3行でいうと

  • 3社の公式の指南は、そろって「最初の答えは下書き。見て、直して、頼み直す」という進め方を前提にしています。
  • 聞き直し方は5つです。どこが違うかを具体的に言う。背景や理由を足す。してほしい形を、してほしい言い方で書く。見本を見せる。作業を小さく分ける、または言い方や順番を変える。
  • 聞き直しで直るのは、「頼み方が原因のズレ」です。事実の間違いは、聞き直しだけでは直りません。公式の文書も、間違いは減らせてもなくならない、と書いています。

この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。この記事は、これらのサービスに頼んで確かめたものではありません。例文は僕らが作ったもので、公式のものではありません。たとえ話と「見立てです。」で始まる段落も、僕らの考えです。

先に結論

公式の指南を読んで言えることは、次の3つです。

  1. 最初の答えが外れるのは、よくあることとして扱われています。 OpenAIのヘルプは、最初の版を書き、返事を見て、言葉を直す、文脈を足す、頼みを簡単にする、という流れを勧めています。GoogleのWorkspaceのガイドも、最初の答えを最終版とせず、見直して追加の頼みで調整するよう書いています。
  2. 直し方は、5つの型に整理できます。 下で順に説明します(5つへの整理は僕らのものです)。
  3. 頼み方で直らないものもあります。 事実の間違いや、AIの苦手な作業は、言い直しだけでは解決しません。

たとえ話:美容室で「いい感じに」と頼んだ

僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。

美容室で「いい感じにしてください」とだけ頼むと、できあがりが思っていたのと違うことがあります。そのとき、「違います」とだけ言っても、美容師さんは直しようがありません。「もう少し短く」「前髪は残して」「去年切ったときの写真はこれです」と伝えれば、直せます。

AIも同じです。ただし、AIには「ここが違う」と顔色で伝わらないので、言葉にしないと分かりません。

聞き直し方5つ

1. どこが違うかを、具体的に言う

「違う」「もっとよく」だけでなく、どこをどう変えたいのかを書きます。OpenAIのヘルプは、返事を見たら、言葉を直す、文脈を足す、頼みを簡単にする、と書いています。Googleのヘルプも、追加の頼みで結果を整えていくよう案内しています。

僕らの例です。

3つ目の項目が長すぎます。2文以内にしてください。1つ目と2つ目はそのままで。

2. 足りなかった背景と、理由を足す

Anthropicの指南は、なぜそうしてほしいのか、理由を書くと、AIが狙いをくんで答えやすくなる、と書いています。例として、「読み上げソフトが読むので、省略の記号は使わない」のように理由を添えると、記号を避ける理由が伝わる、とあります。GoogleとOpenAIのヘルプも、背景を十分に書くよう勧めています。

先ほどの返事は丁寧すぎました。相手は、毎日やりとりしている同僚です。短く、くだけすぎない程度で書き直してください。

3. してほしい形を、してほしい言い方で書く

Anthropicの指南は、「〜しないで」よりも「〜してほしい」と書いたほうがよい、としています。例は、「マークダウンを使わないで」より、「なめらかにつながった文章で書いて」のほうがよい、というものです。形や制約は、具体的に書くよう勧められています(Googleのヘルプも、望む構成を具体的に書くよう勧めています)。文の数や項目の数、表か箇条書きか、は僕らの例です。口調は、「丁寧」「親しみやすい」「真面目」のような形容詞で伝えるとよい、とOpenAIのヘルプにあります。

箇条書きをやめて、3文の文章にしてください。口調は、親しみやすく、でも仕事の連絡として失礼のない程度で。

4. 見本を見せる

Anthropicの指南は、見本を見せることを、形や口調、構成を合わせる確実な方法のひとつとしています。見本は、実際の使い方に近いもの、いくつかの種類があるもの、がよく、3〜5個が目安、とあります。Googleの開発者向け文書も、種類のある具体的な見本を勧めていますが、見本が多すぎると、見本に引きずられることがある、とも書いています。

次の例のような書き方にしてください。例:「会議は10月20日の午後2時からです。資料は前日までに共有します。」同じくらいの短さで、今回の案内文を書いてください。

5. 作業を小さく分ける、または言い方や順番を変える

Googleの開発者向け文書は、うまくいかないときの手を、3つ挙げています。頼み方を言い換える。似た別の作業に置き換える。内容の順番を入れ替える。大きな作業は分けて、前の結果を次に渡す進め方も紹介しています。

GoogleのWorkspaceのガイドには、Geminiに「この文章を、より良い頼み方に直して」と頼んでから、直された文を使い直す、という方法も書かれています(公式の呼び名は「power prompt」)。

Anthropicの指南には、下書きを出してもらい、基準に照らして見直してもらい、直してもらう流れが書かれています。答えを出す前に、条件を満たしているか確かめさせると、間違いが見つかりやすい、とも書いています。ただし、その文書は、これは特にプログラムや計算で効く、としています。

一度に全部ではなく、まず目次案だけ出してください。それを見て、次に本文を頼みます。

5つの型と、公式の根拠
型 根拠になる公式の記載(言い換え)
1 どこが違うか OpenAI:返事を見て、言葉・文脈・難しさを調整する。Google:追加の頼みで見直しを繰り返す
2 背景と理由 Anthropic:理由を添えると狙いが伝わる。Google・OpenAI:背景を十分に
3 形と言い方 Anthropic:してほしい形で書く。OpenAI:口調は形容詞で。Google:形式を具体的に
4 見本 Anthropic:3〜5個、実際に近く、種類を変える。Google:見本は種類を持たせ、多すぎない
5 分ける・言い換え Google:言い換え、別の作業への置き換え、順番の入れ替え、作業の分割

どの文書も、「この順で直せば必ず良くなる」とは書いていません。Anthropicの文書は、技法の効き方はモデルによって違うので、自分の評価で確かめるよう書いています。

事実が違うとき:聞き直しだけでは直らない

「期待と違う」の中には、頼み方のズレではなく、事実の間違い(ハルシネーション)もあります。この場合、「ちゃんとやって」と言い直しても、直るとは限りません。

Anthropicの「間違いを減らす」文書には、頼み方の工夫が載っています。僕らの言葉にします。

この文書は、これらで大きく減らせるが、完全にはなくならない、重要なことは必ず確かめるように、と書いています。

見立てです。「前と違う答えが出たから、新しい答えが正しい」とは言えないと思います。答えが変わったときは、どちらが正しいかは自分で確かめる必要があります。

長い会話で、ずれてきたとき

同じ会話で何度も聞き直していると、会話が長くなります。Claudeのヘルプは、一度の会話で扱える量には上限があり、自動のコンテキスト管理が働くような長い会話は利用の上限もより多く使う、と書いています。長い会話で利用上限に近づいたら、新しい会話を始めてみる、とあります。聞き直しを続けても噛み合わないときは、それまでの経緯と、いま欲しいものを短く書いて、新しい会話で頼み直すのも、手のひとつだと僕らは考えます(これは僕らの見立てで、公式の文書に書かれたものではありません)。

誤解されやすい点

「何度も頼み直すと、AIが怒る・疲れる」 僕らが読んだ範囲に、そうした記載は見当たりません。むしろ、直しながら進めるのが前提です。

「強い言い方をすると、きちんと守る」 Anthropicの指南が勧めているのは、強く言うことではなく、してほしいことを具体的に書き、理由を添えることです。具体的に書くことを勧める点は、3社に共通します。

「AIが悪い(または自分が悪い)」 どちらでもなく、「事情を知らない相手に、短い頼みを渡した」ことが原因のことが多い、というのは、Anthropicの指南の見方に近いものです。Anthropicは、事情を知らない同僚に頼みの文を見せて、迷わないか確かめる方法を紹介しています。

今日からできること、やってはいけないこと

どれも、公式の文書を土台にした、僕らの整理です。

今日からできること

やってはいけないこと

気をつけること

出典

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