この項目で混ざったもの
ハード側座標変換と照明の回路をチップに内蔵ソフト側描画の計算をCPUが受け持たなくなった
NVIDIAの会社年表は、1999年8月に「GeForce 256」を投入したと書いています。NVIDIAの会社年表は、これを「業界初のGPU(グラフィックス処理ユニット)」と紹介しています。「初」というのはNVIDIA自身の説明です。GPUとは、画面に絵を出すための計算を引き受ける専用のチップのことです。
3Dゲームの画面は、立体を多数の三角形で表し、それを画面に描くことで作られます。NVIDIAの技術資料は、この流れを「座標変換」「照明」「三角形の準備と切り取り」「描画」の段階に分けています。座標変換は、立体の頂点の位置を見る向きに合わせて計算し直す作業で、1回の座標変換で掛け算16回と足し算12回の計算になると書かれています。照明は、光源と物体の距離や向きから明るさを求める計算です。同じ資料の図は、1996年から1999年までの4年分で、これらの段階が少しずつCPUから描画用チップへ、そしてGPUへ移っていく様子を示しています。本文は「グラフィックスの処理の全体がGPUで計算される」と書いています。
ここで混ざったのは、ゲームのプログラムがCPUの上で行っていた計算と、チップの中の専用回路です。ソフト側は頂点のデータをチップに渡し、座標変換と照明はチップの回路が受け持ちます。CPUがそれらを毎回計算して結果を渡す手順は、いらなくなりました。
同じ資料は、CPUの速さが約18か月で2倍になる間に、グラフィックス用のチップは8倍のペースで進むと書いています。そして、座標変換と照明を内蔵したGPUは、当時の高速なCPUの2〜4倍の速さでこれらを処理できる見込みだとしています。CPUの力は物理計算やAIといった別の処理に回せるようになる、とも書かれています。
その後、NVIDIAは公式ブログで、深層学習の大量の計算にはGPUの並列構造が向いていたと説明しています。専用の回路をチップに持たせ、ソフトから使うという形は、次の項目のCUDAでゲーム以外の計算へ広がっていきます。
- 年表上の時期
- 1999年8月(NVIDIA会社年表)
- NVIDIAの位置づけ
- 「業界初のGPU」(NVIDIA自身の説明)
- 座標変換の計算量
- 1回の座標変換あたり 掛け算16回・足し算12回
- CPUとの比較(見込み)
- 統合した機能の処理は当時の高速CPUの2〜4倍
確認できていない点
- 正確な発売日(年表は「1999年8月」までの記載)
- メモリ容量・価格(開いた資料には書かれていない)
- 計算をチップに移した理由についての公式の説明(開いた資料からは確認できなかった)
- 1999年当時のプレスリリース原文(公式サイトの旧URLは取得できなかった)
- 発売日と発表日のどちらが1999年8月か(会社年表は launches と記すのみ。公式ブログは2024年10月11日付で『25年前の今日』にreleaseがあったと書いており、月日は本文に記載なし)
出典
- NVIDIA Corporate Timeline 1999(NVIDIA)
- Transform and Lighting(NVIDIA開発者向け資料)
- Game-Changer: How the World's First GPU Leveled Up Gaming and Ignited the AI Era(NVIDIA公式ブログ)
2026年10月18日に、上の出典(会社・研究機関の公式の資料と原著論文)を読んで確かめました。製品の仕様や提供状況は変わることがあります。この記事は、製品を試した記録ではありません。