この項目で混ざったもの
ハード側プロセッサの設計を、他社に提供ソフト側設計を使う権利を貸す契約(ライセンス)
Arm公式の歴史ブログによると、Armは1990年11月に、Acorn Computers、Apple Computer(現Apple)、VLSI Technology(現NXP Semiconductors)の3社による合弁会社として正式に設立されました。創業したのはArmの設計を担った12人の設計者で、当時の社名はAdvanced RISC Machines Ltd.です。のちの1998年にARM Holdings PLCとして上場し、現在はArmと呼ばれています。Arm公式の会社紹介ページは、30年以上前に「電池で動くコンピューターを設計する」という目標から生まれたこと、ケンブリッジの納屋で働く12人の創業メンバーの構想から始まったことを書いています。
ここで混ざったのは、ハードの中身である「プロセッサの設計」と、ソフトのように貸し借りできる「権利」です。ブログによれば、Armはプロセッサの設計を他社にライセンス(使用許諾)します。設計を借りた会社は、最初にライセンス料を払い、そのあと、作ったチップの量に応じた使用料(ロイヤルティ)を払います。設計を受け取った会社は、それを土台に自社の製品に合ったチップを作ります。ただし同じブログは、Armが2026年3月に、AIインフラ向けの「初の量産シリコン」としてArm AGI CPUを発表し、IPの提供から完成したシリコンの提供へ進む転換点だと位置づけていると書いています。そのため、設計を貸すだけの会社だと、いまは言い切れません。
ブログには、この設計を貸すという考え方を持ち込んだのはSir Robin Saxbyで、1993年にArmの設計で発売されたApple Newtonが商業的に成功しなかったあとのことだ、と書かれています。同じ1993年にはシリコンメーカーのTexas Instrumentsと契約を結び、NokiaにはGSM方式の携帯電話(Nokia 6110を含む)にArmの設計を使うよう助言した、とも書かれています。ブログは、その背景として、Newtonの不振から、Saxbyが「Armは単一の製品では会社を維持できない」と考えるようになったと書いています。
このあと、Armの設計を土台に、各社が自分の目的に合わせたチップを作る流れが広がります。次の項目の富岳では、富士通がArmの命令の仕組み(命令セット)をもとに、スーパーコンピュータ用のCPUを自分で設計しています。
- 設立
- 1990年11月
- 創業メンバー
- Armの設計者12人
- 当初の社名
- Advanced RISC Machines Ltd.
- 上場
- 1998年(ARM Holdings PLC)
確認できていない点
- 設立の正確な日(日にち)と、設立時の出資額は、確認した公式ページに書かれていませんでした。
- 指定された公式の歴史ページ(arm.com/company/our-history)は開けなかったため、同社の公式ブログで確認しました。
- ブログは「ライセンス料と使用料」の仕組みを説明していますが、使用料の率や金額は書いていません。
- Arm AGI CPUをライセンス事業と並行して、どのような方式で提供するのかは、ブログに書かれていません。
出典
2026年10月18日に、上の出典(会社・研究機関の公式の資料と原著論文)を読んで確かめました。製品の仕様や提供状況は変わることがあります。この記事は、製品を試した記録ではありません。