この項目で混ざったもの
ハード側HBM4を8個載せた推論重視のチップソフト側メモリと長い文脈に合わせた低精度形式
2026年10月12日、MicrosoftのScott Guthrie氏が公式ブログで、Maia 200は「量産中」、Maia 300は2027年に登場すると書きました。2027年からAzure Maiaをマルチギガワット(電力の規模を示す単位)の展開に広げ、Maiaを自社の製品とサービスの「主要な推論システム」にするとしています。推論は、学習したAIに答えを作らせる処理です。
性能は電力あたりで語られています。Maia 300は、主要なGPUベースのシステムより、1メガワットあたりのトークン(AIが扱う文字の単位)が40%多い見込みです。96個のアクセラレータを使う構成では、ラック規模でMaia 200の最大7倍の処理量になるとしています。仕様として、HBM4(高速メモリ)を8個備えて18.0TB/sの帯域、消費電力の設計値950W、計算部分はTSMCのN2P工程と書かれています。ラック1台にはアクセラレータが96個入り、電力枠は167kW、HBMの合計は27.6TBです。
ハードとソフトが混ざっている点は、設計の中身に出ています。MXFP4などの低い精度の数の形式に対応し、必要なメモリの量とデータの移動量を減らすと説明しています。KVキャッシュ(長い文脈の記憶)にも使えます。チップ内のSRAMは、ソフトウェアが管理する作業領域として使います。通信は、イーサネットを土台にした独自のAI向け方式で、テンソル並列(一つの計算を複数のチップに分ける方法)に合わせた高速な接続を備えます。
なぜこの形かについて、Microsoftは、大規模な推論システムでは計算そのものよりデータの移動が主な制約で、AIの作業は記憶と文脈の長さに縛られつつあると説明しています。また、自社サービスの作業を踏まえ、ハードとソフトを一緒に設計して実際の用途に最適化すると述べています。Maia 200は、Teams、Copilot、Coworkで、主要なGPU基盤よりワットあたり最大1.7倍のトークンと説明され、米国、欧州、オーストラリアで展開中です。
- 発表日
- 2026年10月12日
- Maia 300の登場時期
- 2027年(登場予定)
- 電力あたりの出力(見込み)
- 40%増の見込み(1メガワットあたりのトークン、主要GPUベース比)
- 96アクセラレータ構成
- Maia 200の最大7倍のラック規模の処理量
確認できていない点
- OCP Global Summit(Open Compute Project)での発表だったかは、公式の発表ページ2つには記載がなく、確かめられなかった(Azureブログは同サミットへの参加に触れるのみで日付を示していない)。
- 電力あたりの比較は、公式ブログとEMEAの発表が「メガワット」、Azureブログが「ワット」と書き分けている。ここでは公式ブログに合わせた。
- 40%と7倍は、いずれも見込みや上限として示された数字で、実測値かどうかは確かめられなかった。
- Azureブログ(infrastructure-for-the-frontier-era...)の公開日はメタデータ上2026年10月13日で、公式ブログ・EMEA発表の10月12日とは1日ずれる。同ブログには「At OCP Global Summit 2026, we invite the community...」とあるが、Maia 300の発表がOCPの場だったとは書かれていない。また、同ブログの40%は「tokens per watt」で、公式ブログ・EMEAの「per megawatt」と単位が異なる。
出典
- Microsoft to expand Azure Maia system to multi-gigawatt deployments(The Official Microsoft Blog, 2026)
- Microsoft announces Maia 300, its next-generation custom AI chip(Microsoft Source EMEA, 2026)
- Scaling Azure infrastructure through open collaboration(Azure Blog, 2026)
2026年10月18日に、上の出典(会社・研究機関の公式の資料と原著論文)を読んで確かめました。製品の仕様や提供状況は変わることがあります。この記事は、製品を試した記録ではありません。