3行でいうと
- コンテキストウィンドウは、AIが一度に見て参照できる文章の量です。Anthropicは「作業記憶」にたとえています。
- 量はトークンで数え、入力だけでなくAIの答えも含まれます。会話が続くと、それまでのやりとりが全部載り続けます。
- 上限に近づくと、サービスによっては古い部分を要約します。上限の前でも、量が増えると思い出す力は落ちるとされています。
- 見立てでは、話題が変わったら新しい会話を始め、大事な条件は途中で書き直すのがよさそうです。
この記事は公式・一次資料を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。
先に結論
- コンテキストウィンドウは、AIが文章を作るときに、一度に見て参照できる文章の量です。Anthropic(Claudeの会社)は「作業記憶(ワーキングメモリ)」にたとえ、訓練に使った大量のデータとは別のものだと説明しています。
- 量はトークン(AIが文章を数える単位)で数えます。入力だけでなく、AIが書く答えも含まれます。
- 会話が続くと、それまでのやりとりがすべて「机の上」に載り続けます。上限に近づくと、サービスによっては古い部分を要約するなどの工夫が働きます。
- 上限に達していなくても、量が増えると、情報を正確に思い出す力は落ちていく、とAnthropicは書いています。
たとえ話:作業机
AIの仕事場に、1つの机があるとします。机の広さが、コンテキストウィンドウです。
- 机に載せるのは、これまでの会話、渡した資料、AIへの前置きの指示、そしてAIが書いている途中の答えです。
- 机に載っているものは、全部見える。でも、机の外にある本は見えません。AIが訓練で学んだことは、頭の中の知識で、この机とは別の話です。
- 机が広くても、物が多すぎると、端のほうのものを見落としやすくなります。
「机の広さ」は、会社やモデルで違います。
数字で見る:どれくらいの広さか
開発者向け(API)
Anthropicの文書(2026年10月8日確認)では、次のとおりです。
- 1Mトークン(100万トークン):Claude Sonnet 5.5、Haiku 5.5、Opus 5.5、Fable 5.1などの現行モデル。特別な設定なしで使える。
- 200kトークン(20万トークン):それ以外のClaudeモデル。
- 1回の答えの最大:1Mのモデルで128kトークンまで。
Googleの文書は、昔のモデルは約8,000トークンで、そのあと32,000、128,000と広がり、Geminiは100万トークンを受け付けた、と書いています。100万トークンの目安として、Googleは、約5万行のコード、平均的な長さの小説8冊、200本以上のポッドキャストの書き起こしと書いています。
OpenAIの文書は、文章を作るモデルでは、入力と出力を合わせたものが、モデルごとの最大のコンテキスト長を超えてはいけない、と書いています。モデルごとの具体的な数字は、この記事では確かめていません。
Claudeのチャット画面(claude.ai)
Anthropicのヘルプによると、有料プランでは、最新のモデルで最大1M、ほかのモデルは500Kか200Kです。そして、AIの答えの分が確保されるため、会話の最大の長さは、全体の数字より少し短くなります。
モデルごとの表もあります。たとえば、Claude Sonnet 5.5、Opus 5.5、Haiku 5.5、Fable 5.1は1M、Fable 5は500Kです。同じモデルでも、API(1M)とチャット画面(500K)で数字が違う例があります。使う場所で確認が必要です。ヘルプは有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)の話だけで、無料プランの数字は確認できていません。
いっぱいになると、何が起きるか
会話が続くほど、机が埋まる
Anthropicの文書によると、毎回の入力には、それまでの履歴のすべてと、新しいメッセージが含まれます。AIの答えも、次の回の入力の一部になります。机に載るのは、次のものです。
- 前置きの指示(システムプロンプト)
- これまでのメッセージ全部。道具の結果、画像、書類を含む
- 道具の説明
- AIが書いた答え(考える過程の「思考」も含む)
上限を超えたとき
開発者向けのAPIでは、次のように動くと書かれています。
- 入力だけで机に載らない場合:エラーになります(「プロンプトが長すぎる」という趣旨)。
- Claude 4.5以降のモデルでは、入力に答えの最大長を足して上限を超えるだけなら、リクエストは受け付けられます。書いている途中で上限に達すると、そこで止まり、「上限に達した」という印が返ります。
チャット画面では、Anthropicのヘルプに、自動の「文脈の管理」が書かれています。会話が上限に近づくと、Claudeが古いメッセージを要約して、続けられるようにします。この機能は、コード実行の機能をオンにしているときだけ働くとあります。全体の履歴は残っていて、あとから参照できる、とも書かれています。ただし、とても大きな最初のメッセージのように、上限に当たる場合もあると注意しています。要約が働くと、使える量(利用上限)の消費が増える、という説明もあります。
Anthropicのエンジニア向けブログ(2025年9月29日)も、上限に近づいた会話を要約して、新しい机で続ける方法を「コンパクション」と呼んで紹介しています。
見立てです。要約は、細かい部分が省かれることがあるので、会話の初めのほうで決めたことが、あとで少しずれて伝わる可能性はあると思います。大事な前提は、新しい会話の最初に、もう一度書いておくのが安全です。
上限の前でも、精度は落ちる
「机が足りている」ことと「ちゃんと見えている」ことは、別です。
- Anthropicの文書は、トークンの数が増えると、情報の正確さと思い出す力が落ちていく現象を「コンテキストロット」と呼んでいます。量の多さだけでなく、何を載せるかを選ぶことが大事だとも書いています。
- エンジニア向けブログは、AIの「注意の予算」には限りがあり、トークンが増えるほど薄く配分されるとたとえています。性能は、ある地点で急に落ちるのではなく、少しずつ落ちるとのことです。
- Googleの教材は、AIが文中のすべてのトークンどうしの関係を見るため、計算量が増えやすいと説明しています。文章が長いと、返事の始まりが遅くなりやすい、とGoogleのロングコンテキストの文書も書いています。
お金とのつながり
API料金の表で、Anthropicは「90万トークンの依頼も、9千トークンの依頼も、1トークンあたりの単価は同じ」と書いています(Haiku 5.5だけ、10万トークンを超えると高くなる)。ただし、トークンの数が増えれば、その分の請求は増えます。毎回、それまでの履歴を送り直すので、会話が長くなると1回あたりの入力が増えます。
同じ前置きや資料を何度も送るときは、プロンプトキャッシュという割引の仕組みがあります。Googleの文書にも、同じような「コンテキストキャッシュ」があります。
長い会話とうまく付き合う(見立てです)
見立てです。公式の説明から、次の使い方がよさそうだと考えました。
- 話題が変わったら、新しい会話を始める。Anthropicのヘルプは、長い会話で利用上限に近づいたとき、新しい会話に移ることを勧めています(会話の長さの上限とは別の話です)。
- 渡す資料は、必要な部分だけにする。
- 大事な条件は、会話の途中でも書き直す。
- とても長い資料は、全部を渡す代わりに、必要な部分だけ探して渡す方法もある。これはRAGと呼ばれ、次の記事で扱います。
気をつけること
- 数字は2026年10月8日に確認した時点のものです。モデルや上限は変わりやすいです。
- 同じモデルでも、APIとチャット画面で数字が違うことがあります。無料プランの数字、ChatGPTやGeminiのアプリの数字は確認できていません。
- 自動の要約の動き方(いつ、どの部分を、どう要約するか)は、サービスごとに違うはずです。公式に書かれた範囲しか確認できていません。
- 「コンテキストロット」は、Anthropicの文書の用語です。どのくらい落ちるかの数字は、読んだページには出ていません。
- 「忘れる」の原因は、上限だけとは限りません。この記事では、ほかの原因は確かめていません。
出典
- Context windows(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月8日確認)
- Glossary(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月8日確認)
- Models overview(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月8日確認)
- Pricing(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月8日確認)
- How large is the context window on paid Claude plans?(Claude Help Center、Anthropic、2026年10月8日確認)
- How do usage and length limits work?(Claude Help Center、Anthropic、2026年10月8日確認)
- Effective context engineering for AI agents(Anthropic Engineering、2025年9月29日公開、2026年10月8日確認)
- Concepts(OpenAI API Docs、2026年10月8日確認)
- Long context(Gemini API Docs、Google、2026年10月8日確認)
- What's a Large Language Model?(Machine Learning Crash Course、Google for Developers、2026年10月8日確認)
- Machine Learning Glossary: Language Evaluation(Google for Developers、2026年10月8日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
