4. 答えに、根拠の資料名と更新日、担当者を付ける。 引用が付く道具でも、元の資料が古ければ答えも古くなります。
  5. AIに下書きを作らせるときは、元の規程を渡す。 「この規程だけを根拠に、次の質問への答えを書いて。書かれていなければ『書かれていない』と答えて」と頼み、規程と食い違いがないか、担当者が読み比べます。
  6. FAQを資料として入れ、本人以外に質問させる。 20問をそのまま聞くだけでなく、言い方を変えた質問も試します。答えが、元の問いの根拠に戻れるかを見ます。
  7. 答えられなかった質問を記録する。 週に1回、記録を見て、足りない問いを追加する。古くなった答えは、更新日を見て直す。これで「育てる」ことになると思います。

入れてはいけない資料

FAQにする資料には、社員の個人情報や、取引先の秘密が混ざりがちです。個人情報保護委員会は、令和5年6月2日の注意喚起で、個人情報取扱事業者に、個人情報を含む入力が利用目的に必要な範囲か確認すること、本人の同意なく入力した個人データが機械学習に使われる場合は個人情報保護法に違反するおそれがあること、入力の前に提供事業者が機械学習に使わないことを確認することを求めています。

Googleのページでは、Gemini Notebookの内容は、フィードバックを送らない限り基盤モデルの直接の学習に使わず、WorkspaceとWorkspace for Educationのアップロード、質問、回答は、学習にも人のレビューにも使わない、とあります。なお、職場や学校のアカウントは管理者が有効にする必要がある、という記載は、Gemini Notebookの説明ページ(Learn about Gemini Notebook)にありました。プライバシーのページには、見当たりませんでした。ChatGPTとClaudeのプロジェクトのページでは、学習の扱いまでは確認できませんでした。プランや設定の別のページを見る必要があり、この記事では読んでいません。

見立てとして、最初の20問は、社員なら誰が見てもよい内容(手続き、連絡先、使い方)に限り、給与や評価、個人の事情は入れないほうが安全だと思います。

気をつけること

出典

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