3行でいうと
- 各社の公式の説明では、AIは検査結果の説明、記録の整理、受診前の質問づくりを手伝うものとされています。診断や治療のためのものではない、とOpenAIやGoogleなどが書いています。
- 記録を整えるには、国の目安(厚生労働省の成人向けの推奨)と並べる使い方があります。ただし、AIの答えは間違うことがあるので、数字は元の記録と公式で確かめます。
- 健康の記録を自動で取り込む機能は、提供の範囲の書き方が時期やサービスで違い、日本で使えるかは確認できていません。まずは、自分で書いた記録を貼る使い方から考えます。
この記事は公式の文書を読んでまとめたもので、実際に使って確かめた記録ではありません。例文は僕らが作ったもので、公式のものではありません。健康や医療についての助言ではありません。「見立てです。」と書いた段落は僕らの考えで、公式に書かれたこととは分けています。
先に結論
公式の資料を読んで言えることは、次の3つです。
- 各社は「診断・治療のためではない」と書いています。 OpenAIの「ChatGPT Health」の発表には、診断や治療を目的としていない、と書かれています。GoogleのGeminiのヘルプも、診断、治療、医療の助言に頼らないよう書いています。
- AIが手伝うのは、「整理」と「準備」とされています。 検査結果をふだんの言葉で説明する、受診の前に聞くことをまとめる、運動や食事の記録のパターンを見る、といった使い方です。
- 目安は、AIではなく国の資料と比べます。 厚生労働省には、成人向けの身体活動の推奨が数字で出ています。
見立てです。AIは、散らかった記録を「見やすくしてくれる記録係」としては使えそうです。でも、記録から「何の病気か」「薬を変えてよいか」を決める役は、医師の仕事で、AIには向かないと思います。
たとえ話:家計簿を整える人と、お医者さん
僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。
家計簿を一緒に整理してくれる友だちを想像してください。レシートを日付順に並べ、「今月は外食が多いね」と気づいてくれます。でも、「この出費で家計は破綻する」と断言する人ではありません。
運動の記録も同じです。「先週は4日歩いて、2日は10分だけだった」と整理するのは、記録係の仕事です。「この胸の痛みは何の病気か」を決めるのは、診察をする医師の仕事です。AIに任せるのは、前者までです。
公式の資料が書いていること
各社の説明
| 会社 | 読んだ範囲で書かれていたこと |
|---|---|
| OpenAI(ChatGPT Health、2026年1月7日発表) | 健康のための別の空間。検査結果の理解、受診の準備、バラバラの健康情報の整理、食事や運動の相談に使える。臨床の医師を支えるもので、置き換えるものではない。診断や治療を目的としていない。 |
| Anthropic(2026年1月11日発表) | 検査結果の説明、健康の記録のパターンの発見、受診前の質問づくりができる。個別の助言は、医療の専門家に向かうよう案内する、とされている。 |
| Google(Geminiのヘルプ、ページ上部の更新日2026年10月19日) | 間違った情報を事実のように出すことがある。診断、治療、医療の助言、法律や金融などの専門的な助けに頼らないこと。出力は情報提供のためのもの。 |
| OpenAI(利用ポリシー、2025年10月29日版) | 医療や法律のように資格が必要な、その人に合わせた助言は、資格のある専門家がきちんと関わらない形では出さない、という趣旨。なお、2026年10月21日付の改定が2026年11月20日に施行される、とページにあり、新しい版にも、資格が必要な個別の助言を、資格のある専門家の関与なしに出すAIの道具を作ったり提供したりしてはいけない、という趣旨の禁止が読み取れる(新しい版のこの箇所には「医療や法律のように」という例は無い)。 |
「ChatGPT Health」と、Anthropicの健康の連携機能は、どちらも健康のデータをつなぐ機能です。条件が気になる人のために、提供の範囲を、あとの囲みにまとめました。
健康データをつなぐ機能の条件(2026年10月22日に確認した、各社ページの記述)
OpenAI「ChatGPT Health」(2026年1月7日発表、同ページに2026年7月23日の更新あり)
- 医療記録(米国のみ)、Apple Health(iOSが必要)、MyFitnessPalやPelotonなどの健康・運動のアプリ、アップロードしたファイルや写真をつなげられる、と書かれています。一部は米国のみです。
- 「Healthの会話は、基盤モデルの学習に使われない」と書かれています。Healthには別の記憶があり、Healthの情報は、通常のチャットには戻らないとされています。設定で、医療記録へのアクセスの削除や、アプリの切り離しができる、とも書かれています。
- 提供について、発表の時点では、一部の人が順番待ちの形で使い始め、対象は、欧州経済領域、スイス、英国の外のFree、Go、Plus、Proのプランだった、と書かれています。2026年7月23日の更新には、18歳以上の米国の利用者に、ウェブとiOSで提供を始める、とあります。
- 日本で使えるかどうかは、読んだページからは分かりません。
Anthropic(2026年1月11日発表)
- 米国のClaude ProとMaxの利用者が、検査結果や健康記録への安全なアクセスを、自分で選んで許可できます。HealthExとFunctionの連携はベータ版、と書かれています。
- Apple HealthとAndroidのHealth Connectの連携は、iOSとAndroidのアプリで、ベータ版として順次提供とされています。
- 提供の範囲は、米国のProとMaxのプランです。利用者が許可して選ぶこと、いつでも切り離せること、健康データをモデルの学習に使わないことが書かれています。
- 日本で使えるかどうかは、読んだページからは分かりません。
「整える」とは、たとえばこういうこと
ここは公式の文書にある手順ではなく、僕らの例です。自分で書いた記録を貼る使い方なら、特別な連携は要りません。
- 記録を表にそろえる。 「次のメモを、日付、種類、時間、体調の4列の表にして」と頼みます。メモが乱れていても、形をそろえてもらえます。
- 週ごとにまとめる。 「この4週間で、運動した日数と合計の時間を、週ごとに数えて」と頼みます。ただし、数えまちがいは起こりえます。元の記録と見比べます。
- 目安と並べる。 厚生労働省の目安(次の節)を、頼みごとの文章に自分で書いて入れ、「このペースは目安と比べてどうか、事実だけ並べて。良い悪いの判断はしないで」と頼みます。
- 受診のときの質問をまとめる。 「最近2週間、階段で息が切れる。医師に聞くことを5つ、短く」のように頼みます。
見立てです。どれも「AIが判断する」のではなく、「自分が判断しやすくなる」ための整理です。AIが整えた表は、自分の記録と見比べて、1行でも合っているかを確かめるとよいと思います。
比べる目安:厚生労働省の推奨
厚生労働省の成人向けの資料には、身体活動と運動の推奨が書かれています。主な内容は次のとおりです。
- 身体活動は、歩行と同じ強さ以上のものを、1日60分以上行う。これは1日およそ8,000歩以上にあたる、とされています。
- 運動は、息が弾み汗をかく程度のものを、週60分以上行う。
- 筋力トレーニングは、週2〜3日。
- 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにする。
そして、同じ資料には、個人差を踏まえて強さと量を調整し、できることから取り組むこと、推奨はあくまで目安で、必ず満たす必要はないこと、過度な活動の基準は明らかになっていないので、けがや体調に注意して無理をしないこと、が書かれています。くわしい表現は、資料で確かめてください。
つまり、目安は「達成しなければならない点数」ではありません。資料自身が、必ず満たす必要はない、と書いています。
誤解されやすい点
「健康の専用の機能があるなら、診断してくれる」 公式の説明は、診断や治療を目的としていないと書いています。専用の機能でも、医師の代わりではありません。
「数字をまとめたのだから、計算は正しい」 OpenAIのヘルプは、AIは自信ありげに間違うことがあると書いています。数字の整理でも同じで、元の記録と見比べる必要があります。
「写真や画像を見せれば、体のことが分かる」 OpenAIの画像入力の公式ページには、医療の画像や医療の助言には使わない、と書かれています。
今日からできること、やってはいけないこと
今日からできること
- 自分で、日付、種類、時間、体調のメモをつける。それをAIに貼って、表にしてもらう。
- 「診断はしないで。事実の整理だけ」と、頼みごとの文章に書く。
- 気になる症状は、AIに聞く前に、医師や医療機関に相談する。AIには、「受診で聞くこと」を整えてもらう。
- AIが出した数字は、元の記録と見比べる。
やってはいけないこと
- AIの答えで、病気かどうかを決める。
- AIの答えで、薬や治療をやめる、変える。
- 他人(家族を含む)の病気や検査結果を、本人の了解なく入れる。入れる前に立ち止まる、という点は、同じ連載の個人情報の記事で扱っています。
- 「目安に届かない」と焦って、無理に運動量を増やす。
気をつけること
- 説明は、2026年10月16日に読み、10月22日に読み直した公式ページのものです。健康の機能は、提供の範囲も名前も、変わりやすいです。
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、公式の文書を読んだまとめです。
- 読んだページは、サイトの内容を取り込んで要約する道具を通して読みました。原文のままの引用はせず、言い換えています。細かい言い回しや注は、原文で確かめていません。
- 日本で、ChatGPT HealthやAnthropicの連携機能が使えるかどうかは、読んだページからは確認できませんでした。
- 日本の法律で、どこからが医療行為にあたるか、健康アプリがいつ医療機器になるかは、確かめられませんでした。医薬品医療機器総合機構(PMDA)のプログラム医療機器のページを読みましたが、健康管理や運動記録のアプリがあたるかどうかの区別は書かれていませんでした。この点は、僕らは何も言えません。
- 世界保健機関(WHO)の、大規模なマルチモーダルモデルの健康での利用についての指針は、概要のページしか読めていません。中身は確認していません。
- 厚生労働省の推奨は、成人向けの資料です。子ども、高齢者、持病のある人の目安は、読んでいません。
- 健康や医療についての助言ではありません。体の不調は、医師などの専門家に相談してください。
出典
- ChatGPT Health の発表(OpenAI、2026年1月7日発表・7月23日更新、2026年10月22日確認)
- 医療・ライフサイエンス向けのClaudeの発表(Anthropic、2026年1月11日発表、2026年10月22日確認)
- 身体活動・運動の推奨事項(成人版の資料、厚生労働省、2026年10月22日確認)
- Gemini Apps のヘルプ(Google、ページ上部の更新日2026年10月19日、2026年10月22日確認)
- 利用ポリシー(OpenAI、2025年10月29日版を読み、2026年10月21日付の改定が2026年11月20日施行とページに記載、2026年10月22日確認)
- ChatGPT の画像入力 FAQ(OpenAI Help Center、2026年10月22日確認)
- Does ChatGPT tell the truth?(OpenAI Help Center、2026年10月22日確認)
- Ethics and governance of artificial intelligence for health: Guidance on large multi-modal models(WHO、概要ページのみ、2026年10月16日確認)
更新履歴
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2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
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2026年10月22日 公式の資料を読み直して、次の点を直しました。
- 前:診断や治療のためのものではない、と「各社」が書いている → いま:OpenAIやGoogleなどが書いている、と言い方を弱めた
- 前:Geminiのヘルプの更新日は2026年10月13日 → いま:ページ上部の更新日は2026年10月19日
- 前:OpenAIの利用ポリシーは2025年10月29日施行の版だけ → いま:2026年10月21日付の改定が11月20日に施行予定。新しい版にも資格が必要な個別の助言の禁止が読み取れる(「医療や法律のように」という例は無い)
